黒猫奇譚<キミと歩む壊れたセカイ>

すてら

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ワタシはなんなのだろう

その名前がなんでここで知られているのか。

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「あの忌まわしい出来事はあれで終わったと思っていたのだがな。」

そう言ってクレオールは私を見た。

「そこに貴殿が現れた。凪と同じ匂いを持つお前がな。」








何故そこでその名前が出てくるのだろう。








私の両親は私が生まれて物心もつかないうちに亡くなった。

知るのは祖母とわずわずかな親戚だけで、私も名前を聞いたのは1度きり、クレオールが言わなければ思い出せすらできないほどだったのに。









の名前をどうして知っているのか。







「ちょっと待ってください。私はですよ?その凪さんは、猫と言いましたよね…?私の知ってるのは少なくとも人です…!第一、猫と人はつがえません…!!」






緊張から私の表情がこわばる。






「本来ならば番えないんだ。けれど凪は、それすらも乗り越えた。あんな事態、誰も

「違います…!わたしちゃんと人ですもん…。おばあちゃんだって人で……!」




私の声は震えてしまっていた。頭はほとんど麻痺してしまっていて、けれど頭の中は激しい論争でうるさいくらいだ。






違う。違う。違う違う違う違う!!




違わない。だっておばあちゃん1回だけ言ってた。
なんて言った?思い出して。





思い出すな。思い出したくない。






《私の両親は人とは違うところがあった。》






私の鼓動は激しく脈打っていた。
心做しこころな 目眩めまいもする。

気持ち悪い

怖い。

その感情はになって私に襲いかかってくる。




だって、もしそれが




事実なら





ワタシ は、 一体 なに…………?

疑問は



渦巻いて



        る



         る。




わたしは、ひと?


             それとも……______。


《___……。》

誰かが私になにか語りかけている様な気がした。

______…。



___。




……。













天井が見えた。

ここは何処だろう。

まぶしいな。

少しだけ。身体が重い。

身体を起こしてみた。

……?なんだかいつもと違う……?


わたし、へん。おかしいな。大事なことあったはずなのに。忘れちゃもやもやするもの。



……まぁ、いっか。


そんなことはすぐに忘れて、

気分は晴れやかにワタシは外へ向かって歩き出した。


「______♪」

鼻歌を歌いながらさっき居た場所から細長い道を通ると、ふさふさの尻尾をした大きなきつねのお姉さんが私に顔を向けた。

「おや?良い歌だね。新入りかい?見ない顔だ。」

?誰?

「ごめんごめん!紹介が遅れたね!アタシの名前は。アンタは?」

わたし?ワタシの名前は……、

「……分かんない。」

「分かんないってことはないだろ?アタシの名前がケルビムとわれる様に、生まれたら親から名前を貰うもんさ。」

そう言ってニカッと私に笑うお姉さんの名前はケルビムさん。

それを聞いてわたしは首を傾けて考えてみた。

貰うもの……?親から?
なんだろう。







《……___バ》






何かが思い出せそうな気がして何となく目を閉じてみた。
なんだか、そっちの方がいい気がしたから。







ぼやけた視界に何かが映る。



これは誰だろう?なんだろう?




眩しいのを後ろにして、黒いのがこちらに向かって明るい声で何かを呟いていた。三角の影、これは……耳?




そして、この視界は、ワタシ?





《___エバ。私の可愛いエバ。愛しい子。おかあさんが守るから。》





……おかあさん?






その声は耳に馴染む透き通った綺麗な声で。

抱かれているのだろう私はとても幸せな気持ちだったのを少し思い出した。







…………。


…。



「……アンタ!ちょいアンタ!」

はっとしてわたしは目を覚ました。
つかの間寝ていたような気分だ。

「あ……」

「あ、じゃないよ全く……、急に静かになるから心配したよ全く……。」

そうだ。なまえを聞かれていたんだった。





「まぁ、言えない事情があるなら、言えるようになったら言えばいいし、なにもこんな子をとって食いは…「……。」……え?」

一瞬フリーズしたその人にもう一度言った。あの人が私の親なのならあれはきっと……___。









「エバです。わたしのなまえ。」


今度はちゃんと真っ直ぐ伝えた。

ケルビムさんは目を見開いた後。
そして私の顔をじっと見た。

そしてはっとする。




「……ホントに、あのエバなのかい?アンタが……?いやでも…あぁ。嘘だろ……。」


私の顔がケルビムさんの両手に包まれる。緑色の鋭い瞳が柔らかくなり、悲しみに染まった後、そしてまた鋭くなった。

「ケルビムさん……?」
「来な、エバ。アンタはここに居ちゃいけない…!危ないんだよ…!」





そう言って言葉の強引さとは裏腹にケルビムさんは柔らかく手を握ってくれて。

握られた私の手は、とても柔らかい茶色の毛並みをしていた。

懐かしい様な匂いを感じてわたしは彼女の後に続いた。








✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚


急なシリアスにグッピー先輩大量にいなくなっちゃいましたかね??

そして混乱に混乱を呼んで文章すらも情報過多の大渋滞!

(´Д`;)ヾすみません笑


最後の子。エバちゃんですが、何者なのでしょうかねぇ?

そしてヒロインがどうなったのかとても気になりますね。ケルビムさん姉御すぎて惚れます。
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