11 / 21
ワタシはなんなのだろう
その名前がなんでここで知られているのか。
しおりを挟む「あの忌まわしい出来事はあれで終わったと思っていたのだがな。」
そう言ってクレオールは私を見た。
「そこに貴殿が現れた。凪と同じ匂いを持つお前がな。」
何故そこでその名前が出てくるのだろう。
私の両親は私が生まれて物心もつかないうちに亡くなった。
知るのは祖母とわずかな親戚だけで、私も名前を聞いたのは1度きり、クレオールが言わなければ思い出せすらできないほどだったのに。
私の母の名前をどうして知っているのか。
「ちょっと待ってください。私は人ですよ?その凪さんは、猫と言いましたよね…?私の知ってるのは少なくとも人です…!第一、猫と人は番えません…!!」
緊張から私の表情がこわばる。
「本来ならば番えないんだ。けれど凪は、それすらも乗り越えた。あんな事態、誰も想定出来なかったんだ」
「違います…!わたしちゃんと人ですもん…。おばあちゃんだって人で……!」
私の声は震えてしまっていた。頭はほとんど麻痺してしまっていて、けれど頭の中は激しい論争でうるさいくらいだ。
違う。違う。違う違う違う違う!!
違わない。だっておばあちゃん1回だけ言ってた。
なんて言った?思い出して。
思い出すな。思い出したくない。
《私の両親は人とは違うところがあった。》
私の鼓動は激しく脈打っていた。
心做しか目眩もする。
気持ち悪い
怖い。
その感情はよく分からない不安になって私に襲いかかってくる。
だって、もしそれが
事実なら
ワタシ は、 一体 なに…………?
疑問は
渦巻いて
ぐ
る
ぐ
る。
わたしは、ひと?
それとも……______。
《___……。》
誰かが私になにか語りかけている様な気がした。
______…。
___。
……。
知らない天井が見えた。
ここは何処だろう。
まぶしいな。
少しだけ。身体が重い。
身体を起こしてみた。
……?なんだかいつもと違う……?
わたし、へん。おかしいな。大事なことあったはずなのに。忘れちゃもやもやするもの。
……まぁ、いっか。
そんなことはすぐに忘れて、
気分は晴れやかにワタシは外へ向かって歩き出した。
「______♪」
鼻歌を歌いながらさっき居た場所から細長い道を通ると、ふさふさの尻尾をした大きなきつねのお姉さんが私に顔を向けた。
「おや?良い歌だね。新入りかい?見ない顔だ。」
?誰?
「ごめんごめん!紹介が遅れたね!アタシの名前はケルビム。アンタは?」
わたし?ワタシの名前は……、
「……分かんない。」
「分かんないってことはないだろ?アタシの名前がケルビムと云われる様に、生まれたら親から名前を貰うもんさ。」
そう言ってニカッと私に笑うお姉さんの名前はケルビムさん。
それを聞いてわたしは首を傾けて考えてみた。
貰うもの……?親から?
なんだろう。
《……___バ》
何かが思い出せそうな気がして何となく目を閉じてみた。
なんだか、そっちの方がいい気がしたから。
ぼやけた視界に何かが映る。
これは誰だろう?なんだろう?
眩しいのを後ろにして、黒いのがこちらに向かって明るい声で何かを呟いていた。三角の影、これは……耳?
そして、この視界は、ワタシ?
《___エバ。私の可愛いエバ。愛しい子。おかあさんが守るから。》
……おかあさん?
その声は耳に馴染む透き通った綺麗な声で。
抱かれているのだろう私はとても幸せな気持ちだったのを少し思い出した。
…………。
…。
「……アンタ!ちょいアンタ!」
はっとしてわたしは目を覚ました。
つかの間寝ていたような気分だ。
「あ……」
「あ、じゃないよ全く……、急に静かになるから心配したよ全く……。」
そうだ。なまえを聞かれていたんだった。
「まぁ、言えない事情があるなら、言えるようになったら言えばいいし、なにもこんな子をとって食いは…「エバ……。」……え?」
一瞬フリーズしたその人にもう一度言った。あの人が私の親なのならあれはきっと……___。
「エバです。わたしのなまえ。」
今度はちゃんと真っ直ぐ伝えた。
ケルビムさんは目を見開いた後。
そして私の顔をじっと見た。
そしてはっとする。
「……ホントに、あのエバなのかい?アンタが……?いやでも…あぁ。嘘だろ……。」
私の顔がケルビムさんの両手に包まれる。緑色の鋭い瞳が柔らかくなり、悲しみに一瞬染まった後、そしてまた鋭くなった。
「ケルビムさん……?」
「来な、エバ。アンタはここに居ちゃいけない…!危ないんだよ…!」
そう言って言葉の強引さとは裏腹にケルビムさんは柔らかく手を握ってくれて。
握られた私の手は、とても柔らかい茶色の毛並みをしていた。
懐かしい様な匂いを感じてわたしは彼女の後に続いた。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚
急なシリアスにグッピー先輩大量にいなくなっちゃいましたかね??
そして混乱に混乱を呼んで文章すらも情報過多の大渋滞!
(´Д`;)ヾすみません笑
最後の子。エバちゃんですが、何者なのでしょうかねぇ?
そしてヒロインがどうなったのかとても気になりますね。ケルビムさん姉御すぎて惚れます。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる