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第13話:旦那様の素顔
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日本橋から京橋までの丁度中間地点で保胤は路地へと入った。そして、三善と書かれた看板の前で足を止める。
「いらっしゃいましー! あらぁ、若旦那!」
保胤が扉を開けるやいなや、恰幅のいい女性の店員がその姿を見て声をあげる。
「女将さん、ご無沙汰しています」
「ほんとですよぉ! もうとっくに桃の時期は終わっちゃったわ! あらやだ! そちらの可愛らしい方は?」
女将と呼ばれた女性は目を輝かせながら保胤の背後にいた一葉を見た。
「僕の婚約者です。喜多治一葉さ……」
「んまぁーーーーー!!」
保胤が一葉の名前を言い終わる前に女将は口元に手を当てて歓声を上げる。その声はまるで声楽者のように店内に響き渡り、店にいた客は一斉に保胤達の方を見た。
「おい! なにデカい声出してんだ! 旦那、すいやせんね……ほんとうちのやつが」
奥から白い作務衣を着た中年の男性が出てきた。どうやらここの主人のようだ。
「早く奥のお座敷へお通ししろってんだよ」
「あ、ああそうだったわ! 二重三重にびっくりしたもんだからさぁ!」
がはは! と元気よく笑いながら、女将は二人を奥へと案内した。
「ここはね、あんみつ屋です。最近はご無沙汰してしまっていたけれど日本橋を訪れた時は必ず立ち寄っているんです」
個室の座席に通され、一葉と保胤は向かい合う形で座った。保胤はお品書きを一葉に渡す。
「甘いものお好きなんですか?」
「そうですね。割と食べる方かもしれない。和菓子は得意な方ではなかったけれど、ここのは何故か食べられるんですよ。雑煮も出しているから軽食代わりに来たりね。一葉さんは甘いもの好きですか?」
「だ、大好きです」
「……ふ、大好きか。一葉さんは本当に正直ですね」
優しく微笑み返されて、顔には出さないけれど後ろめたさが募る。
正直なんて、既に大きな嘘をついている諜報員に向けられる言葉じゃない。一葉は保胤から目をそらし品書きを見た。
「保胤様のおすすめはありますか?」
「そうですねぇ……僕はこの季節のクリームあんみつかな。時季によって上に乗っている果物が変わるんです。僕は桃が好きで夏はよく食べていました」
「ああ、だからさっき」
「あいにく桃は終わってしまったようですね。今だと何かな。さつま芋かも」
「じゃあ、それにします」
「あなたは焼き芋もお好きですしね」
季節のクリームあんみつを2つ注文した。
「あの……」
「ん?」
覆面をずらし、器用に口元が見えないような角度でお茶をすする保胤に一葉は切り出した。
「先ほどは申し訳ありませんでした」
「髪飾りのこと?」
一葉の謝罪が何をさしているのか保胤はすぐに理解した。
「今日は私のために色々としてくださったのにあんな態度をとってしまってごめんなさ――」
「一葉さんってさ」
一葉の言葉を遮るように保胤は口を開いた。しかし、その言葉は続かない
「あの……?」
「……いや、やっぱりなんでもないです」
「な、なんですか?」
「えー?」
腕を組み、座椅子の背もたれに身体を預けながら目だけにやにやと笑っていた。
「気になります……! 最後までおっしゃってください」
「じゃあ、ひとつ。僕の質問に答えてください」
「はい! 何でも答えます!」
「さっきどうして泣いていたの?」
一葉は言葉に詰まる。
母との思い出。
そして、保胤の言葉に傷ついたから泣いていたとはとても言えなかった。
「僕と結婚するの、本当は嫌なんじゃないですか?」
違うと否定しようと一葉は口を開いたがつぐんでしまった。
「……戸惑っているのは確かです」
保胤に対してもうすでに自分は幾つもの嘘をついている。喜多治家の諜報員としてこの家にやってきた。保胤の妻となり、彼の近くで過ごすのは全ては緒方商会の情報を得るためだ。父と母を助けるためならなんだってやる。それが本心だった。
だけど――
「今朝もお伝えしましたがあなたのことが嫌だとかそういうのではないんです……それは本当に……」
声が震える。自分自身、うまく説明できない戸惑いと迷い。一葉のそのまま黙り込み俯く。
「一葉さ……」
「おまたせしましたぁー!」
保胤が口を開いたと同時に、襖を開けて女将が部屋へと入ってきた。
一葉はぱっと顔を上げて女将を見る。漆塗りのお盆にクリームあんみつを乗せて、一葉と保胤の前にそれぞれ置いた。
「若旦那は桃の方が良かったかもしれないけど、勘弁してくださいね! でも、これも美味しいから! アタシの自信作! それじゃあごゆっくりどうぞー!」
そう言って女将は颯爽と部屋を出て行った。
「……おや、当たりましたね」
「えっ?」
一葉は保胤を見た。こっちと合図するように保胤は目線を下へと向ける。一葉はあんみつの入った器を見た。
白玉、あんこ、寒天、アイスクリーム。そして蜜がたっぷり絡まったサイコロ状の大学芋が乗っていた。
「ほんとだ……」
思わず一葉の顔がほころんだ。
「食べましょう」
「は、はい」
促されて一葉は匙を手に取りあんみつをすくう。寒天とあんこを一緒に口に運んだ。
「おいしい……」
ため息交じりの声を漏らす。
保胤の言う通り上品な甘さだった。ぷりっとした寒天の歯ごたえもいい。今度は白玉と大学芋を一緒にすくって食べる。白玉の柔らかさに大学芋のカリッとした触感がたまらない。
口元を緩めながら夢中であんみつを食べる一葉をしばらく眺め、保胤も匙を手に取り食べ始めた。
「ほんとだ。久しぶりに食べたけどやっぱりおいしいな」
嬉しそうな保胤の声。一葉は身体がじわりと温まるような感覚がした。ふたりはそれ以上は言葉を交わさず、黙々とクリームあんみつを食べた。
「なんかデートみたいですねぇ」
一足先に食べ終わった保胤がお茶を飲みながらしみじみ呟く。一葉は喉に白玉を詰まらせる。
「げほっ! ごほごほっ!」
「そんなに動揺しなくても。違います?」
慌ててお茶で流し込み、もう一度咳払いした。
「ち、違……! いや、違わなくはないですけれど!」
「それは良かった。僕はあなたが好きだけれど一緒にいて僕ばかりが嬉しいのはそれはそれで寂しいものですから」
ストレートな言い方に照れてしまう。この人は何の前触れもなく突拍子もないことをいうから困ってしまう。
「……保胤様って返答に困ることをおっしゃいますよね」
「そうですかね? ところで、その“保胤様”ってやめませんか? 夫婦になるのに様も変でしょう?」
「あ……はい……それもそうですわね」
「はは、あからさまに困った顔してる。夫婦なんて言われて心外?」
「だから違いますってば! しつこいですよ、保胤さん!」
揶揄われっぱなしではいられないと一葉は反撃しようとしたが、一葉の返しに保胤は何故か嬉しそうだった。
「あ」
「今度はなんです……?」
さすがにもう驚きませんよと思った瞬間、一葉の唇に保胤の指が触れた。
親指の腹できゅっきゅっと擦るような仕草をする。最後に、ふにと唇を軽く摘まれた。
「付いてる」
保胤は一葉の唇についたあんみつのクリームをふき取り、その指を自分の口に持っていく。そして、ちゅっと音を立てて吸った。
一葉はその仕草に釘付けとなった。この時初めて一葉は保胤の顔を見たからだ。
初めて見た。
保胤の顔についた、大きな傷跡を。
「いらっしゃいましー! あらぁ、若旦那!」
保胤が扉を開けるやいなや、恰幅のいい女性の店員がその姿を見て声をあげる。
「女将さん、ご無沙汰しています」
「ほんとですよぉ! もうとっくに桃の時期は終わっちゃったわ! あらやだ! そちらの可愛らしい方は?」
女将と呼ばれた女性は目を輝かせながら保胤の背後にいた一葉を見た。
「僕の婚約者です。喜多治一葉さ……」
「んまぁーーーーー!!」
保胤が一葉の名前を言い終わる前に女将は口元に手を当てて歓声を上げる。その声はまるで声楽者のように店内に響き渡り、店にいた客は一斉に保胤達の方を見た。
「おい! なにデカい声出してんだ! 旦那、すいやせんね……ほんとうちのやつが」
奥から白い作務衣を着た中年の男性が出てきた。どうやらここの主人のようだ。
「早く奥のお座敷へお通ししろってんだよ」
「あ、ああそうだったわ! 二重三重にびっくりしたもんだからさぁ!」
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「ここはね、あんみつ屋です。最近はご無沙汰してしまっていたけれど日本橋を訪れた時は必ず立ち寄っているんです」
個室の座席に通され、一葉と保胤は向かい合う形で座った。保胤はお品書きを一葉に渡す。
「甘いものお好きなんですか?」
「そうですね。割と食べる方かもしれない。和菓子は得意な方ではなかったけれど、ここのは何故か食べられるんですよ。雑煮も出しているから軽食代わりに来たりね。一葉さんは甘いもの好きですか?」
「だ、大好きです」
「……ふ、大好きか。一葉さんは本当に正直ですね」
優しく微笑み返されて、顔には出さないけれど後ろめたさが募る。
正直なんて、既に大きな嘘をついている諜報員に向けられる言葉じゃない。一葉は保胤から目をそらし品書きを見た。
「保胤様のおすすめはありますか?」
「そうですねぇ……僕はこの季節のクリームあんみつかな。時季によって上に乗っている果物が変わるんです。僕は桃が好きで夏はよく食べていました」
「ああ、だからさっき」
「あいにく桃は終わってしまったようですね。今だと何かな。さつま芋かも」
「じゃあ、それにします」
「あなたは焼き芋もお好きですしね」
季節のクリームあんみつを2つ注文した。
「あの……」
「ん?」
覆面をずらし、器用に口元が見えないような角度でお茶をすする保胤に一葉は切り出した。
「先ほどは申し訳ありませんでした」
「髪飾りのこと?」
一葉の謝罪が何をさしているのか保胤はすぐに理解した。
「今日は私のために色々としてくださったのにあんな態度をとってしまってごめんなさ――」
「一葉さんってさ」
一葉の言葉を遮るように保胤は口を開いた。しかし、その言葉は続かない
「あの……?」
「……いや、やっぱりなんでもないです」
「な、なんですか?」
「えー?」
腕を組み、座椅子の背もたれに身体を預けながら目だけにやにやと笑っていた。
「気になります……! 最後までおっしゃってください」
「じゃあ、ひとつ。僕の質問に答えてください」
「はい! 何でも答えます!」
「さっきどうして泣いていたの?」
一葉は言葉に詰まる。
母との思い出。
そして、保胤の言葉に傷ついたから泣いていたとはとても言えなかった。
「僕と結婚するの、本当は嫌なんじゃないですか?」
違うと否定しようと一葉は口を開いたがつぐんでしまった。
「……戸惑っているのは確かです」
保胤に対してもうすでに自分は幾つもの嘘をついている。喜多治家の諜報員としてこの家にやってきた。保胤の妻となり、彼の近くで過ごすのは全ては緒方商会の情報を得るためだ。父と母を助けるためならなんだってやる。それが本心だった。
だけど――
「今朝もお伝えしましたがあなたのことが嫌だとかそういうのではないんです……それは本当に……」
声が震える。自分自身、うまく説明できない戸惑いと迷い。一葉のそのまま黙り込み俯く。
「一葉さ……」
「おまたせしましたぁー!」
保胤が口を開いたと同時に、襖を開けて女将が部屋へと入ってきた。
一葉はぱっと顔を上げて女将を見る。漆塗りのお盆にクリームあんみつを乗せて、一葉と保胤の前にそれぞれ置いた。
「若旦那は桃の方が良かったかもしれないけど、勘弁してくださいね! でも、これも美味しいから! アタシの自信作! それじゃあごゆっくりどうぞー!」
そう言って女将は颯爽と部屋を出て行った。
「……おや、当たりましたね」
「えっ?」
一葉は保胤を見た。こっちと合図するように保胤は目線を下へと向ける。一葉はあんみつの入った器を見た。
白玉、あんこ、寒天、アイスクリーム。そして蜜がたっぷり絡まったサイコロ状の大学芋が乗っていた。
「ほんとだ……」
思わず一葉の顔がほころんだ。
「食べましょう」
「は、はい」
促されて一葉は匙を手に取りあんみつをすくう。寒天とあんこを一緒に口に運んだ。
「おいしい……」
ため息交じりの声を漏らす。
保胤の言う通り上品な甘さだった。ぷりっとした寒天の歯ごたえもいい。今度は白玉と大学芋を一緒にすくって食べる。白玉の柔らかさに大学芋のカリッとした触感がたまらない。
口元を緩めながら夢中であんみつを食べる一葉をしばらく眺め、保胤も匙を手に取り食べ始めた。
「ほんとだ。久しぶりに食べたけどやっぱりおいしいな」
嬉しそうな保胤の声。一葉は身体がじわりと温まるような感覚がした。ふたりはそれ以上は言葉を交わさず、黙々とクリームあんみつを食べた。
「なんかデートみたいですねぇ」
一足先に食べ終わった保胤がお茶を飲みながらしみじみ呟く。一葉は喉に白玉を詰まらせる。
「げほっ! ごほごほっ!」
「そんなに動揺しなくても。違います?」
慌ててお茶で流し込み、もう一度咳払いした。
「ち、違……! いや、違わなくはないですけれど!」
「それは良かった。僕はあなたが好きだけれど一緒にいて僕ばかりが嬉しいのはそれはそれで寂しいものですから」
ストレートな言い方に照れてしまう。この人は何の前触れもなく突拍子もないことをいうから困ってしまう。
「……保胤様って返答に困ることをおっしゃいますよね」
「そうですかね? ところで、その“保胤様”ってやめませんか? 夫婦になるのに様も変でしょう?」
「あ……はい……それもそうですわね」
「はは、あからさまに困った顔してる。夫婦なんて言われて心外?」
「だから違いますってば! しつこいですよ、保胤さん!」
揶揄われっぱなしではいられないと一葉は反撃しようとしたが、一葉の返しに保胤は何故か嬉しそうだった。
「あ」
「今度はなんです……?」
さすがにもう驚きませんよと思った瞬間、一葉の唇に保胤の指が触れた。
親指の腹できゅっきゅっと擦るような仕草をする。最後に、ふにと唇を軽く摘まれた。
「付いてる」
保胤は一葉の唇についたあんみつのクリームをふき取り、その指を自分の口に持っていく。そして、ちゅっと音を立てて吸った。
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初めて見た。
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