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第二章 肉体の誘惑
18 竜人の奴隷を買ってやろうじゃないの!
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なんだろ、凄く、嫌な気持ちになる。
バシッ
「竜人は奴隷意外に価値ねぇんだよ! てめぇは持ち主に逆らえばどうなるか知らねぇほど、バカなんだな!」
――――あぁ、これ、無理
私は振り返る。
竜人は男に足蹴されて地面へ上半身を押し付けられている。少し反らされた横顔が目に入る。綺麗に物凄く真っ直ぐシャープに伸びた鼻梁。肌は少し青緑色掛かっていて唇は薄い。だけど黒く長いまつ毛に縁取られた眼は間違いなく強い意思を秘めている。そしてまるで小宇宙のように深い赤や黄色が混ざって見えるその瞳を、素直に美しいと思う。
「靴を舐めろって言ってるだろ!」
「いい加減にしなさい!」
私の声が響く。
「お嬢ちゃん!」
カレルの焦った声が妙に遠く感じる。
「なんだぁ? お嬢さんはこいつを気に入ったのか? 竜人とやるアバズレがいるとは聞いたが、随分と見目のいいアバズレがいたもんだ。ハードファックしてくれる客でも紹介しようか?」
私は男の下卑たにやけ顔を無視してネックレスを外し、彼に見せつける。
「どう? 美しい石でしょう。これは二つとないダイヤモンドという宝石よ。これで彼を買い取るわ」
「こいつは色々と金の成る木でなぁ、簡単には売れねぇんだよ」
「あら、いいの? 王都にいた宝石商はこれで余裕で家を買える金額を提示していたわ」
「……そいつを見せてみろ」
私は手からネックレスが離れないように気をつけながら奴隷商へと見せる。奴は静かにダイヤを見ていたが何かに気付いたのか、一気に顔を上げて私を見る。
「その取引、受けよう。返品不可だぞ、お嬢さん」
私は竜人の横にしゃがむと彼の首輪に繋がった紐に手を伸ばす。同時に奴隷商の手が掴んだネックレスから手を離す。
「大丈夫よ」
竜人は私の顔を見て、一瞬躊躇するが、ゆっくりと立ち上がる。背は高い。カレルよりも高い。私に手綱を引かれ、彼は警戒しながらも大人しく私達の後をついてくる。彼からすれば主人が変わっただけで日常が変わらないと思っているのだろうか。その思考回路が彼の日常を鮮明に物語っていて悲しさに胸が締め付けられるようだ。
私達は人集りになった輪から抜け出し、誰も追ってきていない事を確かめるように裏道を左右に曲がりながら早足で歩く。
「……大丈夫だ。追われていねぇようだな。お嬢ちゃん、奴隷を飼ってどうするんだ?」
「どうもしないわ。解放するだけよ。あれを見て何もしないなんて、私には無理」
裏道で私は立ち止まると竜人の首輪に触れる。
彼は無言で警戒心と恨みの籠った目で私を見るが、手を出さない。大人しく受け身になっている。
「本気でそいつを解放するのか?」
「えぇ。奴隷制度は賛同出来ない」
「首輪に触れて『リリース』と言えば解放される筈だ」
「リリース」
首輪が光るとすぐにカチッと音がして首輪が落ちる。竜人は首を隠して私達の手の届かない距離へと逃げる。
「町中は危ないから気をつけて。もう捕まっちゃダメよ」
彼は無言で私を見ている。私を観察する瞳は意外と知的だ。私は少し微笑むと彼の前に持っていた干し肉を置いて離れる。
「バイバイ。無事に逃げられる事を祈っているわ」
にっこりして手を振り、渋い顔をしているカレルを見上げる。
バシッ
「竜人は奴隷意外に価値ねぇんだよ! てめぇは持ち主に逆らえばどうなるか知らねぇほど、バカなんだな!」
――――あぁ、これ、無理
私は振り返る。
竜人は男に足蹴されて地面へ上半身を押し付けられている。少し反らされた横顔が目に入る。綺麗に物凄く真っ直ぐシャープに伸びた鼻梁。肌は少し青緑色掛かっていて唇は薄い。だけど黒く長いまつ毛に縁取られた眼は間違いなく強い意思を秘めている。そしてまるで小宇宙のように深い赤や黄色が混ざって見えるその瞳を、素直に美しいと思う。
「靴を舐めろって言ってるだろ!」
「いい加減にしなさい!」
私の声が響く。
「お嬢ちゃん!」
カレルの焦った声が妙に遠く感じる。
「なんだぁ? お嬢さんはこいつを気に入ったのか? 竜人とやるアバズレがいるとは聞いたが、随分と見目のいいアバズレがいたもんだ。ハードファックしてくれる客でも紹介しようか?」
私は男の下卑たにやけ顔を無視してネックレスを外し、彼に見せつける。
「どう? 美しい石でしょう。これは二つとないダイヤモンドという宝石よ。これで彼を買い取るわ」
「こいつは色々と金の成る木でなぁ、簡単には売れねぇんだよ」
「あら、いいの? 王都にいた宝石商はこれで余裕で家を買える金額を提示していたわ」
「……そいつを見せてみろ」
私は手からネックレスが離れないように気をつけながら奴隷商へと見せる。奴は静かにダイヤを見ていたが何かに気付いたのか、一気に顔を上げて私を見る。
「その取引、受けよう。返品不可だぞ、お嬢さん」
私は竜人の横にしゃがむと彼の首輪に繋がった紐に手を伸ばす。同時に奴隷商の手が掴んだネックレスから手を離す。
「大丈夫よ」
竜人は私の顔を見て、一瞬躊躇するが、ゆっくりと立ち上がる。背は高い。カレルよりも高い。私に手綱を引かれ、彼は警戒しながらも大人しく私達の後をついてくる。彼からすれば主人が変わっただけで日常が変わらないと思っているのだろうか。その思考回路が彼の日常を鮮明に物語っていて悲しさに胸が締め付けられるようだ。
私達は人集りになった輪から抜け出し、誰も追ってきていない事を確かめるように裏道を左右に曲がりながら早足で歩く。
「……大丈夫だ。追われていねぇようだな。お嬢ちゃん、奴隷を飼ってどうするんだ?」
「どうもしないわ。解放するだけよ。あれを見て何もしないなんて、私には無理」
裏道で私は立ち止まると竜人の首輪に触れる。
彼は無言で警戒心と恨みの籠った目で私を見るが、手を出さない。大人しく受け身になっている。
「本気でそいつを解放するのか?」
「えぇ。奴隷制度は賛同出来ない」
「首輪に触れて『リリース』と言えば解放される筈だ」
「リリース」
首輪が光るとすぐにカチッと音がして首輪が落ちる。竜人は首を隠して私達の手の届かない距離へと逃げる。
「町中は危ないから気をつけて。もう捕まっちゃダメよ」
彼は無言で私を見ている。私を観察する瞳は意外と知的だ。私は少し微笑むと彼の前に持っていた干し肉を置いて離れる。
「バイバイ。無事に逃げられる事を祈っているわ」
にっこりして手を振り、渋い顔をしているカレルを見上げる。
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