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第二章 肉体の誘惑
24 恐怖で暴れる鼓動
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◇
朝起きると竜人のベッドは空だ。いなくなったかと思い少し上半身を起こすと私のベッド横の床に寝っ転がって丸まっている。長年の奴隷生活でベッドは苦手らしい。
前髪が上がっていて顔が良く見える。
竜人の年齢の取り方はわからないが、若い顔だ。昨日は見えなかった耳先が僅かに尖がっているのを発見する。時折それがぴくぴくと動く。
――――触りたい! 尻尾も触ってみたい! 仲良くなったら触らせて貰えるのかな?
耳から彼の顔に視線を移すと目が開いていて私を観察している。
「おはよう」
「……おはよう」
「おはよ」
まだ寝ていたと思っていたカレルまで起きている。私が起きると彼の腕が私のお腹から離れる。
「もう行こうか。出発は早い方がいい」
荷物をまとめ、宿を出る。カレルの考えで私の荷物はフユウが持っている。町から離れるまでは奴隷の振りをしている方が安全だ。
空はまだほんのり明るくなり始めたばかりだ。それでもかなりの人数が町中にごった返している。
町を出て私はフユウから荷物を返して貰い、カレルと衝突地までの数時間の道程を歩く。
気付いたらフユウはいなくなっていた。左右、背後を見てみるがどこにも見当たらない。
――――少しでも嫌な思い出がなくなるといいな
フユウの事を考えていたはずなのに、頭には健司と由香が過る。
町の外は廃れた建物や枯れた木々が真っ黒になって佇んでいる。その建物の間を通りながら三十分ほど歩いていると廃墟に少しずつ太陽が当たり始める。
砂が風で舞い上がって廃墟の隙間から向こうへと侵入する。
先程からカレルが無口になっている。
パキッ
落ちた瓦礫の上を踏むと小さく割れる音がする。だがそれは私の足元からだけではない。少し前から私達の左右からも同じような小さな音が複数聞こえてきている。
「くそ、そろそろか。お嬢ちゃん、騒いだり動いたりするんじゃねぇぞ」
私は速まる鼓動に余計緊張しながら何度も頷く。
広く空いたスペースに出るとカレルは無言で剣を抜く。
ヒュンッ キィィィィイイン!
カレルの後ろから矢が飛んでくる。彼は身をひるがえし、それをブレードで叩き落とす。
砂漠の砂と同じような色合いの布に身を包んだ男が廃墟の横から飛び出すと手を光らせ、大量の水を放出する。
噴水のように吹き出した物を避けてカレルは跳び上がる。砂に落ちた水はすぐには染み込まずに砂を濃く色付かせてからゆっくりと飲み込まれていく。
キィィイイイン
カレルは剣を構え直して現れた別の山賊に斬りかかる。
だが更に三人現れる。
その人数にカレルは火を放つが一人は向きを変え、私の横を掠めるように走る。
「動くな! 女の首が胴体から離れるぞ」
朝起きると竜人のベッドは空だ。いなくなったかと思い少し上半身を起こすと私のベッド横の床に寝っ転がって丸まっている。長年の奴隷生活でベッドは苦手らしい。
前髪が上がっていて顔が良く見える。
竜人の年齢の取り方はわからないが、若い顔だ。昨日は見えなかった耳先が僅かに尖がっているのを発見する。時折それがぴくぴくと動く。
――――触りたい! 尻尾も触ってみたい! 仲良くなったら触らせて貰えるのかな?
耳から彼の顔に視線を移すと目が開いていて私を観察している。
「おはよう」
「……おはよう」
「おはよ」
まだ寝ていたと思っていたカレルまで起きている。私が起きると彼の腕が私のお腹から離れる。
「もう行こうか。出発は早い方がいい」
荷物をまとめ、宿を出る。カレルの考えで私の荷物はフユウが持っている。町から離れるまでは奴隷の振りをしている方が安全だ。
空はまだほんのり明るくなり始めたばかりだ。それでもかなりの人数が町中にごった返している。
町を出て私はフユウから荷物を返して貰い、カレルと衝突地までの数時間の道程を歩く。
気付いたらフユウはいなくなっていた。左右、背後を見てみるがどこにも見当たらない。
――――少しでも嫌な思い出がなくなるといいな
フユウの事を考えていたはずなのに、頭には健司と由香が過る。
町の外は廃れた建物や枯れた木々が真っ黒になって佇んでいる。その建物の間を通りながら三十分ほど歩いていると廃墟に少しずつ太陽が当たり始める。
砂が風で舞い上がって廃墟の隙間から向こうへと侵入する。
先程からカレルが無口になっている。
パキッ
落ちた瓦礫の上を踏むと小さく割れる音がする。だがそれは私の足元からだけではない。少し前から私達の左右からも同じような小さな音が複数聞こえてきている。
「くそ、そろそろか。お嬢ちゃん、騒いだり動いたりするんじゃねぇぞ」
私は速まる鼓動に余計緊張しながら何度も頷く。
広く空いたスペースに出るとカレルは無言で剣を抜く。
ヒュンッ キィィィィイイン!
カレルの後ろから矢が飛んでくる。彼は身をひるがえし、それをブレードで叩き落とす。
砂漠の砂と同じような色合いの布に身を包んだ男が廃墟の横から飛び出すと手を光らせ、大量の水を放出する。
噴水のように吹き出した物を避けてカレルは跳び上がる。砂に落ちた水はすぐには染み込まずに砂を濃く色付かせてからゆっくりと飲み込まれていく。
キィィイイイン
カレルは剣を構え直して現れた別の山賊に斬りかかる。
だが更に三人現れる。
その人数にカレルは火を放つが一人は向きを変え、私の横を掠めるように走る。
「動くな! 女の首が胴体から離れるぞ」
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