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第二章 肉体の誘惑
25 竜人の戦闘能力
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冷たく、鋭いブレードが私の首に押し付けられる。山賊は背後から私を押さえ込み、肩を強く掴まれる。禍々しい色をした刃が光を反射し、僅かに首に痛みが走る。
恐怖で全身が強張る。
カレルはすぐに剣を目の前の地面に刺し、両手を上げる。
「……止めてくれ」
「動くなよ」
カレルの言葉に山賊はニヤついた声で私の首から剣を少し離す。
掴まれて少し後ろに体を反らされ、足がぷるぷると震え出す。不安定な足場に立っているせいではない。胸の奥から恐怖が滲み出て呼吸を荒くする。
砂埃の向こうにいるカレルを見たいのに、目は首元の剣に吸い寄せられてそればかりを見てしまう。
ジャリッ
重く、力強いジャリを踏み付ける音が右から聞こえる。
青緑色が視界を掠めたかと思うとその瞬間にはフユウの大きな手が剣を握る山賊の手を掴んで引っ張り、もう一方の手で私をブレードの下の方へと引っ張り出す。
いきなりバランスが崩れた山賊の体がよろめき、瓦礫の上に尻餅を着く。
瞳孔の開ききった獣の目をした竜人の力強い蹴りが砂埃の中央へと躊躇なく繰り出される。
強張ったままの私の体を片腕で抱き寄せ、フユウは周りに視線を走らせる。
カレルはその隙を逃さず、体を回転させて跳躍しながら山賊達に斬りつける。
ヴォォォオオオン
彼の剣が空気を裂き、低い音を放ちながら砂と瓦礫と血が宙に舞う。炎が地面を這うように走り、複数の場所で火花が舞う。水が流れて火が消え、別の場所では氷細い柱が地面から立ち上がる。
魔法が使われる度に荒野の空気が震える。音がする。
フユウは私を離して背後に近付いた山賊を蹴り飛ばす。廃墟の壁へと跳び、足をバネにしてその反動で山賊に攻撃をする。
恐怖で耳鳴りが酷い。私は止まらない体の震えにその場でしゃがみ込み、静かに二人の戦闘を見守る。
矢と剣と魔法。山賊はカレルを跪かせようとするが、傭兵は身を低く落として跳躍する。
カレルとフユウは私を護りながら一人また一人と山賊を追い詰めていく。
ついには諦めたのだろうか。
ピィィィィ!
どこかで笛の音がすると山賊達は一斉に身を引いていなくなる。
残ったのは砂埃と、砂と瓦礫の上に残った魔法の残骸と、血痕と、恐怖と緊張で止まらない震えと耳に煩く暴れる鼓動の音。
呼吸が荒れたカレルは私にそっと近付くと剣を地面に刺し、しゃがんで私と目線を合わせる。
「もう大丈夫だ。怖かったな。ごめんな」
彼の低く落ち着いた声に涙が出る。カレルは優しく私の肩を抱き寄せると、震える私を包み込むように抱き締めてくれる。
優しく背中を擦られ、小さな嗚咽が漏れてしまう。彼の広い背中にしがみ付いてその厚い胸に顔を押し付けて泣く。
恐怖で全身が強張る。
カレルはすぐに剣を目の前の地面に刺し、両手を上げる。
「……止めてくれ」
「動くなよ」
カレルの言葉に山賊はニヤついた声で私の首から剣を少し離す。
掴まれて少し後ろに体を反らされ、足がぷるぷると震え出す。不安定な足場に立っているせいではない。胸の奥から恐怖が滲み出て呼吸を荒くする。
砂埃の向こうにいるカレルを見たいのに、目は首元の剣に吸い寄せられてそればかりを見てしまう。
ジャリッ
重く、力強いジャリを踏み付ける音が右から聞こえる。
青緑色が視界を掠めたかと思うとその瞬間にはフユウの大きな手が剣を握る山賊の手を掴んで引っ張り、もう一方の手で私をブレードの下の方へと引っ張り出す。
いきなりバランスが崩れた山賊の体がよろめき、瓦礫の上に尻餅を着く。
瞳孔の開ききった獣の目をした竜人の力強い蹴りが砂埃の中央へと躊躇なく繰り出される。
強張ったままの私の体を片腕で抱き寄せ、フユウは周りに視線を走らせる。
カレルはその隙を逃さず、体を回転させて跳躍しながら山賊達に斬りつける。
ヴォォォオオオン
彼の剣が空気を裂き、低い音を放ちながら砂と瓦礫と血が宙に舞う。炎が地面を這うように走り、複数の場所で火花が舞う。水が流れて火が消え、別の場所では氷細い柱が地面から立ち上がる。
魔法が使われる度に荒野の空気が震える。音がする。
フユウは私を離して背後に近付いた山賊を蹴り飛ばす。廃墟の壁へと跳び、足をバネにしてその反動で山賊に攻撃をする。
恐怖で耳鳴りが酷い。私は止まらない体の震えにその場でしゃがみ込み、静かに二人の戦闘を見守る。
矢と剣と魔法。山賊はカレルを跪かせようとするが、傭兵は身を低く落として跳躍する。
カレルとフユウは私を護りながら一人また一人と山賊を追い詰めていく。
ついには諦めたのだろうか。
ピィィィィ!
どこかで笛の音がすると山賊達は一斉に身を引いていなくなる。
残ったのは砂埃と、砂と瓦礫の上に残った魔法の残骸と、血痕と、恐怖と緊張で止まらない震えと耳に煩く暴れる鼓動の音。
呼吸が荒れたカレルは私にそっと近付くと剣を地面に刺し、しゃがんで私と目線を合わせる。
「もう大丈夫だ。怖かったな。ごめんな」
彼の低く落ち着いた声に涙が出る。カレルは優しく私の肩を抱き寄せると、震える私を包み込むように抱き締めてくれる。
優しく背中を擦られ、小さな嗚咽が漏れてしまう。彼の広い背中にしがみ付いてその厚い胸に顔を押し付けて泣く。
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