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第二章 肉体の誘惑
26 星屑のクレーター
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どれぐらい泣いていたのだろうか。
落ち着いてカレルの胸から顔を上げるとフユウが少し離れた場所で周りを警戒しながら私を護っている。カレルはまだ冷たい私の指先を温かな手で包み込むように握る。自分でも少しずつ緊張と恐怖が収まってくるのを感じる。
「頑張ったな。良く我慢した」
彼の声とずっと背中をゆっくりと大きな手で撫でてくれる感覚に落ち着く。
「護ってくれて、ありがとう」
「命を掛けてケイを護るさ」
彼は優しく私の額にキスをする。私は顔を上げて彼の唇に自分のを重ねる。熱い舌がすぐに入り込んで来て舌を絡めとる。彼の香りに、味に、ようやく震えが止まる。
少し軽めのキスが終わると私はゆっくりと立ち上がる。カレルはまだ少しふら付く私の足元を気にして腰に腕を回して支えてくれる。私は隣で大人しく立っているフユウを見上げる。
「フユウも、ありがとう。命を助けてくれたね」
手を広げて彼に伸ばすと、彼は少し戸惑いながらも手に触れてくれる。少し冷たい体温だけど皮膚はとても滑らかで気持ちがいい。
優しく両手で彼を抱き締めると彼が困ったように固まる。腕は左右で私を抱き締めるように広げられているが、私の体には触れてこない。森のような体臭に目を閉じる。
「ケイ……怖くない、もう」
「うん、ありがとう。戻って来てくれたんだね」
彼は頭を振る。
「一緒」
「ずっと一緒について来てくれていたの?」
彼は少し頷く。
「フユウ、助かった。いい動きをするな」
竜人は傭兵を見て頷く。
「俺、闘技場で勝つ、よく。だから怖くない」
「闘技場?」
「奴隷や竜人同志を戦わせて賭け事をする奴等がいる。そいつはそこで戦って勝ってきた戦士だろ。冷静で判断力がある」
「……私の為に戦ってくれて、ありがとう」
まだ固まっている彼を離し、周りを見回す。
「あの山賊達は戻って来るの?」
「……いや、多分お嬢ちゃんを攫って人身売買するつもりだったんだろ。一度失敗すれば割に合わねぇって基本的にはもう襲ってこねぇ。あの集団は。別の集団は普通に襲ってくるからな。気をつけよう」
カレルは地面から剣を抜いて仕舞う。
「ここら辺は本当に治安が悪い。なるべく早く目的地へ行こう」
そこからはカレルが私の右を、私の荷物を持ったフユウが私の左で歩いてくれる。時折大地の小さな石の動く音や瓦礫の落ちる音で私が飛び上がるとカレルの落ち着いた声で『大丈夫だ』と慰めて貰ってから再び歩き出す。
そして、星屑の衝突地に着く。
荒野の中央をえぐるようにして大地は黒く放射状に広がって焼けただれていた。溶岩が固まったような黒い岩がゴツゴツと地面を埋め尽くしている。
「……気持ち悪い」
フユウが低く呟くと彼の尻尾が空気を払うように何度も激しく左右に振れる。
「あぁ、空気が重いよな」
二人の声には隠せない嫌悪と警戒が滲んでいる。
彼等の言う『空気が重い』の感覚は分からないが、確かに何か不穏な気配がする。焦げ付いた岩肌は異様にねじれてまるで内側から押し広げられたように裂け目が幾重にも走っている。
そこから何かが立ち上がっている気がする。
落ち着いてカレルの胸から顔を上げるとフユウが少し離れた場所で周りを警戒しながら私を護っている。カレルはまだ冷たい私の指先を温かな手で包み込むように握る。自分でも少しずつ緊張と恐怖が収まってくるのを感じる。
「頑張ったな。良く我慢した」
彼の声とずっと背中をゆっくりと大きな手で撫でてくれる感覚に落ち着く。
「護ってくれて、ありがとう」
「命を掛けてケイを護るさ」
彼は優しく私の額にキスをする。私は顔を上げて彼の唇に自分のを重ねる。熱い舌がすぐに入り込んで来て舌を絡めとる。彼の香りに、味に、ようやく震えが止まる。
少し軽めのキスが終わると私はゆっくりと立ち上がる。カレルはまだ少しふら付く私の足元を気にして腰に腕を回して支えてくれる。私は隣で大人しく立っているフユウを見上げる。
「フユウも、ありがとう。命を助けてくれたね」
手を広げて彼に伸ばすと、彼は少し戸惑いながらも手に触れてくれる。少し冷たい体温だけど皮膚はとても滑らかで気持ちがいい。
優しく両手で彼を抱き締めると彼が困ったように固まる。腕は左右で私を抱き締めるように広げられているが、私の体には触れてこない。森のような体臭に目を閉じる。
「ケイ……怖くない、もう」
「うん、ありがとう。戻って来てくれたんだね」
彼は頭を振る。
「一緒」
「ずっと一緒について来てくれていたの?」
彼は少し頷く。
「フユウ、助かった。いい動きをするな」
竜人は傭兵を見て頷く。
「俺、闘技場で勝つ、よく。だから怖くない」
「闘技場?」
「奴隷や竜人同志を戦わせて賭け事をする奴等がいる。そいつはそこで戦って勝ってきた戦士だろ。冷静で判断力がある」
「……私の為に戦ってくれて、ありがとう」
まだ固まっている彼を離し、周りを見回す。
「あの山賊達は戻って来るの?」
「……いや、多分お嬢ちゃんを攫って人身売買するつもりだったんだろ。一度失敗すれば割に合わねぇって基本的にはもう襲ってこねぇ。あの集団は。別の集団は普通に襲ってくるからな。気をつけよう」
カレルは地面から剣を抜いて仕舞う。
「ここら辺は本当に治安が悪い。なるべく早く目的地へ行こう」
そこからはカレルが私の右を、私の荷物を持ったフユウが私の左で歩いてくれる。時折大地の小さな石の動く音や瓦礫の落ちる音で私が飛び上がるとカレルの落ち着いた声で『大丈夫だ』と慰めて貰ってから再び歩き出す。
そして、星屑の衝突地に着く。
荒野の中央をえぐるようにして大地は黒く放射状に広がって焼けただれていた。溶岩が固まったような黒い岩がゴツゴツと地面を埋め尽くしている。
「……気持ち悪い」
フユウが低く呟くと彼の尻尾が空気を払うように何度も激しく左右に振れる。
「あぁ、空気が重いよな」
二人の声には隠せない嫌悪と警戒が滲んでいる。
彼等の言う『空気が重い』の感覚は分からないが、確かに何か不穏な気配がする。焦げ付いた岩肌は異様にねじれてまるで内側から押し広げられたように裂け目が幾重にも走っている。
そこから何かが立ち上がっている気がする。
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