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第四章 蟲の番いはイキ溺れる
25 ロカという蟲の精霊
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◇
ゴブリンの首が転がった通路から更に何度も角を曲がり、隠れた扉なども通り、その数日後。
ダンジョンの奥深くに隠されたロカの部屋へと到着する。部屋に入る直前、ロカは俺の方を見て何かを言おうとするがすぐに口を閉ざす。結局一言のみ少し緊張した声で発する。
「引かないで」
彼は隠れ扉をゆっくりと開けて俺が入れるように体を退かす。
完全に通路から閉ざされた空間だ。真っ黒である。
「ちょっと待っていて」
ロカは壁の松明に火を移していく。少しずつ明るくなってくる室内。隠し部屋なのに中は以外と広い。
外の廊下と同じ様な雰囲気かと思っていたが中は全く違っていた。無機質な廊下とは違い、柔らかなそうな布が壁やベッドの天蓋を覆っている。
巨大なベッドの横の壁一面に『俺』がいる。今までの俺の功績に関する書類や色んな町で売った物、廃棄した物もいくつかある。昔撮った写真が大事そうに飾られている。ダンジョンに入る直前外で撮った記録用の物だ。あのパーティーメンバーで撮った物の俺だけを切り出している。写真で帰還した者としなかった者を照らし合わせて死者を記録する為の物だ。その写真を厚いガラスで囲っている。写真のすぐ下に取り付けられた棚には俺が淫階で捨てて行った物が幾つも飾られている。そしてその真横のガラス棚にはあの時彼の腹部の傷に巻いた裂いた服の布。
「……お前、すげぇな。いや、想像していた以上のストーカーだったな」
「だから……言ったでしょう。貴方の事をずっと考えていた。ずっと、追っていた。アセンは俺の全てだから。……ストーカーの俺は嫌?」
俺はその祭壇からロカに視線を移す。笑いながら彼の体を引き寄せる。
「はは、嫌じゃねぇよ。ロカのその俺に対する執念は、最高に興奮する。お前はずっと俺だけ見てろ」
二人でベッドにもつれ込む。キスをしながら彼の尻を両手で撫で廻す。服越しでも気持ちのいい弾力を楽しむ。
「なぁ、……ロカの蟲姿が見たい」
ロカが却下する前に彼の顔を掴んで激しく舌を絡める。
「大事な事だ。俺に全部曝せよ、ロカ。あの可愛い白い姿が、また見たい」
彼の体が緊張で強張ってくる。俺は優しく彼を抱き締める。
「隠すなよ。もうすでに一度見ているんだ。俺が大丈夫だと言っているんだ、信じろよ。また、見せてくれ」
手を離してベッドから一歩下がる。彼は数回深呼吸をして俺と目を合わせる。無言で服を脱いでいく。ダンジョンがドクンと鼓動した気がする。
裸になると彼はベッドから降りて開いた空間の方へと歩いて行く。俺と目を合わせる。彼の綺麗な裸体が白く発光いるようだ。
「愛してる、アセン。……俺を……嫌いにならないで」
彼の綺麗な顔が震える。一気に顔も体も肥大していく。目が押し出され、肌が裂けていく。白い滑りが出てくる。骨が粉砕されるようなパキパキとした音がする。
俺はその光景を食い入るように見る。
――――……なんだ、この……感覚は。ロカが……破けて中身が活き活きと溢れ出る。とても、ロカがとても卑猥な感じがする。興奮する。嫌いになんかなるかよ
「……すげぇ」
綺麗な乳白色の大きな体躯だ。幅だけでも俺の上半身ぐらいの太さがある。身長はそれよりも更に高い。蟲と言っても見た目は芋虫によく似た生物で頭の方には粒々とした球体の紫の目が八つ浮かんでいる。その下には少し尖った口先となっていて丸く開いている。細い半透明な触覚がフワフワと畝りながら口から出て蠢いている。あの時と同じように可愛らしい小さな足が体の下の方に幾つもある。
ゆっくりと手を伸ばし、彼に触れる。彼の体が強張る。ずんぐりとした皮膚は触ってみるととても柔らかく、もちもちとしていて、彼の唇の触感を思わせる。
「綺麗な色。髪の毛と同じだ」
優しく彼の体の表面を撫でると触れた部分が波打つように蠢く。先程よりも濡れた触感に手を離してみると何本もの粘着質な細い糸が二人を結ぶ。手を口元に持ってきて少し舐めてみると彼の甘い味がする。
「俺の体をこの体液に慣らしていたのか?」
蟲は僅かに頷いた、気がする。
彼の脇腹を見るとあの薄い傷痕が残っている。
「……よかった。あの後、心配していた。こんなに大きく成長して。……頑張ったな。本当に、あの時、会えて良かった」
彼に手を付けると蟲は頭を垂れて俺に擦り寄る。あの時と同じように。
「ふっ、やっぱ可愛いよ、お前は。全然醜くない。ロカは人間姿でも蟲姿でも可愛い」
彼の体を見渡す。
「……なぁ、生殖器ってどうなっている? ある?」
彼は頷いてから頭を振る。
「何? まだ見せてくれないの?」
ロカが僅かに身を引く。俺は笑いながらその身体をまた撫でる。
「ははは、だってお前が蟲姿の時は俺達の肌の重ね方が変わるんだ。先に知っておきたい」
ロカはゆっくりと俺に頭を擦り付ける。
優しく体を撫でるとやはり粘着質な分泌液が増える。彼の顔の方へと手を伸ばす。目と目の間を何度もなぞる。少し手を下に動かして彼の口に触れる。透明な触手が俺の腕に恐る恐る触れる。一本一本俺の親指二本分ぐらいで足の付け根から爪先程の長さだ。全部で五本ある。その触手が俺の手に軽るく触れる。少しずつ上がってきて喉で俺から離れる。
「それしか触らないの?」
彼の動きが止まり恐る恐る俺の顎に軽く触れる。俺は微笑みながら目を閉じる。
「俺に夜這いした強引さはどうした、ロカ」
触手が俺の唇をそっとなぞる。俺が口を開けると一本ゆっくりと入ってくる。
――――あぁ、ロカの味はやっぱりロカだ
ゴブリンの首が転がった通路から更に何度も角を曲がり、隠れた扉なども通り、その数日後。
ダンジョンの奥深くに隠されたロカの部屋へと到着する。部屋に入る直前、ロカは俺の方を見て何かを言おうとするがすぐに口を閉ざす。結局一言のみ少し緊張した声で発する。
「引かないで」
彼は隠れ扉をゆっくりと開けて俺が入れるように体を退かす。
完全に通路から閉ざされた空間だ。真っ黒である。
「ちょっと待っていて」
ロカは壁の松明に火を移していく。少しずつ明るくなってくる室内。隠し部屋なのに中は以外と広い。
外の廊下と同じ様な雰囲気かと思っていたが中は全く違っていた。無機質な廊下とは違い、柔らかなそうな布が壁やベッドの天蓋を覆っている。
巨大なベッドの横の壁一面に『俺』がいる。今までの俺の功績に関する書類や色んな町で売った物、廃棄した物もいくつかある。昔撮った写真が大事そうに飾られている。ダンジョンに入る直前外で撮った記録用の物だ。あのパーティーメンバーで撮った物の俺だけを切り出している。写真で帰還した者としなかった者を照らし合わせて死者を記録する為の物だ。その写真を厚いガラスで囲っている。写真のすぐ下に取り付けられた棚には俺が淫階で捨てて行った物が幾つも飾られている。そしてその真横のガラス棚にはあの時彼の腹部の傷に巻いた裂いた服の布。
「……お前、すげぇな。いや、想像していた以上のストーカーだったな」
「だから……言ったでしょう。貴方の事をずっと考えていた。ずっと、追っていた。アセンは俺の全てだから。……ストーカーの俺は嫌?」
俺はその祭壇からロカに視線を移す。笑いながら彼の体を引き寄せる。
「はは、嫌じゃねぇよ。ロカのその俺に対する執念は、最高に興奮する。お前はずっと俺だけ見てろ」
二人でベッドにもつれ込む。キスをしながら彼の尻を両手で撫で廻す。服越しでも気持ちのいい弾力を楽しむ。
「なぁ、……ロカの蟲姿が見たい」
ロカが却下する前に彼の顔を掴んで激しく舌を絡める。
「大事な事だ。俺に全部曝せよ、ロカ。あの可愛い白い姿が、また見たい」
彼の体が緊張で強張ってくる。俺は優しく彼を抱き締める。
「隠すなよ。もうすでに一度見ているんだ。俺が大丈夫だと言っているんだ、信じろよ。また、見せてくれ」
手を離してベッドから一歩下がる。彼は数回深呼吸をして俺と目を合わせる。無言で服を脱いでいく。ダンジョンがドクンと鼓動した気がする。
裸になると彼はベッドから降りて開いた空間の方へと歩いて行く。俺と目を合わせる。彼の綺麗な裸体が白く発光いるようだ。
「愛してる、アセン。……俺を……嫌いにならないで」
彼の綺麗な顔が震える。一気に顔も体も肥大していく。目が押し出され、肌が裂けていく。白い滑りが出てくる。骨が粉砕されるようなパキパキとした音がする。
俺はその光景を食い入るように見る。
――――……なんだ、この……感覚は。ロカが……破けて中身が活き活きと溢れ出る。とても、ロカがとても卑猥な感じがする。興奮する。嫌いになんかなるかよ
「……すげぇ」
綺麗な乳白色の大きな体躯だ。幅だけでも俺の上半身ぐらいの太さがある。身長はそれよりも更に高い。蟲と言っても見た目は芋虫によく似た生物で頭の方には粒々とした球体の紫の目が八つ浮かんでいる。その下には少し尖った口先となっていて丸く開いている。細い半透明な触覚がフワフワと畝りながら口から出て蠢いている。あの時と同じように可愛らしい小さな足が体の下の方に幾つもある。
ゆっくりと手を伸ばし、彼に触れる。彼の体が強張る。ずんぐりとした皮膚は触ってみるととても柔らかく、もちもちとしていて、彼の唇の触感を思わせる。
「綺麗な色。髪の毛と同じだ」
優しく彼の体の表面を撫でると触れた部分が波打つように蠢く。先程よりも濡れた触感に手を離してみると何本もの粘着質な細い糸が二人を結ぶ。手を口元に持ってきて少し舐めてみると彼の甘い味がする。
「俺の体をこの体液に慣らしていたのか?」
蟲は僅かに頷いた、気がする。
彼の脇腹を見るとあの薄い傷痕が残っている。
「……よかった。あの後、心配していた。こんなに大きく成長して。……頑張ったな。本当に、あの時、会えて良かった」
彼に手を付けると蟲は頭を垂れて俺に擦り寄る。あの時と同じように。
「ふっ、やっぱ可愛いよ、お前は。全然醜くない。ロカは人間姿でも蟲姿でも可愛い」
彼の体を見渡す。
「……なぁ、生殖器ってどうなっている? ある?」
彼は頷いてから頭を振る。
「何? まだ見せてくれないの?」
ロカが僅かに身を引く。俺は笑いながらその身体をまた撫でる。
「ははは、だってお前が蟲姿の時は俺達の肌の重ね方が変わるんだ。先に知っておきたい」
ロカはゆっくりと俺に頭を擦り付ける。
優しく体を撫でるとやはり粘着質な分泌液が増える。彼の顔の方へと手を伸ばす。目と目の間を何度もなぞる。少し手を下に動かして彼の口に触れる。透明な触手が俺の腕に恐る恐る触れる。一本一本俺の親指二本分ぐらいで足の付け根から爪先程の長さだ。全部で五本ある。その触手が俺の手に軽るく触れる。少しずつ上がってきて喉で俺から離れる。
「それしか触らないの?」
彼の動きが止まり恐る恐る俺の顎に軽く触れる。俺は微笑みながら目を閉じる。
「俺に夜這いした強引さはどうした、ロカ」
触手が俺の唇をそっとなぞる。俺が口を開けると一本ゆっくりと入ってくる。
――――あぁ、ロカの味はやっぱりロカだ
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