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第一章 記憶喪失の男
※2 見せ付け見せ付けられ(挿絵)
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次に目が覚めた時、彼はいなかった。気配に敏感な俺を起こさなかった事にびっくりする。
周囲の気配を探ってみると滝の方から僅かに男の動きを感じる。小さくなった焚火を完全に消し、荷物を持って移動する。
狼や動物はいつも以上に俺を警戒をしている。男から俺の匂いを嗅ぎ取ったのか、彼にも近付いていないみたいだ。
ピチャ バシャ
男は滝の下にいた。
流れる水で体を洗っている。冷たい飛沫が上がり、見事に引き締まった体の上を滑っていく。幾十もの水の筋が彼の背中から浮いた背骨に沿って流れ、掴み心地の良さそうな尻の割れ目を伝う。
頭部や狼に噛まれた部分に巻き付けた布は取られ、直接滝に当てて洗っている。薬の効力で傷はそれなりに治癒が早い。それでも真っ赤に裂けた肉からはもう流血していないにしても、真新しい肉が柔らかく盛り上がっていて痛そうである。濡れた茶色の髪は水辺の泥のように艶がある。僅かに足を拡げて滝の後ろ岩に両腕を付いている体勢に、どうしても下半身が反応をする。
――――いい体をしている
濃い水の香りに酔いそうだ。
「……私を助けてくれたのか? ありがとう」
俺の声ほど低くはないが耳に心地いい低さだ。とても静かで無感情な話し方。あまりありがとうという感情は感じられない。
「どういたしまして。深夜、お前は霧の中で狼に襲われていた。覚えているか?」
俺の方を見ずに滝に打たれ続けている。
「あまり」
「この山はモンスターや動物が多い。滅多に人間は入って来ないから警戒されて攻撃されたんだろう」
男は俺の視線を気にしないで滝に打たれる。両手を岩肌から放して髪に指を通す。肩甲骨が浮かび上がり、括れが強調される。
そして盛り上がった色っぽい尻。
「……物欲しそうに見るな、男だぞ」
「見せつけているのはお前だろ」
男は両手を下ろすと体を俺に向ける。濡れた一糸まとわぬ姿を躊躇なく俺の目に曝す。反らせたくなる首、甘噛みしたくなるような乳首、綺麗な臍の窪み、太陽の光を弾く濡れた陰毛、その下に垂れ下がった真っ直ぐな陰茎。
そして新緑のようにインパクトの強い綺麗なエメラルドの瞳。
その瞳は俺を冷たく軽蔑するように真っ直ぐ見つめる。
無意識に唸る。
「俺に犯されてぇのか」
「命を助けた代わりの一発でもさせろと?」
「一発じゃ足りねぇな。物凄くいい声で啼きそうじゃねえか」
「そんなにやりたけりゃ昨日あのままやればよかっただろ」
「なんだ、狸寝入りしていやがったのか」
男は滝下から出てゆっくりと俺の方へと歩いて来る。
思っていたのよりも背が高い。平均的な人間の男より少し高いぐらいだろうか。俺がかなりの高身長なので分かりづらいが。
川の一番深い所は腿ぐらいの深さだ。近付くうちに徐々に水深が下がり彼の形のいいふくらはぎが水面から現れる。
――――抱えたくなる腿だな
俺が座っている岩の横の丘へと上がってくる。触れられる距離にいるのに警戒心が全くない。彼は本当に俺に抱かれるつもりなのかと思ってしまいそうなぐらいだ。
「股間握られて起きたんだよ」
「お前、やけに誘うな。何か企んでいるのか?」
「私を触ったのは君だろ。男に触りたいだなんて異常だぞ」
俺を見る目は冷たいのに誘っているようにも感じられる熱を込めている。二人の間の空気は重く、昨夜の霧のように濃厚だ。
――――これで誘ってねぇって、こいつ、天然か?
「……お前は誰だ?」
「さぁな。起きてからずっと考えているが、自分が思い出せない。君は私が誰か知っているのか?」
「知らんし昨夜初めて見た」
男は鼻で笑うと興味を失ったように俺から視線を外す。その態度はよく人を見下す権力者の癖に似ている。
彼は体が濡れたまま、直接着替え始める。残念な事にパンツから履かれてしまう。
「どこか目指している場所があったのか?」
「特にない、と思う。分からない。何も思い出せない」
――――こいつ、怪我で記憶障害を起こしていやがるな。短期か長期か、まだ分からねぇか。妙に冷静……というか、無感情だな。トラウマ持ち?
「俺はこのままもっと山奥、その後は辺境へと向かう予定だ。行く場所ねぇのならお前も来るか?」
彼は無言で俺を見る。そして俺を見下すあの無感情で冷たい目。その裏表のない飾らない負の感情が面白い。
「何故見知らぬ私を誘う?」
「お前のケツに興味があるんだよ」
彼はズボンを履くと立ち上がって俺を見下ろす。
「君のゲスさは清々しいな」
「ありがとう。俺のチャームポイントだ」
「褒めていない」
俺は笑いながら岩から腰を上げて荷物を置く。
「俺はこの近くのモンスターに少しばかり用がある。ちゃんと移動する前には迎えに戻るからここで待っていてくれ。ほら、心配だろうから俺の荷物も置いていってやる」
彼の視線がゆっくりと俺の物へと流れる。
「……私が君の荷物を持って逃げるとは思わないのか?」
「そうなったら追跡して殺すまでだ」
「腕に自信があるのか?」
「ある。見た目通り強いぞ」
「じゃ大人しく待っておくか」
――――変なところで素直だな。普段は人の言う事に従っているタイプか?
男は俺に興味を失ったかのように背を向ける。俺の視線は彼の下半身へと移動する。特に彼の膨らんだケツと腿の付け根を見ながら裸の彼を思い出す。
――――面白そうな事になりそうだな。傀儡にするしないは置いておいて、少なくともこのケツは追い掛け甲斐がある
俺は喉で低く笑いながら滝から離れる。
気配を辿って生い茂った木々を搔き分け、山奥へと進む。
用があるのは昨夜寝ている間に感じ始めたモンスターだ。
深夜に俺が野営の場に戻ってからモンスターが移動してくれたのだ。そのおかげでモンスターの消していた気配を感知出来たのだ。
人間が入らない野生の山を拠点にするモンスター、グール。高い再生能力を持つ知的なモンスターで人肉や死肉を喰らう。そして高い対肉弾戦の戦闘能力を持つ。
――――傀儡として欲しい。グールは傀儡師と相性が非常にいい
ガサ ガサガサッ
すぐ近くの葉が不自然に揺れる。向こうも俺の気配に気付いたのだろう。一気に距離を詰めてきた。
俺は右手を上げて力を込め、俺の頭を目掛けていきなり突き出てきた腕をかい潜る。
ヴォォォォオオオン
グールの力一杯振り回した拳をスレスレで潜る。鳥肌が立つ低い風切音に笑みが浮かぶ。
――――こいつ、強ぇ!
流石にそこら辺のモンスターよりも上級モンスターなだけあって向かい合うと鳥肌が立つ。
だがこういうのを伏せて従えさせるのが傀儡師だ。強い方が、いい。
俺はグールの喉を突き上げるように鷲掴み、自分の力を流し込みながら一気に地面へと強く投げ落とす。
俺の魔力を流され、グールの体がショック状態に陥る。麻痺で体を強張らせる。痙攣が喉から全身へと広がる。
「ヴゥゥゥゥヴゥ!」
腐った血肉の匂いがする唇を舐めると喉の奥で唸るように威嚇をする。それを無視して舌を奴の口内に侵入させると腰が跳ねる。
傀儡は傀儡師にその身体を、傀儡師は傀儡が望むものを与える。その契約は双方が望まないと結ばれない。
傀儡師は体液を通して対象に傀儡の術を掛け、契約を結ぶ。俺の場合は、対象を抱く。口付けのみでも繋がるが、体内の奥深くに俺の精液を擦り付けた方が深く結ばれると発覚した。傀儡と深く繋がれば繋がるだけ傀儡の潜在能力を引き出せる。
グールの震える体に沿って掌をなぞらせる。
グールは綺麗な筋肉をしている。顔の造形はピンからキリまでだが、体はとても綺麗だ。脂肪がない標本みたい筋肉に、関節が細く引き締まっている。そしてその細身な筋肉を覆うとても柔らかな色の薄い皮膚。少し高い体温。
このグールは少しゴブリンに似た顔つきだ。ぐしゅっと顔の中央にパーツを寄せ、体毛はほとんどない。
俺はあまり顔の造形にこだわりがない。体の形には煩いが。
そして能力と強さにはもっと煩い。
動かなくなったグールを見下ろして唇を舐める。強引に体をひっくり返し、背骨が浮く背中に舌を這わせる。
ぼろぼろの腰蓑を持ち上げてグールの筋肉質な尻を撫でる。何度も穴の上を強めに擦る。
麻痺していても暴れようとする背中を強引に抑え、身動きの取れない術を掛ける。術で縛り伏せられたグールの背が荒く上下して抗う。
俺は後ろから足を開かせ、唾液で濡らした指をねじ込む。固く閉じている穴が指先を押し出そうとし、熱い肉襞がうごめく。
「イグゥウウヴヴヴ!」
威嚇するような声と恐怖の入り混じった声がする。
強引に指を第一関節まで押し入れる。グールは抵抗するように全身を震わせるが、奥へ押し広げるほどに肉襞がまとわりつき、指を離そうとしない。
ゆっくりと中を解しながら指を中から押し広げ、動かす。人間とは少し違う腸内の形を調べるように、肉襞に指を這わせる。
二本、三本と押し込む。狭い肉道が痙攣をするように震え、押し広げられていく。人間のより大きめな前立腺を何度もこねるように揉んでいくとグールの中が律動するように震える。
グヂュ グプグプ ヂュプ
腸液が滲み出てくると指を出し入れするようにゆっくりと動かす。熱い肉襞が気持ち良く指を締めつけてくる。もうグールの抵抗はあまり感じられない。
――――そろそろ受け入れそうか?
俺は自分の肉棒を引っ張り出し、柔らかく解れた入り口に先端を押しつける。入口を押し潰し、肉をゆっくりと引き裂くように突き挿れる。
ズブ ズズズズ
半分ぐらい挿入する。
「ゥァヴゥ」
グールは暴れようとするのを止め、震える。
完全に抵抗がなくなると俺は腰を引き、思いっきり打ち付ける。腹の奥を突く度に内臓をかき回す濡れた音が聞こえる。粘液と汗が混じり合い、体内の奥から体液と空気が押し回される音が聞こえてくる。
グチュグチュグチュグチュ
大き目の前立腺を肉棒の先で押しながら腰を揺らす。肉襞は熱く痙攣し、異物を押し返そうと収縮する。その強い圧力が亀頭を撫でまわし、グールの速い脈が伝わってくる。
俺は容赦なく突き、何度も奥をえぐる。
「……ふっ、ほら、分かるか? 拒まずに俺に吸い付いてくる。俺の体は気持ちがいいだろ? 受け入れろ。受け入れるともっと気持ちよくなるぞ。心配するな、俺のものになれば物凄く大事にする。お前は何が欲しい? 何を求めている?」
徐々にグールの脳内の抵抗がなくなり、吐息が乱れる。潤んだ瞳が肩越しに俺を見る。彼の思考が流れ込んでくる。
俺は腰を止めずに屈み、グールの耳元で囁く。
「ぁあ、欲しいのは家族か。だったら俺を受け入れろ。俺の家族となれ。お前を裏切る事もないし、死ぬか契約を解消するまでずっと一緒だ。俺の傀儡になれ」
彼の背中がびくびくと痙攣する。腰を押さえつけ、深く深く突き刺す。腸が波打ち、肉襞が刺激をされる度にグールの背が弓なりに反る。
グチュッ ヌチュヌチュ
突然、肉棒を動かす時に感じる快感が爆発的に増加する。背筋を通って全身にぞくぞくとした激しい快感が走り抜ける。
――――――契約成立だ
激しい快感に目を細めて、笑う。
その時、視線を感じて俺は顔を上げる。
向こうで『待っておけ』と言ったのにあの人間の男が俺を見ている。手には俺の荷物がある。なかなか戻らない俺を探しにきたのだろう。無表情な中に僅かに混じった軽蔑の色。
だが目を逸らさずに、見ている。
――――いいぜ。いっぱい見て、ちんこ立たせとけ
俺は男と視線を合わせたまま口角を上げ、力の抜けたグールの腰を強引に引っ張り上げる。
何度も激しく奥を突かれ、グールの喉から漏れる声は苦痛ではなく震える吐息に変わっている。前立腺を強く擦るとはっきりとした喘ぎ声を漏らす。
男の視線は俺から離れない。
グールの中がうねり始める。喘ぎながら溢れるほど濡れてきた穴を俺に激しく突かれる。締めつけが収縮した痙攣へと変わり、グールは体を反らせて震えながら白濁を吐き散らす。
「ゥァグゥッ」
「俺も、イク。しっかり……受け止めろよっ」
ドプッ ゴプッゴフッ
最後の一突きでモンスターの尻に下半身を強く叩き付け、魔力を帯びた体液を注ぐ。何度も下半身をグールの色素の薄い尻に押し付け、一番奥に注ぎ込む。
俺の魔力が少しずつ吸収され始め、グールは更なる気持ち良さで喘ぐ。
腰から手を離すとグールは地面へと崩れ落ちる。見える口元は弛んで唾液が垂れている。快楽に溺れたその表情は、抵抗していた獣ではなく自ら支配に堕ちた傀儡のものだ。俺の傀儡だ。
「お前は俺の大事な家族だ。頑張った時はご褒美をいっぱいやる」
俺は肩で息をしながらグールの耳元で囁く。そしてゆっくりと肉棒を抜く。濃厚な精液が溢れてくる。
「人語はしゃべれるか?」
「……シャ……シャベ、る。……じゃべられる。喋れる」
「俺はジーク。お前の傀儡師だ」
「ジーク……様」
「気持ち悪いところはあるか?」
「……ない。体の中、とても、気持ちがいい」
俺は彼の素直な言葉に笑いながら服を整え、グールの手を引っ張って立たせてあげる。俺の精液が彼の内腿をトロッと垂れ流れてくると、彼は一度気持ち良さそうに身震いをする。
グールは元々知能は高い。喋れる個体は多い。この子も頭は良さそうだ。
受け入れた俺の体液と魔力が染み渡り、もうすでに俺の傀儡となっている。そうなるととても愛おしく思える。
――――俺の傀儡。俺の、家族
男は少し嫌そうな表情を浮かべ、俺達に近付いてこない。だが視線はずっと逸らしていない。
「そんな醜いモンスターとやるのか? ……しかも、オス。ゲテモノが趣味なのか?」
「傀儡を探していたんだよ。確かにセックスは好きだが、今のは契約だ」
「契約?」
「俺は主の傀儡となった」
グールが突然話し出し、男はビクッと跳ねる。
「……モンスターが喋っている……」
「あぁ、グールは知能が高いからな。お前、名前は?」
俺に話しかけられたグールは頭を振る。
「では今日からお前はグンギだ。取り敢えず人間にはお前の好きなその匂いはきつい。悪いが体を洗ってきてくれるか」
グンギは頷くとすぐに無言でいなくなる。彼の好む血や腐臭の残香がする。
男はグールのいなくなった方を見る。
「傀儡って、なんだ?」
「傀儡師って知っているか?」
「分からない」
男は頭を振りながら答える。傀儡師を知らないのか、知っているかどうかが分からないのか、曖昧だ。
「傀儡師は他者の体を操る。その者の潜在能力を引き出し、体を操って行動をさせたり、戦わせたりする。生死は問わない」
「生死は問わない……。人形師みたいな感じか? だが会話をしていたようだが」
「俺は意思や体の自由を奪うのはあまり好きじゃねぇんだ。傀儡にした者の意識は縛らずに自由にさせている」
傀儡は絶対に裏切らない。俺に全てを曝け出しているから裏切れない。思考も感情も伝わってくる。隠しようがないのだ。
だから信じられる。
だから、俺は自由にさせる。
「逆上した奴等に攻撃されたりとかはないのか?」
俺は目を細めてクックッと喉を鳴らして笑う。
「傀儡にされて逆上していたように見えたか?」
「……いや」
「傀儡になると、すっげぇ気持ちがいいんだよ。俺に抱かれると猛烈な快感を感じる。そして俺が何よりも傀儡を愛しているのをずっと感じられる。その快楽と愛情が欲しくって従順になってくれる。実にシンプルな理由だろ? 傀儡は素直で本当に可愛いんだよ」
「よく分からないが……だからって、そんな理由で……オス……男……とセックスするのか? ……人外の」
「女は柔らか過ぎる。俺は筋肉とケツフェチなんだ」
男の表情は実にプライスレスだ。心底虫けらを見るような嫌悪感と軽蔑を織り交ぜて憐れみを振りかけたような表情。非常に分かりやすい、面白いほどの拒絶。
俺はそれに笑いながら男の足元にあった自分の荷物を背負う。
「お前、頭は大丈夫か?」
「記憶なくとも君よりずっとマシだと思う」
「そりゃそうだろ。まもとな頭をしていて傀儡師が出来るか。頭痛が酷いとかフラフラしているか?」
「いや、そういうのはない。私は至って正常だ」
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