(R18完結)傀儡師(かいらいし)は闇の中で啼く肉壺を激しく愛す

如月紫苑

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第一章 記憶喪失の男

※4 ゲスは傀儡を可愛がる

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    ◇◇
 焚火の色が俺達を赤く照らす。
 あれから更にオーク二体と遭遇した。俺は血に濡れた腕を拭いながら、向かいで無表情に座る男を横目で見る。戦いの最中は人一倍怯えていたのに、今は無感情なその瞳が気になる。あの滝に打たれていた時と同じ目に持っている。
「この血が怖くないのか? 普通は闘いに慣れていねぇんだったらモンスターの血を見る度に顔を歪めるけどな」
「……別に」
 男は火に目を落としたまま、短く答えた。
「死ぬのも生きているのも、大して変わらない。特にモンスターの生死には興味がない」
 俺は笑いながら足を伸ばす。
「冷てぇな。モンスターは皆死ぬべきだと思っているタイプか?」
「モンスター……。そうだな。害ある生き物は殺される運命だ」
 彼はそう言い切り、火に手をかざした。揺れる炎が氷のように凍てついた横顔を照らす。
 
――――何かのトラウマでこのガチガチの無感情の殻に引き篭ったのか
 
「……お前は人形のように表情も感情も動かねぇな。グールの方がよっぽど感情豊かだ」
 俺はわざと挑発的に笑い、下から覗き込むように男の表情を見る。
「一度壊れてみるか? 壊れて泣きながら俺に縋り付くのを更に犯したら、とてもいい具合に締め付けそうだ。その後はゆっくりと癒してやる」
 男の瞳がこちらを向く。その眼差しは、氷の刃のように鋭く冷たい。
「……ゲスはゲスでも、君は品のないゲスだな」
 焚火の音がやけに大きく響く。
 俺は喉の奥で笑い、背中にぞくっとした興奮を楽しむ。
「品のあるゲスっているのかよ。いいな。やっぱりお前、俺の好みだ。そのケツも美味うまそうだが、その心ん中はもっと美味そうだ」
 男は鼻で笑い、視線を外す。
「下半身でしかものを考えない奴の好みだと言われても素直に感謝出来ないな」
「感謝しろよ。お前が生きてるのは俺のおかげだろ」
 その言葉には、彼は何も返さない。ただ焚火の炎を見つめ続ける。だがその無言は俺への挑発のように感じられる。
「ジーク様……」
 火がパチパチと音を立てる中、グンギが静かに近寄る。濡れた瞳を伏せ、肩を震わせて俺に身を擦り付けてくる。
 俺は喉の奥で笑い声を漏らす。
「ああ、今日は頑張ったなグンギ。ご褒美をやるからおいで」
 彼は嬉しそうに自ら俺の腿を跨ぐ。
 あの子供を助けた村を出てからグンギはすぐに水浴びをしに行った。何事かと思ったが、俺が死肉の匂いを嫌がったのを覚えていて先に自ら対処したのだ。本当に順調な駆け出しで俺は非常に嬉しい。
 グンギは男が見ているのを気にせず、俺の股間に自分の尻を擦り付けて催促する。
 俺の唇を舐め、目を細める。両手で彼の背中をゆっくりと撫で上げると、グンギは嬉しそうに喉を鳴らす。彼の口内の熱を感じながら舌を絡ませる。

クチュ チュ ヌチュ
 
 彼の腰蓑に手を滑り込ませ、両手で尻を掴む。指を濡らして入り口を擦るとすぐに力を抜いてくれる。グールの体は人間のよりも素直な反応をする。力の抜き方や濡れ方は特に優れていて抱きやすい。
 指をゆっくりと侵入させると熱く濡れた肉襞がすぐに指に絡み付いてくる。
「ははっ、たまんねぇな。こういう素直なのが一番可愛い」
 焚火の向こうでは男がこちらを一瞥する。
 無表情のままだが、その瞳の奥が僅かに揺れたように見える。
「……ゲス」
 彼は低く呟いて視線を炎へと戻す。
 俺は口角を上げ、傀儡の背に手を添えて支える。グンギは俺の肉棒に指を絡ませて扱くと、すぐに自らの手で誘導して俺の上に腰を下ろし始める。
 入口がヌチャッと俺を咥え込み、ぬるりと熱が絡みつく。奥へ押し進む毎にズチュッヂュブッと粘り気を帯びた音がする。肉襞が俺の形を変えたいかのようにキツく絡み付く。
「……ッ、ァ……グゥゥ」
 グールの喉から、獣と人間の中間のような呻きが洩れる。ゆっくり腰を突き上げると気持ち良さそうに喉を晒す。
 男はまた俺達を視線を向けている。
「『ゲテモノ趣味』って罵る割に、ちゃんと見てんじゃねぇか」
「山中じゃ他に見るものがない」
 男は淡々と返す。
「性欲に飢えたモンスターは、見るに堪えないな」
 その言葉に俺は笑いが込み上げてきた。
「見るに堪えない、ねぇ……。モンスターですら気持ちのいい事をしているのにっていう嫉妬じゃねぇのか?」
 一瞬、男の目が鋭くこちらに突き刺さる。彼はそれ以上何も言わず、再び焚火に視線を向ける。
 だが俺はその瞬間に垣間見せた僅かな表情の変化を見逃していない。迷子が縋り付くような表情だ。誰でもいいから助けて欲しいっていう気持ちの表れ。
 
――――ちゃんと感情あるじゃねぇか。いい表情しやがる
 
 俺は心の中でほくそ笑み、気持ち良さそうに震えているグンギの陰茎を押し潰すように彼を抱き寄せる。
 
――――わざと声を上げさせて、その殻にひびを入れてやろうか
 
「グンギ、欲しかったんだろ。頑張ったもんな。とてもいい子だったよ。ほら、奥までしっかりと咥え込め。動くぞ」
 俺は腰を一気に突き上げ、内臓を掻き回すように深々とえぐる。奥まで突き立て、内臓の動く感触が肉棒に伝わる。
 入口から根元までグンギと俺の体液が混ざり合って泡立ち、熱を孕んで俺を締め上げてくる。肉壁が引き攣って縮み、ぬるぬると亀頭を扱き回す。
 腰を揺らす度にグチュッグチュッと卑猥な水音が響く。腿を伝う淫乱な汁が摩擦の熱で蒸れてセックスの匂いが立つ。グンギは背を仰け反らせ、爪を俺の肩に突き立てて吐息を震わせる。
「ッ、ァウ、ヴヴゥゥウ……ッ!」
 押し殺していた呻きが耐え切れずに溢れ、唾液が顎を伝って滴る。激しく突くとグンギの喘ぎ声が高くなり、目から涙が溢れる。
 俺は笑いながらそのぐじょぐじょになった顔を両手で掴み、さらに深く突く。
「この感じて泣く顔は俺へのご褒美だな。とても、とても可愛い」
 俺以外に『可愛い』と言われた事はなかったのだろう。彼の体内が嬉しそうにびくびくと収縮をし、亀頭を潰すように締め付けてくる。甘えたような喘ぎ声が一瞬止まり、彼の陰茎から熱い精液が迸る。
「……っ、締めるなっ。イくぞ」
 一気に奥へ押し込み、白濁を注ぎ込む。俺の熱い欲望を流し込まれ、グンギの身体は大きく痙攣して、次々と絶頂の波に呑まれる。止まりかけていた彼の精液が再び勢いよく吹き出る。

ゴプッ プチュ ボトボト

 溢れ出た体液が逆流し、太腿を伝って溢れ落ちる。
 唾液と涙で顔をぐちゃぐちゃにしたまま、グンギは俺にしがみ付いて甘えるように震える。

――――あぁ、可愛い可愛い俺の傀儡

 俺は濡れたグンギの頬に軽くキスをしてから優しく舌を絡ませる。グンギは嬉しそうに喉を鳴らしながら俺の頭部に抱き付く。彼の長い足が俺の腰に回され、きつくしがみ付く。
 ふと気配を思い出す。
 視線を向ければ焚火越しに男がじっとこちらを見ている。
 無感情な氷のような瞳。感情は読み取れない。だが確かに見ていた。
 俺は笑って脱力した傀儡の後頭部を撫でながら、濡れた顔を再び抱き寄せ唇を舐める。グンギは差し出した俺の舌に吸い付いて腰を揺らす。

ピチュ ピチャチュッ ピチャ

 舌を吸われて濡れた音がする。肉棒が脱力してグンギの中から抜け、愛撫される舌も彼の口から抜くとグンギは少し悲しそうに喉を鳴らす。それに微笑んで抱き抱えるように胸に押し付けると、嬉しそうに体に引っ付く。精液でヌルつく腹や腿をそのまま放置して俺の傀儡を抱きながら背中に手を滑らせる。
「どうだ、楽しんだか?」
 相変わらず見ている男に笑いながら訊く。男は瞬きすらせずに冷たい瞳で俺を見返す。炎がガラスのような眼球に映って揺れている。
「……ゲスな見せ物だな」
 吐き捨てるような声。その一言は軽蔑、拒絶、嫌悪、その全てを含み、全てを突き放すようだ。
 しかし無感情な仮面の裏で、彼が俺と傀儡の交わりをずっと見つめていたのは確かだ。濡れる腰のうねり、グンギの快感に反れた背中と頭。欲求が、冷淡な声を裏切っている。
 俺は低く笑う。
「はは……いいな。お前がどんな顔で俺のちんこを咥え込むのかますます気になる」
 男は僅かに眉を動かしただけで無言だ。
 焚火のパチパチと弾ける音が沈黙に大きく響く。
 焚火の熱に向き合うように、俺は傀儡を抱き締めたまま横になる。体液でぐちゃぐちゃになった肌を撫で、震える腰に手を添えて、甘えるグールをきつく抱き締める。小さく震える頭に唇を押し付け、全身を包み込む。傀儡は安心したように身を預け、身体をぴったりと俺に沿わせてくる。
 少し離れた場所で男も横たわる。
 瞼が重そうに閉じていく。
 呼吸は一定で、無感情な面持ちは変わらない。しかし微かに肩が揺れ、指先が毛布に縋り付くように握り締める。その僅かな動きだけでも男は何かを感じているという確証を俺に与える。
 男は時折唇が動かし、体が小さく跳ねる。その寝顔を、俺はじっと眺める。
「……いや……たす……け……」
 俺は眉一つ動かさず、それを観察する。
 無言のまま、彼の影を追う。まるで石像のような殻でも硬直した肩や苦しそうに寄せた眉毛に、閉じた殻の中で何かが揺れているのを感じる。
 傀儡を優しく抱きながら、俺は男の仮面の裏に潜む微かな弱さを観察する。彼の普段の無感情な強さとは違う、が息を潜めている部分。その本物の枷となっている何かのトラウマ。
 
――――表面化した時に鬼が出るか蛇が出るか。楽しみだ
 
 俺は目を閉じ、軽く眠りにつく。
 朝の光が薄く山肌を照らす頃、男はゆっくりと体を起こす。その僅かな空気の揺れで俺はすぐに目を覚ます。
 前日とは変わらぬ男の冷たい瞳が俺を捉える。
 俺のグールはまだ胸に沿って眠り、柔らかく暖かい体を俺に委ねている。足を俺の足に絡めている。片手を俺の胸に置き、もう片手は俺の股間に軽く触れている。俺の体に触れている安心感にリラックスをしている。
「……随分と下品な夜を過ごしたな」
 冷たく吐き捨てるように発せられた言葉は微かに俺を試す響きを持つ。表情は相変わらずだが、視線に秘めている無意識の挑発が俺を刺激する。
 俺は横たわったまま彼を眺める。眉一つ動かさず、その小さな挑発を楽しむ。腕の中の安らぎと男の冷たい挑発が反発し、異様な雰囲気に目を細める。
 俺は傀儡の体液が乾いてカサカサになった肌を優しく撫で、口角を上げる。
「下品? 俺に言わせれば家族と抱き合ったとても気持ちのいい夜だったぜ。お前も見てたんだろ? 素直にケツん中で甘えてくるのは最高に可愛い」
 男は微動だにせず、眉一つ動かさない。しかしその冷たい瞳が挑発を返そうとしているのが見え隠れする。
「……本当に猿だな」
 軽蔑の混じる声。
「ふっ、お前も猿になって混ざりたかったのか?」
「ふざけるな」
 彼が即答する。視線を男の冷たく見下す視線と絡ませ、腕の中の温かな傀儡を優しく抱き締める。
 静かな緊張と興味と興奮が空気の中で震えて混ざるのを感じ、俺は低く喉を鳴らすように笑う。

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