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第四章 傀儡師と緑瞳の王
27 王の側にいてはならぬ者
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「もう……誰も信じられない」
俺は無言で彼の背中を擦る。
「いや……違う。私は、君は信じている。最初から君は嘘を言っていない。私の為に命も落としそうだった……信じている」
「俺はお前を絶対に裏切らねぇよ」
「……うん。うん、私もそう感じる」
ゼノは少しは落ち着いたのだろう、しがみ付いていた手を離し、手を繋ぐ。
「ゼノはこれから先、どうしたい?」
「……これから」
「俺と来ないか? この国を捨てて、遠くへ行こう。誰もゼノに気付かない場所で好きな事をしてゆっくり生きよう」
「……夢のような話だ。体が持たなさそうだけどな」
「ふはっ! そうだな、朝から晩までたっぷりと毎日抱いてやる。そのケツを両手で揉み廻して突っ込みたい。何度もゼノが気持ち良過ぎて泣きながらイくのを見たい。俺で感じるのが見たい」
「だから君は下品なんだって。……それだったらもう毎日しているだろ。物凄く、気持ち良く。これから先、毎日あのように感じさせられて、寝る時にずっと抱き抱えられているのは、幸せな毎日になるのだろうな」
俺は微笑むゼノの顔に触れる。
――――あぁ、決心が固まったのか
「それかこの国に残り、あのバカ王を王座から引きずり下ろし、ゼノが王座に座るか」
ゼノは無言で握っている手を振るわせる。
「……罪のない……国民も多い。私は、望んでこんな立場で生まれた訳ではない。それでも王族として生まれた私の責任なんだ。国民を護る事が、私の責任なんだ!」
「責任を全うしたいのか」
「父や兄上、王妃、母上、貴族達に商人達……この国の腐った部分を根本から見直さないと。全て取り除いて初めてこの国がちゃんと動き出せる」
「権力ある奴等を殺すにしろ投獄するにしろ、いきなり大勢への制裁をするとザハルが攻め入るぞ。他の国の標的にもなってしまう」
「だからって少しずつ制裁するのは無理だ! 権力ある者が一人でも欠ければ他の者達が一気に王座を狙う筈だ」
「では王族を制裁する事から始めればいい」
この次の部分を言ったら、ゼノはきっと、もう、今のゼノじゃなくなる。自分をすり減らしてでも、国を護ろうとするだろう。
――――だが、それがお前の選択だよな、ゼノ
「……お前に足りないのは、残忍性だ。王権とは切っても切れない部分だ」
「私は……国民を第一に考えるような王になりたい」
「だったらそれを脅かす権力には残忍になれ。そうやってお前の大事にしている者達を護れ。手が綺麗なままでは国は動かせない。卑怯な者達が盾突こうと考えなくなるぐらい、徹底的に残忍になれ」
ゼノは少し俯いて俺の言葉を反芻する。
暫くしてから上げた表情には覚悟がはっきりと刻まれている。
「残忍にも、なろう」
俺は彼の頬に触れる。
「今の王を引き摺り下ろし、王座に座る事。それがお前の本当の望みか?」
「……そうだ」
「では俺はそれを叶えられるように全力を尽くす。シアン王子を、王座に座らせる。クーデターを起こす」
俺にその名で初めて呼ばれ、彼がビクッと跳ねる。
「ゼノ、俺は傀儡師だ」
ゼノの瞳が俺に注がれる。真っ直ぐな、強い視線。俺の大好きな新緑の色。
「お前の望みは絶対に叶える。だが、その後で傀儡の契約を解除する」
「なんで⁉︎」
俺のシャツを掴んだゼノの手に自分の手を重ねる。
「俺は傀儡師だ。もし俺が王の側にいれば王は操られていると噂が広がってしまう。だから俺はここからすぐに消えなければいけない。お前といるところをこれ以上見られる訳にはいかない」
「君がいたから……君がいるから、私はここに立てる! 君がいなくなったら――――」
「俺がいたら、お前は絶対にあそこには座れない」
一瞬の沈黙の後に彼の視線が俺のと絡む。
「……俺の事を、忘れろ」
「断る」
「ゼノ――――」
「嫌だ! 私は、今まで私自身の欲しい事を全て我慢してきた。王座に座るのも、私自身の為ではない。私は……ジークを愛している!」
彼は俺の唇に噛み付くように唇を重ね、俺の舌に吸い付く。愛おしい彼の事を抱き寄せ、強く抱き締めながら激しくしキスし返す。
「ジークを愛している」
彼の真っ直ぐな視線。俺のとても儚く、強い綺麗な傀儡。
「ジークを、死ぬまで愛する」
――――あぁ……とても、愛おしい
俺は無言で彼の背中を擦る。
「いや……違う。私は、君は信じている。最初から君は嘘を言っていない。私の為に命も落としそうだった……信じている」
「俺はお前を絶対に裏切らねぇよ」
「……うん。うん、私もそう感じる」
ゼノは少しは落ち着いたのだろう、しがみ付いていた手を離し、手を繋ぐ。
「ゼノはこれから先、どうしたい?」
「……これから」
「俺と来ないか? この国を捨てて、遠くへ行こう。誰もゼノに気付かない場所で好きな事をしてゆっくり生きよう」
「……夢のような話だ。体が持たなさそうだけどな」
「ふはっ! そうだな、朝から晩までたっぷりと毎日抱いてやる。そのケツを両手で揉み廻して突っ込みたい。何度もゼノが気持ち良過ぎて泣きながらイくのを見たい。俺で感じるのが見たい」
「だから君は下品なんだって。……それだったらもう毎日しているだろ。物凄く、気持ち良く。これから先、毎日あのように感じさせられて、寝る時にずっと抱き抱えられているのは、幸せな毎日になるのだろうな」
俺は微笑むゼノの顔に触れる。
――――あぁ、決心が固まったのか
「それかこの国に残り、あのバカ王を王座から引きずり下ろし、ゼノが王座に座るか」
ゼノは無言で握っている手を振るわせる。
「……罪のない……国民も多い。私は、望んでこんな立場で生まれた訳ではない。それでも王族として生まれた私の責任なんだ。国民を護る事が、私の責任なんだ!」
「責任を全うしたいのか」
「父や兄上、王妃、母上、貴族達に商人達……この国の腐った部分を根本から見直さないと。全て取り除いて初めてこの国がちゃんと動き出せる」
「権力ある奴等を殺すにしろ投獄するにしろ、いきなり大勢への制裁をするとザハルが攻め入るぞ。他の国の標的にもなってしまう」
「だからって少しずつ制裁するのは無理だ! 権力ある者が一人でも欠ければ他の者達が一気に王座を狙う筈だ」
「では王族を制裁する事から始めればいい」
この次の部分を言ったら、ゼノはきっと、もう、今のゼノじゃなくなる。自分をすり減らしてでも、国を護ろうとするだろう。
――――だが、それがお前の選択だよな、ゼノ
「……お前に足りないのは、残忍性だ。王権とは切っても切れない部分だ」
「私は……国民を第一に考えるような王になりたい」
「だったらそれを脅かす権力には残忍になれ。そうやってお前の大事にしている者達を護れ。手が綺麗なままでは国は動かせない。卑怯な者達が盾突こうと考えなくなるぐらい、徹底的に残忍になれ」
ゼノは少し俯いて俺の言葉を反芻する。
暫くしてから上げた表情には覚悟がはっきりと刻まれている。
「残忍にも、なろう」
俺は彼の頬に触れる。
「今の王を引き摺り下ろし、王座に座る事。それがお前の本当の望みか?」
「……そうだ」
「では俺はそれを叶えられるように全力を尽くす。シアン王子を、王座に座らせる。クーデターを起こす」
俺にその名で初めて呼ばれ、彼がビクッと跳ねる。
「ゼノ、俺は傀儡師だ」
ゼノの瞳が俺に注がれる。真っ直ぐな、強い視線。俺の大好きな新緑の色。
「お前の望みは絶対に叶える。だが、その後で傀儡の契約を解除する」
「なんで⁉︎」
俺のシャツを掴んだゼノの手に自分の手を重ねる。
「俺は傀儡師だ。もし俺が王の側にいれば王は操られていると噂が広がってしまう。だから俺はここからすぐに消えなければいけない。お前といるところをこれ以上見られる訳にはいかない」
「君がいたから……君がいるから、私はここに立てる! 君がいなくなったら――――」
「俺がいたら、お前は絶対にあそこには座れない」
一瞬の沈黙の後に彼の視線が俺のと絡む。
「……俺の事を、忘れろ」
「断る」
「ゼノ――――」
「嫌だ! 私は、今まで私自身の欲しい事を全て我慢してきた。王座に座るのも、私自身の為ではない。私は……ジークを愛している!」
彼は俺の唇に噛み付くように唇を重ね、俺の舌に吸い付く。愛おしい彼の事を抱き寄せ、強く抱き締めながら激しくしキスし返す。
「ジークを愛している」
彼の真っ直ぐな視線。俺のとても儚く、強い綺麗な傀儡。
「ジークを、死ぬまで愛する」
――――あぁ……とても、愛おしい
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