物語のない人生なんて！～とにかく面白い物語が読みたいんや～

「それが私の父を葬ってまで手に入れた地位でやりたかった事か」ーー『暁のヨナ』草凪みずほ

少女漫画の皮をかぶった、歴史大河。

もうすぐクライマックスを迎える「暁のヨナ」から、目が離せない。

(単行本派です、ネタバレ気になる方は読了後にご覧いただくことをお勧めします)

◇あらすじ
高華王国の姫・ヨナは一人娘のため、優しい父王と幼なじみで護衛のハク達に囲まれ、大切に育てられていた。そして時はヨナ・16歳の誕生日、ヨナは想いを寄せていた従兄のスウォンから簪を贈られ、父へ自分の気持ちを伝えに行く。が、そこには思いも寄らぬ過酷な運命が!?


ヨナはいい意味で「少女漫画の枠組みを破壊した」作品だと思う。
というのが、かなり初期で主人公ヨナは、自ら悪の親玉を殺しているから。
守られるヒロインでも、清廉潔白な英雄でもない、「リアル王女」を描いている。

「私は何も知らない姫だが、お前の言葉に従うほど愚かではない！！」

「そう・・・でも、わかった。なぜユホン伯父上が王になれなかったのか」

不遜なほど気高く、誰よりも傲然とし、こうべを下げることのない、これこそ王族であり姫のあるべき姿。
どんなに庶民になろうとしても、そもそも考え方や生活のフォーマットそのものが違うし、血が許さない。
そういうヨナが、私は好きです。

キラキラした舞踏会とか、砂糖菓子とか恋バナは無縁で(恋愛はきっちりあるけど)、「生きるか死ぬかの戦い」、「政治と陰謀」、そして「戦争」があくまで少女の目を通して描かれている。

物語最大の謎はヒーローであるハクの出自(王族？)だけど、ヨナの元婚約者であるスウォンがなぜヨナの父から拒絶されていたのかも気にかかる。

四龍もみんな魅力的で、当たり前だけど美しい。
というか美男美女ばかり出てきて、とてもテンションが上がる！！さすが少女漫画！！
よく攫われるヨナだけど、そこも少女漫画！！
絶対ハクが助けに来てくれる！！
リリ編でリリとの出会い→捕まる→ハクとの再会からの怒涛のラブラブがかなり好きなエピソードだ。
きゅんきゅんすること必至！！！！体格差ハグ万歳＼(^o^)／

個人的に好きなのはもちろんハクで、四龍だとやっぱりゼノかな。
あまりに業が深くて、胸が痛むけれど。。

登場人物はみな、病や裏切りや喪失や絶望、救いようのない何かを抱えている。
血を流し、涙に暮れ、ぼろぼろに傷ついて倒れながらも、また立ち上がり、生きようとする。

決して甘くはない、綺麗事ではない世界の中で、それでも愛する者や本当に大切なものを、離すまいと握りしめる。
限りある命だからこそ、懸命に。

命や幸福とは何かーーヨナや登場人物が、生き様や死に様を通じて考えさせてくれる。

物語は佳境に入ったと思うので、最後までしっかりじっくり見届けたいと思う。