物語のない人生なんて！～とにかく面白い物語が読みたいんや～

「私は、私の我慢が当たり前と思ってる夫や子どものために、生きたくない」――NHKドラマ『ひとりでしにたい』(3話)大森美香

※ネタバレ注意・あらすじ割愛

いや～「ひとりでしにたい」3話、泣きました。
夫から「どこに泣く要素ある？！」ってツッコミも入りましたが、ほんま今期の傑作ドラマやね。

松坂慶子演じる綾瀬はるかのお母さんが、夫(はるかの父)との熟年離婚の意思を固めてて、言い放つの。

「別々で暮らす意思は固まってる。でも今すぐじゃなく、時期を見てる」

「お父さんは本当に何もしないの。仕事だけで家事も育児も一切しなかった。子どもが病気になっても、平気で義姉を家に呼んでた」

「今までは仕事をしてたから我慢してた。でも今は仕事も何もしていない。その上、自分の世話をずーっとしてもらえると思ってる。逆に、私の世話をするなんて考えてもいない」

それに対し綾瀬はるかは、「でもお父さんも仕事で土下座して、年金納めて、頑張ってきた」と言ってしまう。

「結局、旦那の稼ぎで食わせてもらってるんだろう」……今まで何百回も専業主婦が言われてきた、侮辱の台詞を。

「……そう。私の主婦としての働きは、年金には一円も反映してないのね。
あんたは自分の好きな仕事をして自立しててよかったね。そりゃわからないわよね。わからないなら黙ってて」

くあーっ！！もう生々しいなんて言葉じゃ済まされない。
まるで隣の家の会話を盗み聞いたぐらいのリアルさ。身につまされてばっかりだ。

極めつけはこう。

「人生100年時代。たとえ経済的に苦労しても、私のために何もしてくれない人の世話よりいい。私は、私の我慢が当たり前と思ってる、あんたたちのためにもう生きたくないのよ」

泣いた。
多分これ、全主婦の血の叫びだ。(大げさ)

しかも、その後の綾瀬はるかのキレキレのダンス、母娘のヒップホップ対決(両者、格好からリリックからバイブスから何から仕上がってる)の面白さと半端ないクオリティの高さが対照的で、泣けるのに一気にシュールな笑いに持っていかれて、ジェットコースターだ。

――母の心の奥にある『言葉にならない』本音を、娘は引き出せるのか？
本当に本当に、次回が楽しみだ。