物語のない人生なんて!~とにかく面白い物語が読みたいんや~

凪子

文字の大きさ
24 / 28

「そうか。私はひとりで死にたいんだ……!」――NHKドラマ『ひとりでしにたい』(1~2話)大森美香

しおりを挟む
終活コメディと題された、このNHKドラマ、めちゃくちゃ怖い。
どこがコメディーやねんと思うぐらい、切実でリアルで生々しくて、身につまされる話だ。
今は結婚して育児中の身だから見れるけど、これ、独身時代だったら見られなかった。


◇あらすじ
主人公・山口鳴海(綾瀬はるか)は、未婚・子なしの一人暮らしを謳歌していた。
しかし、憧れていたキャリアウーマンの伯母が思いもよらない孤独死をしたことをきっかけに、焦って婚活を始めてしまい撃沈。
年下の同僚・那須田優弥から「結婚すれば安心って昭和の発想ですよね?」とバッサリ切り捨てられ、鳴海は「婚活」から180度方針転換して「終活」について考え始める…。

これは、30代後半独身の主人公が、時に世間の常識に傷つきながら、時に誰かと比べてしまい落ち込み、時に居て当たり前に思っていた周囲の人々に感謝しながら、よりよく死ぬためによりよく生きる方法を、這いつくばって模索する物語。


ずーっと感じてきた、直面してきた恐怖。

自分は一生、結婚できないんじゃないか。
このまま伴侶にも子どもにも恵まれず、孤独な人生を送るのだろうか。
何のために生まれてきたんだろう?
一生懸命働いて、勉強もして、税金も納めて、真面目に生きてきたのに、どうして報われないんだろう?
この先、病気や怪我をして働けなくなったらどうしよう。
親が死んだら、私はどうなってしまうんだろう。

その恐怖を、ありありと間近に突きつけられる、そんなドラマだった。

原作は漫画らしい。
きっと作者の方はめちゃくちゃ孤独死について調べられたんだなと思った。

ただ、主人公の綾瀬はるかさんは可愛すぎる。こんな39歳いないって!!!!というツッコミが日本中から聞こえそうだ。

だからこそというか何というか、一回り近く年下のイケメン官僚出向者に惚れられるという……まあ綾瀬はるかさんだからね。
普通の39歳じゃ、このストーリーはなかなか無理がある。

個人的には、ストーリー上、綾瀬はるかさんは独身女性の味方でいてほしいから、年下イケメンとくっつかないでほしいな~と思ったり。
これが「置いてけぼり」を食らったってやつなのだろうか。
若い頃に、友だちが結婚するとき寂しかったみたいな感覚を思い出す。

ただ、孤独死を「怖い」「惨め」と脅かすだけじゃなく、「じゃあ孤独死を避けるにはどうしたらいいの?」を詳しく描いている点に救いがある。
特に「歳をとって動けなくなる前に調べる」「助けを求める」のは、孤独死に限らず、すべてのことに通じるなと思った。

新型感染症が蔓延し、新たな時代になり、私たちは知った。
入院したとき、集中治療室にいる時、最期のとき、入室を許されるのは家族(親族と婚姻相手)だけだ。
事実婚や友だちは心強いけれど、最後の最後のセーフティネットは、やっぱり家族だ。
その家族がこの世に1人もいない、もしくは助け合えないのは、孤独死より辛いかもしれない。


結婚してもしてなくても、子どもがいてもいなくても、人は、死ぬ時は1人だ。

だからこそ、孤独死を恐れるのではなく、人の孤独を笑うのではなく、手を取り合い助け合って「生きる」こと。

このドラマの本質は、そこにあるのかもしれない。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...