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七、
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本丸の一番下の大広間に再び集められた一同は、家老実時の入室に平伏した。
「第二の試練は料理である。上様が召し上がられるものを各人で作ってもらう。ただし、道具、食材は全て自分で調達するよう。日没までに完成できなかった者は失格とする」
料理。それも自らの手で。
姫君らは戸惑ったように顔を見合わせた。
「真覚。至急本家より食材を取り寄せよ」
「御意にございます」
容花が指示を出すのを皮切りに、姫君たちは城の小間使いを呼び止め、走り書きを手渡す。
大抵の姫君は都に別邸か本宅を持っているので、そこから支援を得るつもりだろう。
だが、常盤にはそのような離れ業ができるはずもない。
夕霧が青ざめた顔で食い入るように常盤を見つめている。
常盤は安心させるように微笑みかけた。
「大丈夫です、夕霧姐さん。ここにいてください」
少なくとも声を出す場面でない限り、夕霧が失格とみなされることはないだろう。
常盤はすっくと立ち上がった。
「私が今、薬草をお持ちします」
「次姫よ」
その時、大広間の中央で涼やかな声がした。
見ると、典雅な衣装を身にまとった初姫が、座ったまま容花に向き直っていた。
容花は立って傲然と腕を組んだまま、凍てつくような目を向ける。
「分を弁えずここまで来たか」
常盤は首を傾げた。
あの時、彼女を見た城の使用人は、確かに彼女を「初姫」と呼んだ。
どういうことなのだろう。
容花は険のある目つきで彼女を睨みつける。
「上様の格別なる温情を理解せぬ愚か者め」
よくしなる鞭のごとき苛烈な台詞に、しかし姫は顔色ひとつ変えなかった。
「何のことでしょう」
「とぼけるな。六年前の茶会の折、確かにそなたの顔を見ておるわ」
姫はにっこりと笑うと、しとやかに頭を下げて、
「恐れながら、わたくし、あなた様にはお初にお目にかかるかと存じます」
二人はしばし無言のまま対峙していたが、やがて容花が踵を返した。
「――好きにするがよい。じゃが覚えておけ。わたくしは若様ほど甘くはないぞ」
「第二の試練は料理である。上様が召し上がられるものを各人で作ってもらう。ただし、道具、食材は全て自分で調達するよう。日没までに完成できなかった者は失格とする」
料理。それも自らの手で。
姫君らは戸惑ったように顔を見合わせた。
「真覚。至急本家より食材を取り寄せよ」
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だが、常盤にはそのような離れ業ができるはずもない。
夕霧が青ざめた顔で食い入るように常盤を見つめている。
常盤は安心させるように微笑みかけた。
「大丈夫です、夕霧姐さん。ここにいてください」
少なくとも声を出す場面でない限り、夕霧が失格とみなされることはないだろう。
常盤はすっくと立ち上がった。
「私が今、薬草をお持ちします」
「次姫よ」
その時、大広間の中央で涼やかな声がした。
見ると、典雅な衣装を身にまとった初姫が、座ったまま容花に向き直っていた。
容花は立って傲然と腕を組んだまま、凍てつくような目を向ける。
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常盤は首を傾げた。
あの時、彼女を見た城の使用人は、確かに彼女を「初姫」と呼んだ。
どういうことなのだろう。
容花は険のある目つきで彼女を睨みつける。
「上様の格別なる温情を理解せぬ愚か者め」
よくしなる鞭のごとき苛烈な台詞に、しかし姫は顔色ひとつ変えなかった。
「何のことでしょう」
「とぼけるな。六年前の茶会の折、確かにそなたの顔を見ておるわ」
姫はにっこりと笑うと、しとやかに頭を下げて、
「恐れながら、わたくし、あなた様にはお初にお目にかかるかと存じます」
二人はしばし無言のまま対峙していたが、やがて容花が踵を返した。
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