秋月の鬼

凪子

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九、

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着飾った常盤を見た四人の反応はそれぞれに異なっていた。

「お美しいですわ。常盤さん」

と清子は素直に賛辞を贈り、

「簪や帯留に至るまで最高級品……大和より取り寄せたものと見えます。どのような方のお力添えを頂いたのか、驚きですこと」

次姫は、疑念を隠そうともしなかった。

容花は扇で口元を覆うと、目には侮蔑の色を露わにする。

「どれほど金銀細工や玉をあしらった美しい衣に身を包もうと、所詮出自の卑しさは隠しようもないわ」

真覚がすまなそうな様子で、小声で言い添えた。

「どうぞお気を悪くされませんよう」

常盤は悠揚に首を振った。

「私は容花様が好きです」

仰天したように真覚が目をみはる。

真意を問おうとする瞳に常盤は応えた。

「嘘と偽りで塗り固められたこの場所で、あの方だけはいつも正直に、真っ当なことをおっしゃっておられた。周囲に惑わされず、筋を通されるお方だと思います」

次姫と清子も気を呑まれたのか目を丸くしている。

常盤は微笑んで、すべらかに頭を下げた。

















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