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春の章
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それから十時間もの間、ルベリエは走り続けた。
最後までルベリエについてくることができた者は二十数名。
そのほかは、海岸や校舎裏や丘の草むらに転がっている。助けは来ないことを知り尽くした瞳で。
走り終えて止まったルベリエの後ろで、倒れ込んだ少年が体を丸めてけいれんし、噴水のように吐瀉物をまき散らす。
ユリシスは口元を押さえ、蒼白な顔でうつむいた。
膝が外れそうなくらいがくがくしている。汗や尿の混じった猛烈な臭気に胸が悪くなる。
――甘かった。いや、甘すぎた。
入って三ヶ月で半数近くが島を去ると言われるサイクロイドを、知らない者はうそぶく。
どんなに辛く苦しい訓練だろうと、たった一年じゃないかと。
三百六十五日我慢さえすれば、一生安泰に暮らせるだけの金と地位が得られる。
終わりがあると分かっている戦いなら、死にもの狂いで立ち向かえるだろうと。
今、ユリシスは痛いほど思い知っていた。
たった一年と人は言う。けれど、苦痛の瞬間の一秒が、何と長く感じられることか。
十時間走った後の心情は、まるで千年にも及ぶ拷問を受けたかのようだった。
――これが士官。
闇夜に紛れ、ルベリエが今どんな表情をしているかは分からない。
だが、彼が息一つ乱していないのは確実だった。
最後までルベリエについてくることができた者は二十数名。
そのほかは、海岸や校舎裏や丘の草むらに転がっている。助けは来ないことを知り尽くした瞳で。
走り終えて止まったルベリエの後ろで、倒れ込んだ少年が体を丸めてけいれんし、噴水のように吐瀉物をまき散らす。
ユリシスは口元を押さえ、蒼白な顔でうつむいた。
膝が外れそうなくらいがくがくしている。汗や尿の混じった猛烈な臭気に胸が悪くなる。
――甘かった。いや、甘すぎた。
入って三ヶ月で半数近くが島を去ると言われるサイクロイドを、知らない者はうそぶく。
どんなに辛く苦しい訓練だろうと、たった一年じゃないかと。
三百六十五日我慢さえすれば、一生安泰に暮らせるだけの金と地位が得られる。
終わりがあると分かっている戦いなら、死にもの狂いで立ち向かえるだろうと。
今、ユリシスは痛いほど思い知っていた。
たった一年と人は言う。けれど、苦痛の瞬間の一秒が、何と長く感じられることか。
十時間走った後の心情は、まるで千年にも及ぶ拷問を受けたかのようだった。
――これが士官。
闇夜に紛れ、ルベリエが今どんな表情をしているかは分からない。
だが、彼が息一つ乱していないのは確実だった。
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