ウェルテルの陰謀 －美少女と美少年(？)に囲まれた俺の運命やいかに？ー

第二章

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「公香。どうしてこの子」

「物分かりの悪い奴だな。こいつがお前の『弟』だよ」

言わんとしていることは分かっていたが、どうにも信じられない。

凝視すると、楓は眉を寄せてランドセルの紐を直した。

「急いでるんで、失礼します」

「おっとそうはいかない」

公香は楓のランドセルの後ろをひっ捕まえて、悪人面をした。

「子供だからって容赦してもらえると思ったら大間違いだぞ。覚悟しやがれこのガキ」

耳元で語りかけるようにして凄む。

「おいおい、いたいけな子供にやめなって。警察に通報されるよ？」

「通報上等。お前はそうやって世間体ばかり気にしてるから小市民なんだよ。ヘタレはすっこんでろ」

公香は指をぱきぱき鳴らす。

楓は何とか逃れようとするが、公香の馬鹿力に取り押さえられてぴくとも動かない。

そのままずるずるとベンチまで連行し、楓の両肩に手を置くと、公香は膝をついて目線を合わせた。

「吉岡を使って、私のこと調べさせてたのはお前だな」

吉岡といえば、里香の元彼の高校生だ。

楓は唾を飲み、小さく首を振った。

「とぼけんな。嘘ついたって無駄だ。お前のことは分かってる。宇都宮高校にお前の父親が務めてるのもな」

「宇都宮高校？」

「吉岡の通ってる男子校だよ。大方、父親にチクるとでも言ってあの馬鹿脅かしたんだろ」

公香はゆっくりと手を離し、腕を組んだ。

「里香に要らぬことを吹きこんだのもお前だろ」

楓がぴくりと弓なりの眉を動かした。

「……どうして」