女子高生占い師の事件簿

【２】リロケーション

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――恵果の占いから数日後、律は再び自分の背後を尾けてくる存在に気づいた。

もとより、律は気を抜いて歩くタイプの人間ではない。

ここ数日、ぴりぴりしていたことも功を奏した。

今日こそは絶対捕まえる。足音に耳を澄ませながら、律は静かに胸の奥で決意した。

わざと歩調を緩め、ゆっくりと角を曲がる。

そのまま歩き続けるふりをして、さりげなく立ち止まった。息をひそめ、気配を消す。

相手は曲がり角まで来ると、そこでぴたりと立ち止まった。

頭を出して、こちらの様子を伺おうとしているのだ。

律は相手を十分に引き寄せてから、突然手を伸ばし、その腕をひねり上げた。

確かな感触とともに、相手のうめき声が聞こえてくる。

その声のか弱さに、つかんだ手首の細っこさに、律は眉を寄せた。

そのまま引っ張ると、相手はたたらを踏んで律の胸に倒れかかってくる。

色素の薄いくせ毛から、ふわりと甘い香りが漂う。

ウサギを思わせる色白な小顔に、大きな黒い瞳。

律は気づいて「げ」と声を上げた。

手を離して両肩をつかみ、支えてやる。

見上げる少女の瞳には涙が浮かんでいた。

「亜子……」

律は呟き、大きく息を吐いた。