女子高生占い師の事件簿

【４】トランジット

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喫茶オリオンで軽食をとりながら、律はおもむろに切り出した。

「恵果ってさ、実はすっげーサバ読んでるんじゃないかって思うときがある」

本人に聞かれたら殺されかねないことを言う。

比呂は笑った。

「何で？」

「だって、十六だろ？普通なら女子高生だろ？青春したい年頃だと思うんだよな。
なのに、仕事仕事で遊ばねーし、飯はうまいし、掃除は完璧だし。考え方も老成してるというか、達観してるというか。年齢に見合ってるのは外見だけだもんよ」

「褒めるかけなすか、どっちかにしような」

比呂はふう、と煙草の煙を吐いた。

「お前こそ老けてるな。十八やそこらで」

「余計なお世話だよ」

そのとき、ちりんちりんと鈴が鳴った。

「いらっしゃいませ」

入ってきた少女、江藤亜子はちらちらと店内を見回した。

「こんにちは……」

相変わらず、ここに来るのは少し勇気がいる。

この喫茶店は、どこか世間と隔絶した不思議な空間をかもし出しているからだ。

亜子はあれ以来この店に通うようになり、恵果と他愛のない話をし、時には相談に乗ってもらっていた。

亜子にとって、同い年でここまで心を打ち明けられる友達は、恵果が初めてだった。