女子高生占い師の事件簿

【４】トランジット

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比呂が立ち去った後、律は盛大にため息をついた。

「……亜子？お前な～」

「ごめんなさい……」

亜子はしおらしく謝った。

もう、いつもの彼女に戻っているようだ。

激怒していた先ほどが信じられないほどの豹変ぶりだ。

「久しぶりに見たよ、怒るお前。ちっちゃいころ、俺が近所の猫に石ぶつけたとき以来かな」

「あれは、りっちゃんが……！」

出来心だった、というか、当たるとは思わなかった。

結果、猫は律に襲かかって引っかいてきた上、見ていた亜子は律にバケツ一杯の水を浴びせかけて、猛烈に怒った。

「分かってる。あれは俺が悪かった」

そうだ。亜子の怒りには、いつも正当な理由がある。

そして亜子が怒るのは大抵、誰かを守るためだ。

前回はそれが猫だった。しかし、今回は誰なのだろう？

律は黙って亜子の肩をたたく。

亜子は訴えるような目で律を見上げたが、何も言わずにパフェを頬張った。