次の日の朝

ゆめゆき

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朝のおはなし

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「うーん…んん…」
 寝返りを打ったのは、自宅のベッドではなかった。あれ?よくよく確認してみると、ぶかぶかの自分のじゃないTシャツ一枚で、下着も身に着けていない。下着を探すと、寝室の床に自分の服と一緒に投げ出されていた。
「これは…」
 やっちゃったのかなー?すぐには記憶が蘇らない。かなり飲んでいたからな…。でもここ最近は注意していたはずなのに。
 下着をはいて、自分の服に着替えていると、寝室のドアが不意に開けられた。
「ああ、おはよう」
 朝のさわやかな自然光に照らされた青年は、僕の好みだった。酔っていても審美眼は確からしい。少し長めの黒い髪。はれぼったくないきりりとした一重。細みだが、しっかり筋肉はついている。
「おはよう…」
 僕は、返事すると、青年は「ごはん、あるよ。食べるよね。洗面台こっち」と、僕の手をひいた。面倒見のいいやつだ。
 洗顔して、案内されたテーブルに着く。サラダ、いちごジャム、マーマレード、トーストは今焼いているらしく、香りが漂っている。
「卵、焼くけど何がいい?スクランブルエッグとか目玉焼きなら出来るよ。あと、ベーコンとかいる?」
「スクランブルエッグがいい。ベーコン食べたい」
「わかった」
 青年は、キッチンに立って調理を始めた。
「あの…ちゃんとしてるね…」
「あー、いつももっとテキトーだよ。彗くんがいるから」
 少しはにかみながら言う。
「あー、そう…あのさあ…ごめんなんだけど、名前…」
「ん?」
「名前、なんだっけ……」
 青年はちょっと、さびしそうなというか、残念そうなというか、複雑な表情を一瞬浮かべたが、すぐに答えてくれた。
「波藤千秋」
「あ…千秋くんね…」
 千秋はスクランブルエッグとベーコン、それにトーストが乗った皿を二つ持って、テーブルに運んだ。食器はバラバラだ。そんなに用意はないらしい。
「コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「コーヒー…」
 これもまた、大きさも形もちぐはぐなカップに千秋はドリップパックをセットして、僕の前で湯を注いだ。すごくいい香りがする。
「僕、いつもインスタント。ぜいたくー」
 言うと、千秋は人好きのする笑顔を浮かべた。
「嗜好品はグレード上げちゃうと戻しにくいよね。前にお土産で貰ってさ」
「うんうん」
 それで、昨日は…どうしたんだっけ…。
 








































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