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第四章 犯罪者共は学をつける
82.復讐者
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「はっはっはっ!!!やっとお前と戦えるなハクア!」
またまた少し前。散開した一同の中で、一番に目標と遭遇したのはガジュであった。他三人とはやはりやる気の度合いが違う。赤い日が差し込む夕方ということもあって【闇の王】の効果はほとんど発揮されていないが、ガジュへの復讐心だけでガジュのパワーは跳ね上がっている。
「ガジュ……くれぐれも、模擬戦ということを忘れるなよ。俺達の戦いは観客に見られている。」
「分かってる。つまり全部まとめて破壊すれば良いんだろ!?」
「何も分かってないな……。離れてはいるがこの山には生徒達もいるんだ。彼らにぐらいは配慮して戦ってくれ。」
「了!解!」
一欠片も話を聞いていないガジュが地面をぶん殴り、盛大に足元が崩れていく。やはり今の明るさでは地面を穿つことは不可能。精々足元がガタついた程度で何の役にも立っていないが、これで正確に自分の力を把握する事ができた。後は目の前の男を叩き殺すだけだ。
「この明るさじゃぶん殴ってもそこまで痛くないだろうからな!お前の細い体を叩き折ることに集中してやるよ!」
「それならこっちも高速化するだけだ。速度上昇。」
ハクアの【魔法剣】は剣に住む精霊に魔力を与えることで簡易的な魔法を使用できるもの。しかしハクアは魔力を持たないため、普段は魔物の死体などから魔力を奪っているはずだが、今回は随分と用意周到だ。事前に何らかの方法で剣に魔力を込めてきたのだろう。
即ち、いつか限界が来るということだ。
「いいのか?そんなに早くから魔力を使って。あくまでお前は剣に魔力をストックできるだけだろ。言っとくが俺は、そう簡単にくたばらねぇぞ!昔の俺とはもう違うからな!」
「俺も昔とは違うんだ。今の俺に魔力の制限はない。最も、俺の成長はジュノによるものだがな。斬撃放射。」
「はっ!俺の後釜か……。随分と優秀らしいな!!!」
「あぁ。あいつは魔法を使うだけでなく、味方に自分の魔力を供給する事ができる。」
高速で飛来する目視不可能な斬撃。それを直感で回避しつつ、ガジュはハクアに迫っていく。
距離を取っていてはジワジワと追い詰められるだけ。ガジュはそう確信して素早くハクアの剣を持っていない方の腕を掴み、雑巾でも絞るかのような勢いで捻り回す。握力が高まっていないから腕を捻り潰す、とまではいかなかったが、代わりにハクアの体が宙に浮かび、ガジュはそこに追撃を加えていった。
並の相手ならこれで倒せるだろうが、相手は黒曜等級の冒険者だ。ハクアは不安定な体勢から剣を振り回し、ガジュの分厚い胸板が大きく切り裂かれる。
「ジュノはお前の対極のような存在だ。自分の意志が弱くただひたすらにユノを追い求める。あいつは万能の化身であり羨望の塊だからな。」
「確かに俺とは真逆だな。俺はお前にもユノにも、誰であろうと憧れたことはない。俺は俺が腹立つから暴れるし、俺が無能だと自覚してたから長い間荷物持ちをしていたんだ。他人に依存して生きることに価値なんて何もない。」
「お前はそういうと思ったよ。だがな、あいつがいなきゃ、俺達はここまで来れなかった。」
胸を切られたことで疲弊するガジュに対し、ハクアは更に魔法を重ねていく。ハクア自身が積み上げた剣術の実力と、それに複合して放たれる魔法の数々。これだけで相当厄介だったというのに、あのジュノとかいう新顔によってハクアは更に強くなっている。
負ける気など毛頭なかった。何としてもハクアを殺そうと思い続けて訓練を積んできたが、結局まともに攻撃すら出来ていない。【闇の王】の効果を正しく認識したとしても、このスキルが使いにくいことに変わりはない。
日中、それもこんな野晒しの状況では、たった一度切られた痛みにすら耐えられず、今こうして血を流している。
「ガジュ、もう諦めろ。お前はどこまでいっても弱いままだ。スキルにも魔力にも恵まれず、天性の戦闘スキルがあるわけでもない。どれだけ復讐に駆られようと、俺には敵わないんだ。」
「黙れ。俺はお前をぶっ殺す。そう決めたから、あのクソみたいな檻をぶち壊してここまで登ってきたんだ。憧れも名誉もいらねぇ、復讐こそが俺の生きがい。それ以外に、はなから興味なんてねぇんだよ!!!」
痛みと無力感に襲われ、ガジュが冷静さを失っていく。目の前にあるハクアの顔は何とも涼しげで、まるでガジュに一切興味を抱いていないような。そんな冷酷な瞳に闘志を燃やしガジュが再び拳を握った時、二人の間には一人の大男が姿を表していた。
「あぁ……?誰だお前。とっととそこどけよ。」
「血が昇った頭、狂気的瞳、復讐。素晴らしい。素晴らしいぞ貴様。」
「ガジュ!待て、耳を貸すな!」
「我はチャリオット。復讐を求めしものに手を差し伸べし者。我が手を握れ、復讐者よ。」
荘厳な鎧に身を包んだ騎士が迫り、蠱惑的な声がガジュの錯乱した脳みそへ静かに響いていた。
またまた少し前。散開した一同の中で、一番に目標と遭遇したのはガジュであった。他三人とはやはりやる気の度合いが違う。赤い日が差し込む夕方ということもあって【闇の王】の効果はほとんど発揮されていないが、ガジュへの復讐心だけでガジュのパワーは跳ね上がっている。
「ガジュ……くれぐれも、模擬戦ということを忘れるなよ。俺達の戦いは観客に見られている。」
「分かってる。つまり全部まとめて破壊すれば良いんだろ!?」
「何も分かってないな……。離れてはいるがこの山には生徒達もいるんだ。彼らにぐらいは配慮して戦ってくれ。」
「了!解!」
一欠片も話を聞いていないガジュが地面をぶん殴り、盛大に足元が崩れていく。やはり今の明るさでは地面を穿つことは不可能。精々足元がガタついた程度で何の役にも立っていないが、これで正確に自分の力を把握する事ができた。後は目の前の男を叩き殺すだけだ。
「この明るさじゃぶん殴ってもそこまで痛くないだろうからな!お前の細い体を叩き折ることに集中してやるよ!」
「それならこっちも高速化するだけだ。速度上昇。」
ハクアの【魔法剣】は剣に住む精霊に魔力を与えることで簡易的な魔法を使用できるもの。しかしハクアは魔力を持たないため、普段は魔物の死体などから魔力を奪っているはずだが、今回は随分と用意周到だ。事前に何らかの方法で剣に魔力を込めてきたのだろう。
即ち、いつか限界が来るということだ。
「いいのか?そんなに早くから魔力を使って。あくまでお前は剣に魔力をストックできるだけだろ。言っとくが俺は、そう簡単にくたばらねぇぞ!昔の俺とはもう違うからな!」
「俺も昔とは違うんだ。今の俺に魔力の制限はない。最も、俺の成長はジュノによるものだがな。斬撃放射。」
「はっ!俺の後釜か……。随分と優秀らしいな!!!」
「あぁ。あいつは魔法を使うだけでなく、味方に自分の魔力を供給する事ができる。」
高速で飛来する目視不可能な斬撃。それを直感で回避しつつ、ガジュはハクアに迫っていく。
距離を取っていてはジワジワと追い詰められるだけ。ガジュはそう確信して素早くハクアの剣を持っていない方の腕を掴み、雑巾でも絞るかのような勢いで捻り回す。握力が高まっていないから腕を捻り潰す、とまではいかなかったが、代わりにハクアの体が宙に浮かび、ガジュはそこに追撃を加えていった。
並の相手ならこれで倒せるだろうが、相手は黒曜等級の冒険者だ。ハクアは不安定な体勢から剣を振り回し、ガジュの分厚い胸板が大きく切り裂かれる。
「ジュノはお前の対極のような存在だ。自分の意志が弱くただひたすらにユノを追い求める。あいつは万能の化身であり羨望の塊だからな。」
「確かに俺とは真逆だな。俺はお前にもユノにも、誰であろうと憧れたことはない。俺は俺が腹立つから暴れるし、俺が無能だと自覚してたから長い間荷物持ちをしていたんだ。他人に依存して生きることに価値なんて何もない。」
「お前はそういうと思ったよ。だがな、あいつがいなきゃ、俺達はここまで来れなかった。」
胸を切られたことで疲弊するガジュに対し、ハクアは更に魔法を重ねていく。ハクア自身が積み上げた剣術の実力と、それに複合して放たれる魔法の数々。これだけで相当厄介だったというのに、あのジュノとかいう新顔によってハクアは更に強くなっている。
負ける気など毛頭なかった。何としてもハクアを殺そうと思い続けて訓練を積んできたが、結局まともに攻撃すら出来ていない。【闇の王】の効果を正しく認識したとしても、このスキルが使いにくいことに変わりはない。
日中、それもこんな野晒しの状況では、たった一度切られた痛みにすら耐えられず、今こうして血を流している。
「ガジュ、もう諦めろ。お前はどこまでいっても弱いままだ。スキルにも魔力にも恵まれず、天性の戦闘スキルがあるわけでもない。どれだけ復讐に駆られようと、俺には敵わないんだ。」
「黙れ。俺はお前をぶっ殺す。そう決めたから、あのクソみたいな檻をぶち壊してここまで登ってきたんだ。憧れも名誉もいらねぇ、復讐こそが俺の生きがい。それ以外に、はなから興味なんてねぇんだよ!!!」
痛みと無力感に襲われ、ガジュが冷静さを失っていく。目の前にあるハクアの顔は何とも涼しげで、まるでガジュに一切興味を抱いていないような。そんな冷酷な瞳に闘志を燃やしガジュが再び拳を握った時、二人の間には一人の大男が姿を表していた。
「あぁ……?誰だお前。とっととそこどけよ。」
「血が昇った頭、狂気的瞳、復讐。素晴らしい。素晴らしいぞ貴様。」
「ガジュ!待て、耳を貸すな!」
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