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第四章 犯罪者共は学をつける
88.和解の時
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「ハクア……!何を急に!」
「いいんだレザ。和解だけじゃない、その先の話もする。」
訳知り顔のレザが口を挟み、ハクアがそれを手で制しながら立ち上がる。突然の和解提案にガジュの頭は張り裂けそうだが、周囲の面々はそうでもなさそうだ。
八人も周りにいるというのに、ガジュ同様困惑しているのはラナーナただ一人。ヘサに関しては自前の頭脳で事のあらましを察しているのだろうが、他は全員、既に事情を知っているような顔をしている。
「端的に説明しよう。俺達はかつて、お前を追放しアルカトラへと投獄した。だがあれは俺含め『カイオス』の面々の意思ではない。」
「はぁ?何だ、まさかお前らもシャルル同様操られていたって言うのか?ふざけんじゃねぇぞ。」
「そのまさかだ。最も俺らが操られていたのは全くの別人、いや人ですらない。名前までは不明だが……魔族、それが全ての元凶だ。」
一片の曇りもない澄み切った瞳で、ハクアがただただ真実だけを告げていく。ガジュ達がチョココロネと引きこもりに翻弄されている間、ハクアはハクアで色々と情報を集めたのだろう。ユギ村で出会った時の迷いに満ちた瞳との差が、それを物語っている。
だが、ガジュがそう易々と納得するはずもない。
「信じると思うか?言い訳にしか聞こえない、そのクソみたいな話を。」
「信じてくれとしか言いようがない。俺達はお前を追放する気なんて毛頭なかった。お前を弱いと思っていたことは事実だが、弱いからと言って邪険にするほど俺達の人間性は腐っていない。」
ガジュは誰よりも仲間を大切にする人間だ。それは幼少期に無力なハクアを守って生きていたからであり、それは守られていた側からしても変わらない。剣もなければ魔力もない、ただの少年だったハクアはずっとガジュに守られ、ガジュの背中を追って育ってきている。
「お前らは、その話にいつ気付いたんだ。そんだけ確固たる自信を持って喋ってるってことは、ある程度情報を集めた上でここにいるんだろ。」
「気付いたのは最初に試練の迷宮に行った時だ。魔族が犯人だと気付いたのは、二度目に行った時。ジュノと共に探索した事で、色々と情報を得ることが出来た。」
「じゃあ何故ずっと黙ってた。さっさと言えば良かっただろうが。そうすれば俺がアルカトラを命懸けで脱獄する必要も、ユギで竜を叩き殺す必要もなかった。」
「守る為だ。敵の正体も分からない、動機も分からない状態で全てを明かしても、再び操られるのがオチだからな。」
ここら辺の話も、ガジュとラナーナ以外は概ね知っているのだろう。特に誰かが割り込むこともなく、ただ淡々と。ガジュとハクアは言葉を交わしていく。
「じゃあ何故今俺に話した。結局犯人が魔族と分かっただけで、それ以上の進展はしていないんだろ。それなら話す意味はないはずだ。これまで通り、仲良く喧嘩しておけばいい。」
「理由は二つだ。一つは、俺とレザが再び操られる事はないと確定したこと。これはジュノが仲間になった時に彼女の口から宣言されている。魔族同士の干渉は薄らと感じ取れるらしい。そしてもう一つは、お前が魔族に打ち勝った事。」
「さっきから思ってたが、お前らはそのジュノとかいう新顔を信用しすぎじゃないか。そいつがお前らを操ってる、って可能性をお前は完璧に否定出来るのか?」
「出来る。お前はレザのスキルを覚えてるか?」
レザ・アスターク。
魔法の中でも治癒魔法に特化した術士で、冒険者協会の中でも数少ない治癒士を名乗る男。
八年間の冒険者生活を共にした仲間の情報を真剣に思い出そうとするも、ガジュの頭に欲しい情報は一ミリも降りてこない。その苦悶の表情を読み取ったようで、流石に張本人から援護が入る。
「知らなくて当然だよ。使える場面が限定的すぎてほとんど披露する機会がなかったからね。【朗々】。相手の喉仏に触れると、相手は嘘がつけなくなる。普通に生きてれば人の喉仏を触る機会なんて無いし、冒険者が拷問をする機会なんて早々無い。これまではろくに役に立たなかったけど相手がジュノなら別だった。」
「出会った時は生首、だったか。なるほどな。」
ガジュが納得し、今度は拳を握る。裏切りの件がハクア達の意思ではないという事は分かった。分かったからこそその先の話が重要だ。この和解はそうスマートに行くものではない、ただ矛先が変わるだけの話である。
「それで、次はどの魔族をぶっ飛ばせば良いんだ。俺が魔族を倒したタイミングで打ち明けたって事は、そういう事だろ。」
「そうだ。ガジュ、いや『クリミナル』には俺達『カイオス』と協力して全ての元凶たる魔族を叩き殺して貰いたい。」
「だからその魔族がどこにいるかって聞いてんだ。魔族が犯人だと分かってるってことは、何かしらのヒントを掴んでんだろ。」
「あぁ。俺達ももう少しで全ての真相に辿り着けそうだったんだ。だが力が足りず道半ばで帰宅した。そう、試練の迷宮からな。」
まぁ、話の流れからしてそうだろう。薄々感じていた想像上の言葉がそっくりそのままハクアの口から飛び出し、ガジュはゆっくりと立ち上がる。正直言ってまだジュノのこともハクアのことも信頼したわけではない。だがまぁ、真相を突き止めに行くぐらいはいいだろう。
「行くぞ、試練の迷宮。全部のカタをつけるためにな。」
世界中の冒険者は、結局あそこに帰着する。それは、因縁を抱えた男達にしても同じことだ。
「いいんだレザ。和解だけじゃない、その先の話もする。」
訳知り顔のレザが口を挟み、ハクアがそれを手で制しながら立ち上がる。突然の和解提案にガジュの頭は張り裂けそうだが、周囲の面々はそうでもなさそうだ。
八人も周りにいるというのに、ガジュ同様困惑しているのはラナーナただ一人。ヘサに関しては自前の頭脳で事のあらましを察しているのだろうが、他は全員、既に事情を知っているような顔をしている。
「端的に説明しよう。俺達はかつて、お前を追放しアルカトラへと投獄した。だがあれは俺含め『カイオス』の面々の意思ではない。」
「はぁ?何だ、まさかお前らもシャルル同様操られていたって言うのか?ふざけんじゃねぇぞ。」
「そのまさかだ。最も俺らが操られていたのは全くの別人、いや人ですらない。名前までは不明だが……魔族、それが全ての元凶だ。」
一片の曇りもない澄み切った瞳で、ハクアがただただ真実だけを告げていく。ガジュ達がチョココロネと引きこもりに翻弄されている間、ハクアはハクアで色々と情報を集めたのだろう。ユギ村で出会った時の迷いに満ちた瞳との差が、それを物語っている。
だが、ガジュがそう易々と納得するはずもない。
「信じると思うか?言い訳にしか聞こえない、そのクソみたいな話を。」
「信じてくれとしか言いようがない。俺達はお前を追放する気なんて毛頭なかった。お前を弱いと思っていたことは事実だが、弱いからと言って邪険にするほど俺達の人間性は腐っていない。」
ガジュは誰よりも仲間を大切にする人間だ。それは幼少期に無力なハクアを守って生きていたからであり、それは守られていた側からしても変わらない。剣もなければ魔力もない、ただの少年だったハクアはずっとガジュに守られ、ガジュの背中を追って育ってきている。
「お前らは、その話にいつ気付いたんだ。そんだけ確固たる自信を持って喋ってるってことは、ある程度情報を集めた上でここにいるんだろ。」
「気付いたのは最初に試練の迷宮に行った時だ。魔族が犯人だと気付いたのは、二度目に行った時。ジュノと共に探索した事で、色々と情報を得ることが出来た。」
「じゃあ何故ずっと黙ってた。さっさと言えば良かっただろうが。そうすれば俺がアルカトラを命懸けで脱獄する必要も、ユギで竜を叩き殺す必要もなかった。」
「守る為だ。敵の正体も分からない、動機も分からない状態で全てを明かしても、再び操られるのがオチだからな。」
ここら辺の話も、ガジュとラナーナ以外は概ね知っているのだろう。特に誰かが割り込むこともなく、ただ淡々と。ガジュとハクアは言葉を交わしていく。
「じゃあ何故今俺に話した。結局犯人が魔族と分かっただけで、それ以上の進展はしていないんだろ。それなら話す意味はないはずだ。これまで通り、仲良く喧嘩しておけばいい。」
「理由は二つだ。一つは、俺とレザが再び操られる事はないと確定したこと。これはジュノが仲間になった時に彼女の口から宣言されている。魔族同士の干渉は薄らと感じ取れるらしい。そしてもう一つは、お前が魔族に打ち勝った事。」
「さっきから思ってたが、お前らはそのジュノとかいう新顔を信用しすぎじゃないか。そいつがお前らを操ってる、って可能性をお前は完璧に否定出来るのか?」
「出来る。お前はレザのスキルを覚えてるか?」
レザ・アスターク。
魔法の中でも治癒魔法に特化した術士で、冒険者協会の中でも数少ない治癒士を名乗る男。
八年間の冒険者生活を共にした仲間の情報を真剣に思い出そうとするも、ガジュの頭に欲しい情報は一ミリも降りてこない。その苦悶の表情を読み取ったようで、流石に張本人から援護が入る。
「知らなくて当然だよ。使える場面が限定的すぎてほとんど披露する機会がなかったからね。【朗々】。相手の喉仏に触れると、相手は嘘がつけなくなる。普通に生きてれば人の喉仏を触る機会なんて無いし、冒険者が拷問をする機会なんて早々無い。これまではろくに役に立たなかったけど相手がジュノなら別だった。」
「出会った時は生首、だったか。なるほどな。」
ガジュが納得し、今度は拳を握る。裏切りの件がハクア達の意思ではないという事は分かった。分かったからこそその先の話が重要だ。この和解はそうスマートに行くものではない、ただ矛先が変わるだけの話である。
「それで、次はどの魔族をぶっ飛ばせば良いんだ。俺が魔族を倒したタイミングで打ち明けたって事は、そういう事だろ。」
「そうだ。ガジュ、いや『クリミナル』には俺達『カイオス』と協力して全ての元凶たる魔族を叩き殺して貰いたい。」
「だからその魔族がどこにいるかって聞いてんだ。魔族が犯人だと分かってるってことは、何かしらのヒントを掴んでんだろ。」
「あぁ。俺達ももう少しで全ての真相に辿り着けそうだったんだ。だが力が足りず道半ばで帰宅した。そう、試練の迷宮からな。」
まぁ、話の流れからしてそうだろう。薄々感じていた想像上の言葉がそっくりそのままハクアの口から飛び出し、ガジュはゆっくりと立ち上がる。正直言ってまだジュノのこともハクアのことも信頼したわけではない。だがまぁ、真相を突き止めに行くぐらいはいいだろう。
「行くぞ、試練の迷宮。全部のカタをつけるためにな。」
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