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殿下は有能さを別方面で発揮する。
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「昨日の夜着は、どこのものだ?」
ドッキーン!
大きく肩を揺らすリリアナ。
「あの・・あれは・・」
何か、何か言わなければ・・・!
何も言葉が出てこないのは、殿下はきっとあの部屋着に苦言を呈するだろうと思うからだ。
リリアナはいつかの両親を思い出す。
リリアナが最初にあの部屋着に夢中になった頃、大好きな両親に着せて見せたことがある。
すごいかわいいでしょう!?とはしゃぐリリアナは、両親も当然この可愛さをわかってくれると思っていた。
しかし両親は眉をひそめた。「そのような部屋着はやめなさい。なんとはしたない・・!」
両親とは分かち合えないものもあるのだと、初めて知った瞬間だった。
自室の中でなら、と渋々許してもらったものの、その後も両親はいい顔はしなかった。
きっと殿下も・・・。
少しずつ買い揃えてきたかわいい部屋着達と、もしかしたらこれから永遠にお別れしないといけないのかもしれない、と思うと鼻の奥がツーンとした。
「リリアナ?」
いけない、答えなければ。
「あれは、ジェラード国にあるお店で買った部屋着です・・遠縁の親戚が、お土産に買ってきてくれて・・」
「あぁ、ジェラード国か。あのようなものは初めて見てな」
「はしたない格好をお見せして、申し訳ありませんでした」
「いや、突然行った俺が悪いのだ。すまなかった。部屋ではよくあの格好でいるのか?」
「申し訳ありません」
「・・?なぜ謝るのだ?」
自然と顔が俯いてしまう。
懺悔する罪人の気持ちだ。やめろと言われるより、自分から手放した方がまだ楽だ、きっと。
「王子妃にあるまじき格好をしてしまい、申し訳ありません・・あの部屋着は処分いたします」
「処分する?・・気に入ってるのではないのか?」
「気に入ってはいますが・・やはり、はしたないので・・」
「だが似合っていたぞ?」
思いがけない言葉を耳にして、リリアナは顔を上げた。
セイラムは変わらず、柔らかい表情を浮かべている。
「確かにこの国では、はしたない部類に入ってしまうかもしれんが、他国の文化を学んでいる俺から見れば、特におかしいとは思わないが・・ジェラード国では女性もスラックスを履いたり、短いスカートで足を出したりもするのだろう?俺もその・・あの夜着は、か、かわいいと思ったぞ」
これは幻聴ではないかしら?殿下が、あの部屋着をかわいいと言ってくれている・・
「殿下、あの・・・あの!私、あのような部屋着をこのまま着ても?」
「もちろんだ。だが、他国の文化を知る俺だからこそ、そう思うのであって、他の者からはよくは思われないだろう。この国の権威に関わる可能性もある。必ず自室で着るように。特に男はそういうことに頭が堅いからな、細心の注意を払う必要がある。文化に理解のある俺の前でならいくら着てもらっても構わないがな。間違っても他の男の目に晒すことのないように注意するように。そうだな、万が一に備えて、ドアの前にもう1枚ドアを作って前室を設けよう。緊急を装ってドアを開ける輩が居ないとも限らないからな。侍女の教育も必要だ。それと、すぐにガウンを羽織れるように居室のドアの手前に専用のトルソーを・・」
私はこれから咎められることもなくかわいい部屋着が着れる喜びに胸がいっぱいで、殿下の前で部屋着を着るような想定や、部屋着姿を見られないように次々と対策を挙げて力説する彼に疑問を持つこともなく、こくこくとうなづいていた。
ドッキーン!
大きく肩を揺らすリリアナ。
「あの・・あれは・・」
何か、何か言わなければ・・・!
何も言葉が出てこないのは、殿下はきっとあの部屋着に苦言を呈するだろうと思うからだ。
リリアナはいつかの両親を思い出す。
リリアナが最初にあの部屋着に夢中になった頃、大好きな両親に着せて見せたことがある。
すごいかわいいでしょう!?とはしゃぐリリアナは、両親も当然この可愛さをわかってくれると思っていた。
しかし両親は眉をひそめた。「そのような部屋着はやめなさい。なんとはしたない・・!」
両親とは分かち合えないものもあるのだと、初めて知った瞬間だった。
自室の中でなら、と渋々許してもらったものの、その後も両親はいい顔はしなかった。
きっと殿下も・・・。
少しずつ買い揃えてきたかわいい部屋着達と、もしかしたらこれから永遠にお別れしないといけないのかもしれない、と思うと鼻の奥がツーンとした。
「リリアナ?」
いけない、答えなければ。
「あれは、ジェラード国にあるお店で買った部屋着です・・遠縁の親戚が、お土産に買ってきてくれて・・」
「あぁ、ジェラード国か。あのようなものは初めて見てな」
「はしたない格好をお見せして、申し訳ありませんでした」
「いや、突然行った俺が悪いのだ。すまなかった。部屋ではよくあの格好でいるのか?」
「申し訳ありません」
「・・?なぜ謝るのだ?」
自然と顔が俯いてしまう。
懺悔する罪人の気持ちだ。やめろと言われるより、自分から手放した方がまだ楽だ、きっと。
「王子妃にあるまじき格好をしてしまい、申し訳ありません・・あの部屋着は処分いたします」
「処分する?・・気に入ってるのではないのか?」
「気に入ってはいますが・・やはり、はしたないので・・」
「だが似合っていたぞ?」
思いがけない言葉を耳にして、リリアナは顔を上げた。
セイラムは変わらず、柔らかい表情を浮かべている。
「確かにこの国では、はしたない部類に入ってしまうかもしれんが、他国の文化を学んでいる俺から見れば、特におかしいとは思わないが・・ジェラード国では女性もスラックスを履いたり、短いスカートで足を出したりもするのだろう?俺もその・・あの夜着は、か、かわいいと思ったぞ」
これは幻聴ではないかしら?殿下が、あの部屋着をかわいいと言ってくれている・・
「殿下、あの・・・あの!私、あのような部屋着をこのまま着ても?」
「もちろんだ。だが、他国の文化を知る俺だからこそ、そう思うのであって、他の者からはよくは思われないだろう。この国の権威に関わる可能性もある。必ず自室で着るように。特に男はそういうことに頭が堅いからな、細心の注意を払う必要がある。文化に理解のある俺の前でならいくら着てもらっても構わないがな。間違っても他の男の目に晒すことのないように注意するように。そうだな、万が一に備えて、ドアの前にもう1枚ドアを作って前室を設けよう。緊急を装ってドアを開ける輩が居ないとも限らないからな。侍女の教育も必要だ。それと、すぐにガウンを羽織れるように居室のドアの手前に専用のトルソーを・・」
私はこれから咎められることもなくかわいい部屋着が着れる喜びに胸がいっぱいで、殿下の前で部屋着を着るような想定や、部屋着姿を見られないように次々と対策を挙げて力説する彼に疑問を持つこともなく、こくこくとうなづいていた。
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