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サイドストーリー:フリージア
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「ここでいいわ」
城門の手前で馬車を停め、城へ向かって進む。
と見せかけて、馬車が進行方向を変えたのを確認して、路肩で隠れて、頭からローブを羽織る。
地味なローブに身を隠して、フリージアもまた、馬車と同じく城門に背を向けて歩き出した。
城門の手前の橋を渡り終えると、植物園も擁する大きな公園がある。
公園の門はすでに開いていて、門近くの乗合馬車の停車場に、黒のカットソーにダークグレーのロングパンツの眼鏡の男が座って待っていた。それだけ見ると本屋にでも行きそうな格好だが、傍に置いてある捕り網の場違い感がすごい。
「遅いぞ」
横柄に言うが、席を詰めてフリージアの分も席をあけてくれる。
「今日はどこに行くの?」
「シュプレー公園だ」
フリージアがテオの手伝いを始めて、間もなく2週間が経つ。
平日は午前中、王宮の蓮池でクロテガエルを採取。日曜には王都のカエルの居そうな場所を探索して採取する。
先週の日曜は、先ほど通り過ぎた、この停車場のある公園を探索し、12匹捕獲できた。
普段王宮で捕獲できるカエルが1日5匹前後であることを考えると、やはり王宮よりも自然豊かな場所に出向いて行った方が効率がいい。
ちなみに、今まで捕獲したカエルの雌雄の判別はフリージアが行っており、全部合わせた47匹のうち、メスは7匹だった。
テオは、フリージアの判別を信じているようで、
「大丈夫だ。同僚が実際に何匹か解ぼ・・いや、なんでもない。同僚が君の言うことが正しいと確かめてくれたから、君の目を信頼している。」
と言ってくれたので、フリージアも安心して見たままを伝えることができた。
ちなみに、テオに請われてオスメスを見比べるポイントをレクチャーしたことがあったが、「全くわからない…」と頭を抱えていた。
乗合馬車に揺られながら、フリージアは隣に座ったテオに話しかけた。
「ねえ、今日は捕まえたカエルは持って帰るの?こないだ逃してたけど…」
クロテガエルの捕獲が目的かと思っていたが、先週公園でカエルを12匹捕った際には、その雌雄を確認して、その後、一斉にまた放っていた。
「あぁ、今日のは逃す。王宮のカエルはサンプルとして飼っているだけだ。王宮では毎日捕るから、データの重複を避けるためにな。」
難しい話はよくわからないが、今日のは逃すと聞いてほっとした。
「よかった。これから時期になったら、何十匹もカエルを持ち帰るのかと思って…」
「持ち帰る必要はない。俺はオスかメスかわかればいい。」
なぜ触れないほどカエルが苦手なのに、そんなにオスメスはっきりさせたいのだろう。
あぁ、そうか。お父様が言っていたわ。
相手が気に食わないとか、退職に追い込むためとか、そんな理由で、上司から毒にも薬にもならない仕事を課される嫌がらせがある、と。
「あなたも大変なのね…」
「今、何か失礼なこと考えただろ。やめろ、そんな目で俺を見るな」
まったく、とため息を吐いてテオは話し出した。
「天文官の仕事の一つに、気象予報があるんだが、来年の雨季を予測する手数を増やしたいんだ。」
「雨季の予測?」
「あぁ。リューグレンの話なんだが、雨季の1ヶ月前になるとクロテガエルの仲間のオオクロテガエルがメスばかりになる、という論文が最近出されて、クロテガエルにも当てはまるのか確かめたいんだ」
「メスになるわよ。」
「は?」
「クロテガエルはメスになるわ」
城門の手前で馬車を停め、城へ向かって進む。
と見せかけて、馬車が進行方向を変えたのを確認して、路肩で隠れて、頭からローブを羽織る。
地味なローブに身を隠して、フリージアもまた、馬車と同じく城門に背を向けて歩き出した。
城門の手前の橋を渡り終えると、植物園も擁する大きな公園がある。
公園の門はすでに開いていて、門近くの乗合馬車の停車場に、黒のカットソーにダークグレーのロングパンツの眼鏡の男が座って待っていた。それだけ見ると本屋にでも行きそうな格好だが、傍に置いてある捕り網の場違い感がすごい。
「遅いぞ」
横柄に言うが、席を詰めてフリージアの分も席をあけてくれる。
「今日はどこに行くの?」
「シュプレー公園だ」
フリージアがテオの手伝いを始めて、間もなく2週間が経つ。
平日は午前中、王宮の蓮池でクロテガエルを採取。日曜には王都のカエルの居そうな場所を探索して採取する。
先週の日曜は、先ほど通り過ぎた、この停車場のある公園を探索し、12匹捕獲できた。
普段王宮で捕獲できるカエルが1日5匹前後であることを考えると、やはり王宮よりも自然豊かな場所に出向いて行った方が効率がいい。
ちなみに、今まで捕獲したカエルの雌雄の判別はフリージアが行っており、全部合わせた47匹のうち、メスは7匹だった。
テオは、フリージアの判別を信じているようで、
「大丈夫だ。同僚が実際に何匹か解ぼ・・いや、なんでもない。同僚が君の言うことが正しいと確かめてくれたから、君の目を信頼している。」
と言ってくれたので、フリージアも安心して見たままを伝えることができた。
ちなみに、テオに請われてオスメスを見比べるポイントをレクチャーしたことがあったが、「全くわからない…」と頭を抱えていた。
乗合馬車に揺られながら、フリージアは隣に座ったテオに話しかけた。
「ねえ、今日は捕まえたカエルは持って帰るの?こないだ逃してたけど…」
クロテガエルの捕獲が目的かと思っていたが、先週公園でカエルを12匹捕った際には、その雌雄を確認して、その後、一斉にまた放っていた。
「あぁ、今日のは逃す。王宮のカエルはサンプルとして飼っているだけだ。王宮では毎日捕るから、データの重複を避けるためにな。」
難しい話はよくわからないが、今日のは逃すと聞いてほっとした。
「よかった。これから時期になったら、何十匹もカエルを持ち帰るのかと思って…」
「持ち帰る必要はない。俺はオスかメスかわかればいい。」
なぜ触れないほどカエルが苦手なのに、そんなにオスメスはっきりさせたいのだろう。
あぁ、そうか。お父様が言っていたわ。
相手が気に食わないとか、退職に追い込むためとか、そんな理由で、上司から毒にも薬にもならない仕事を課される嫌がらせがある、と。
「あなたも大変なのね…」
「今、何か失礼なこと考えただろ。やめろ、そんな目で俺を見るな」
まったく、とため息を吐いてテオは話し出した。
「天文官の仕事の一つに、気象予報があるんだが、来年の雨季を予測する手数を増やしたいんだ。」
「雨季の予測?」
「あぁ。リューグレンの話なんだが、雨季の1ヶ月前になるとクロテガエルの仲間のオオクロテガエルがメスばかりになる、という論文が最近出されて、クロテガエルにも当てはまるのか確かめたいんだ」
「メスになるわよ。」
「は?」
「クロテガエルはメスになるわ」
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