【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria

文字の大きさ
40 / 106
サイドストーリー:フリージア

公園到着

しおりを挟む
「メスになる、のくだりを詳しく頼む。」

停車場に着き、そこから徒歩でシュプレー公園に向かいながら、フリージアは語り出した。

「子どもの頃の話よ?領地の屋敷の敷地内に、小さな池が…カエル池って呼んでるんだけど、5月位に毎年クロテガエルが大量発生して…」

当時、フリージアは兄弟とともにあひるのガァちゃん(♂)とアフラーちゃん(♀)を飼っていた。大量発生するカエルの駆除も兼ねて、捕ったカエルを餌として2羽に与えていた。

「それで、そのガァちゃんが、結構選り好みするコで、いつも同じ色のを食べてたのよ。その後に、同じ色のカエルが産卵してるのを見て、この色のがメスなんだって思って…」

カエルを餌にしてたなんて、残酷だと引かれそうであまり言いたくなかったのだが、仕方ない。

「夏に近づくにつれて、クロテガエルの色も日に日にメスの色のコの方が増えていって、産卵間近になるとほとんどメスばっかりになっていったから、オスがメスになったのかなって、子供の時にはそう思って…」

そこまで話してフリージアは恥ずかしくなった。

「緑の葉っぱが秋に赤くなるみたいに、単純に考えてたの。今考えるとちょっとおかしいわよね」

「いや、フリージア…」
 
テオの声は掠れていた。

「それこそ、俺の仮説だ。何かがトリガーになって、雨季の前に多くがメスに性転換して、繁殖に備えているんじゃないか、それを確認したかったんだ。」

性転換とは突拍子もない話のようでいてしかし、フリージアが見てきたことを思うと、辻褄が合う。

「こないだの会議で、すでに雨季の予報は出したんだが、もっと正確に予報を出せるならそれに越したことはないからな」

フリージア、と呼びかけられた。

「オオクロテガエルのメスは腹の斑点でオスと区別しやすいが、クロテガエルの判別に関しては君頼みだ。すまないが、これからもよろしく頼む」

改めて言われると、何だかくすぐったい気持ちになって頬が緩んだ。

「ま、まぁ、いいわよ、どうせヒマだし。」

シュプレー公園に着くと、まだ朝早いせいか人影はまばらで、池のそばには誰もいない。

葦が池の半分を囲むように群生している。

「ちょうどいいわ。」

フリージアは葦に身を隠すようにして、徐ろにドレスのスカートを捲り出した。

「な、何を!」

テオが慌てて背を向ける。

「あ、ごめんなさい。ドレスの下部分だけラップ式になってて、それを取ろうと思って。中にもう1枚スカートを履いてるから、見ても大丈夫よ?」

王宮の蓮池の周りは路面が整備されているためさほど目立たないが、先週の日曜の公園でのカエル捕獲の際は、気をつけていてもやはり随分汚れてしまった。

本当は、靴が見える程度に裾が短くなっている、平民と同じワンピースを着て行きたいが、王太子殿下に会いに行っている体を装っている今は難しい。

かと言って、いつもドレスを汚して帰ってきていては気づかれそうな気がする。

そこで、上下セパレートのドレスで下部分を巻きスカートに改造した。

フリージアはそう説明したが、テオは「そういうことじゃない。」と身支度が整うまで、振り向くことはなかった。

その後、身軽になったフリージアは19匹の捕獲に成功した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

「一晩一緒に過ごしただけで彼女面とかやめてくれないか」とあなたが言うから

キムラましゅろう
恋愛
長い間片想いをしていた相手、同期のディランが同じ部署の女性に「一晩共にすごしただけで彼女面とかやめてくれないか」と言っているのを聞いてしまったステラ。 「はいぃ勘違いしてごめんなさいぃ!」と思わず心の中で謝るステラ。 何故なら彼女も一週間前にディランと熱い夜をすごした後だったから……。 一話完結の読み切りです。 ご都合主義というか中身はありません。 軽い気持ちでサクッとお読み下さいませ。 誤字脱字、ごめんなさい!←最初に謝っておく。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

【完結】 「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります

廻り
恋愛
羊獣人の伯爵令嬢リーゼル18歳には、双子の兄がいた。 二人が成人を迎えた誕生日の翌日、その兄が突如、行方不明に。 リーゼルはやむを得ず兄のふりをして、皇宮の官吏となる。 叙任式をきっかけに、リーゼルは皇帝陛下の目にとまり、彼の侍従となるが。 皇帝ディートリヒは、リーゼルに対する重大な悩みを抱えているようで。

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

ぐうたら令嬢は公爵令息に溺愛されています

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のレイリスは、今年で16歳。毎日ぐうたらした生活をしている。貴族としてはあり得ないような服を好んで着、昼間からゴロゴロと過ごす。 ただ、レイリスは非常に優秀で、12歳で王都の悪党どもを束ね揚げ、13歳で領地を立て直した腕前。 そんなレイリスに、両親や兄姉もあまり強く言う事が出来ず、専属メイドのマリアンだけが口うるさく言っていた。 このままやりたい事だけをやり、ゴロゴロしながら一生暮らそう。そう思っていたレイリスだったが、お菓子につられて参加したサフィーロン公爵家の夜会で、彼女の運命を大きく変える出来事が起こってしまって… ※ご都合主義のラブコメディです。 よろしくお願いいたします。 カクヨムでも同時投稿しています。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

処理中です...