【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria

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懐妊編

見送り

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学会認定に関する詳細な説明のため、使者一行と文官達をその場に残し、高齢のヴァシリス上皇とその側近は先に退出することとなった。

見送りに、エントランスまで王太子夫妻が同行する。

道すがら、上皇は和やかな雰囲気のまま話し出した。

「此度の学会で、学会賞の対象や個人認定など、会則も含めて見直さねばならぬところが複数出てな。今、ジル学会長は目を回すほどの忙しさだ。」

「それは大変でしょう…ジル学会長にもよろしくお伝えください。」

「うむ。セイラム殿に提案された件についても検討したいところだが…すぐには変えられんだろう。」

「俺は気にしませんが」

「ジル学会長が気にするのだ。」

「なぜでしょう?」

「お主のお陰で目が覚めたと言っておったぞ。学会の存続にばかり気を取られて、学会の未来への視点が抜けていた、とな。学会の在り方を根本から見直したいと意欲を燃やしておる」

「買い被りすぎです。俺は、妃と話していたことをあの場で率直に伝えただけです」

「それなら、尚のこと喜ばしいな。グロース王国は、良き王太子だけでなく、良き王太子妃も得たということだ」

そこで一旦会話は途切れ、一行はヴァシリス上皇の歩調に合わせて、ゆっくり新宮の回廊を進む。

徐にヴァシリス上皇が呟いた。

「…前回の監査はいつだったか」

「前回は15年前になりますわ」

「15年も前になるのか…あの頃は、まだ、この宮は建設中だった。」

記憶を手繰り寄せるように、上皇は回廊から続く中庭に視線を移した。

「私は学会長で、あの時の御国の代表者は、王妃になったばかりのセリーヌ殿であったな」

前を向いていたセイラムの視線が上皇に移る。

「前回の監査の評価は、どの項目も軒並み低評価で散々だったと聞いています。」

「そうだな、指摘すべきところがそれこそ山のようにあって、セリーヌ殿はひとり矢表で頑張っておられた。足りない、不十分、出来てない、と指摘され続けて、流石に心が折れてしまうのではないかと心配になったほどだ。だが…」

思い出したのか、ヴァシリス上皇がフッと笑う。

「監査を終えて帰る私に、セリーヌ殿はこう仰った。『ここがどれほどの荒れ地か、証明して下さってありがとうございました。おかげで、私が手を入れて耕さねばならぬ理由を文官達に示せましたわ』と。艶やかに笑いながらな。あの指摘に耐え、我々の監査を逆に利用してみせるとは、と感心したものだ。」

「まぁ、さすが王妃様」

「『次に監査にいらっしゃる時には、必ずや驚かせてみせますから、楽しみにしていらして』とも言われてな。セリーヌ殿にはとても期待していたのだ。王妃としての仕事が落ち着いたら、この学会に力を貸して頂こうと思うほどに。本当に、惜しい方を亡くした」

「…はい」

「だが、セリーヌ殿の予告通り、今回の監査では本当に驚かされることばかりで、とても嬉しくてな。監査の内容もさることながら、シンポジウムで退席する際のセイラム殿など、セリーヌ殿の再来かと思ったぞ。」

エントランスに到着すると、馬車が待っていた。

「セイラム殿、改めて認定おめでとう。御母堂も喜んでおられよう。学会共々、今後もよろしく頼む」

「精一杯務めます」

「うむ。それでは失礼する。リリアナ殿、身体を大事にな。状況が許すなら、是非セイラム殿と共に学会に参加してほしい」

「はい、ありがとうございます」

ヴァシリス上皇は最後に2人に祝福をおくると、王宮を後にした。

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