スローなライフにしてくれ

soue kitakaze

文字の大きさ
13 / 49

第13話 ちんちろりん

しおりを挟む
 ちんちろりん。

 という音がした。夜中の3時のことである。

「ほぇぇほよ? なんらいまのおろは。まあいいか、寝るぐぅ」

 ちんちろりん。

 という音がした。夜中の3時8分のことである。

「うっさいなぁもう。誰だよもう、ぐぅ」

 ちんちろりん。

「やかましいわっ!!」

 と思わずツッコんだら目が覚めた。なんだいまの音は。

 ベッドから起き上がり周りを見渡すが、誰もいない。泥棒がサイコロでもやってんのか。そんなアホな泥棒いるものか。ネコウサたちもベッドの横で浮かんでスピスピと寝ている。平和だ。だが。

 ちんちろりん。

「ま、また、また鳴ったぞ!? おい、ネコウサ起きろ!」
「モ~ん」
「モ~んじゃねぇよ。起きろ。この部屋に誰かいるぞ」
「んなこたぁない。結界があるから誰も入れないモ~ん、スヤスヤホエ」
「タモリかよ。あとホエってなんだ。起きろっての! ちょっと様子を見て……来られるわけないか。この結界、どうやって解除するんだろう」

 俺はネコウサたちの入っている結界を持って地面にたたき付ける。ばごんっ!

「ふげやっ!?」
「モんモんモんモん!?」
「起きたか?」

「も、もうちょっと優しい起こし方があると思うモん!」
「全身の毛が抜けるかと思ったでござる」
「そんな簡単に毛を抜くな。音がしたんだ音が。誰かいるぞ」
「どう見ても、誰もいないモん」
「1ルームのこの部屋のどこに……もしや風呂場でござるかな?」

「よし、お前らを風呂場に放り投げるから誰かいないか見てこい」
「その結界ごと我らを放り投げるという概念こそ、放り投げて欲しいモん」
「眷属は大事に!」

 ネコウサはともかく、ワンコロはいつの間に眷属になったんだ? まあいい、ともかく不気味なのは嫌だからこいつらに調査させよう。ああ、結界が面倒くさい。

「お主がやったんでござろうが」
「そうだモん。早くここから出すわぁぁぁぁおぉぉぉ」

 風呂場の部屋の扉をほんの一瞬だけ開けて中にネコウサたちを放り込む。どんがらがっしゃん的な音がしてその後静かになった。

「おーい」

 ドア越しに話しかける。

「きゅぅ」

 おかしな返事が返ってきた。

「誰かいたかー?」
「きゅぅ」

 返事になってねぇよ。だが誰かいるということはなさそうだな。入ってみようおそるおそる、こん、ばん、わー。

 ってギャグを言っても返事はない。誰もいないようだが。あいつらはどこに行った?

「きゅうきゅう」

 あ、いた。どこに当たってどう弾んだものか、排水口にはまっとる笑。

「きゅうきゅうきゅうぅぅぅ」
「分かった分かった。出してやるからちょっと待て」
「まったくモん! ボクらをいったいなんだと……あれ?」
「どうした?」
「ワンコロ? どうしたモん。なんか元気がないモん」

「ネコウサ……どの。お別れでござ……」
「お、おい。謎の言葉を残して死ぬな。ネコウサ、お前ワンコロになにをした?」
「なにもしてないモん。一緒に転がってただけだモん」
「どさくさに紛れて噛みついたとかしてないか?」

「してないモん。仲良くしてたモん」
「狭い、ながらも、楽しい日々でござ、ったくてっ」
「ああ、意識を失ったモん! 早くなんとかしないと」
「狭くて楽しかったんかい。ってそれどころじゃないか。打ち所が悪かったのかもしれん。まずは外に出そう……ってそれが分からんからこの状態だった、あぁもうどうすりゃいいんだ」

「さっきの貴神さんに聞いてみたらどうモん?」
「あいつは必要なときには出て来ないんだよなぁ。おーい、乙~乙~乙~」

「人をへうげもの扱いすな!」
「その人も美濃の出だが。そんなことはどうでもいい。ワンコロの様子がおかしいんだ」
「どうかしたか? ……ああ、そうか。早く結界から出してやらないからだ。窒息しそうだ」

「窒息? 結界の中は空気が入らないのか……それにしてはネコウサはなんともないようだが」
「空気じゃなくて、魔素だ。魔物は99%が魔素でできている。その結界は空気や湿度は通すが魔素は通さない。それでワンコロ……ってお主そんな名前を付けたのか!?」

「そうだけどなにか?」
「この世界で最強と言われるタイガーウルフの子をワンコロ扱い……気の毒に」
「んなこたぁ良いから、結界を解除する呪文を教えろ」
「良くないと思うのだが……この解除なら結界を作ったときの逆をやればいいだけだぞ」

 結界の逆? あのときはなんて言ったっけか。あ、そうだ。ケツだ。ってことは。

「ツケ!」
「…………」

「逆にしてもなんともならないじゃねぇか!」
「怒れる立場か! 文字だけをひっくり返してどうするよ。お主は察するとか推し量るとかそういう能力が0だな」
「そんなこたぁいいから、結界を解除する呪文を教えろその2!」
「分かった分かった。解除のカイで良いと思うぞ」
「最初からそう言え。カイ!」
「教えてやったのに怒られる我(´・ω・`)」

「あ、結界が解けたモん。おい、ワンコロ! しっかりしろ!」
「しばらく休ませてやるが良い。そのうち目を覚ますであろう」
「まったく魔素がないぐらいのことで、ひ弱なやつだな」
「いや、どの魔物でもそれは同じだ。ワンコロがひ弱なわけではない」

「そうなのか。ネコウサでさえピンピンしているのに情けないやつだなって」
「ボクでさえってなんだモん、さえって!」
「小物界の大物だろ」
「いや、ネコウサは神獣だ。酸素も魔素に変換して生きられる希有な魔物だ。アメノミナカヌシノミコト様が眷属にしたほどの」
「もふもふが気に入っただけだと思うぞもふもふ」

「こ、こら、こら。くすぐったいっての! アメノミナカヌシノミコト様と違ってもふもふの仕方がヘタクソぐへぇぇぇ」
「生意気言うと絞め殺すぞ、われ。むぎゅーー」
「仲が良いのお主らは」
「「良くないわっ!!」」

 ちんちろりん。

 このとき、また例の音が鳴ったのであった。

「サブタイトルの回収せずに次に行くモん?!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...