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第14話 魔石
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「なんなんだ、この音は?」
「ボクには聞こえないモん」
「そうなのか」
「我にも聞こえないぞ」
「オツも聞こえてないのか?!」
「ふがー」
「ワンコロは寝てろ」
俺だけなのか、この音が聞こえるのは。気のせいとは思えんほどしっかりした音なのだが。なんだかキモチワルイな。
と思いながらも寝足りなかった俺はすぐにベッドに潜り込み爆睡の続きであるスピスピー。
カリカリカリカリ。
という音で目が覚めた。
「サイコロの次は猫の餌かよ!」
とツッコんで目が覚めた。
「便利な体質モん」
「やかましい。それよりまた不思議な音がしたぞ?」
「それはワンコロの出してる音だモん」
ワンコロが出してる音? なにやってんだよ、朝っぱらから。
「ごごご主人殿。お願いでござる、ここから出して欲しいでござるカリカリ」
ワンコロが扉のあたりを爪でひっかいていた。しかしキズひとつついてはいないようだ。丈夫な扉だこと。
「いったいどうしたんだ? うんちでもするのか?」
「魔物はうんこなんかしないモん」
「拙者……拙者、どうしても行かないといけないでござる」
「「どこへ?」」
「あのご神木のところでござる!」
「ご神木? なんてあったか?」
「おそらく最初に登った木のことだモん」
ああ、あれか。あれがどうした?
「お主がしたことを思い出すモん」
ネコウサが怒っているようだが、意味が分からん。俺があそこでしたこと……ああっそうか!
「やっと分かったモん!」
「ご神木の裏でうんこなんかしてすまんかった」
「「そっちじゃない!!」」
ふたり……いや2匹に怒られた。なんだよ、まったく。まあいい、ともかく外に出してやれば良いのだろう。まったく、もうブツブツ。
まずスマホみたいなカギを抜くとドアが開いた。カギを持ったままネコウサとワンコロを両肩に乗せて家の結界に一度ぶつかりふぎゃ。
「学習しない男だ」
「わ、悪かったな! えっとカギをこの辺に」
よし、外に出たぞと思った瞬間、ワンコロは猛ダッシュで走り出した。振り向くとやはり日本家屋である。なんでこんなカモフラージュが必要なのだろう。
ネコウサがあとに続いたので、仕方なく俺も走る。あの木まで約2キロメートルだ。遠いなおい。
この草原にたった1本生えた大木。あれがご神木だとは知らなかったが、遠くからでもここだと分かる存在感は確かにご神木と呼ばれるに相応しい。
「お主、どうしてそんなに早く走れるモん?」
「それを俺に言われても困るが。ネコウサが遅いんじゃないのか」
「そんなはずはないモん。二足歩行に負けたことなんかないモん」
「しかし、それ以上にあいつは早いな」
「タイガーウルフはこの世界で最速の魔物だ。だから誰も叶わないのだよ」
「オツも起きていたのか。それじゃなんでワンコロはあんなに焦っているのか教えてくれ」
「我もうっかりしていたのだが、原因はお主の結界だよ」
「俺の結界?」
「ああ、あれは魔素を通さないと言ったであろう?」
「そういえば昨日聞いたようが気がする。それでワンコロの具合が悪く……あっ?! そういうことか」
「やっと分かったようだな」
「そういうことだったモん?! ボクも気づかなかった。ワンコロごめん! あのとき気づいていれば」
「魔素を吸収するのには走る必要があったのか。しゃべり続けてないと死んじゃうサンマかよ」
「「そっちじゃないだろモん!!」」
今度は1匹と1貴神に怒られた。もうやだこんな生活。
「こっちが嫌になるわ」
「どんだけ察しが悪いモん」
「他になにがあるんだ?」
「読者でさえもう気づいてるぞ」
読者に怒られるのは勘弁して欲しい。そう言っているうちに昨日の場所に着いた。俺の結界はまだ健在である、さすが俺。2キロも走って意外と疲れてないし息も上がってないのもさすが俺である。
「くぅん」
「慰める言葉が見つからないモん……」
「いや、さすが俺……って褒めてもらえる空気じゃなさそうだ」
「慰めは、いらない、でござる。焼き肉定食は世の習い」
「弱肉強食な。ネタが古いなおい!」
「昨日までいつもいつも一緒に遊んでいた友、将来を誓い合った恋人、それに両親、なんか知らないおじさんまで……。みんな、みんないってしまったでござる。拙者、天涯孤独になってしまったで、ござる。くぅん」
なんか知らないおじさんとか言ってるが誰だよ。
昨日、木から落ちるときに咄嗟に出した結界で、俺は命を救われた。だが、俺を襲おうとした魔物たちは中に閉じ込められた。そいつらが一晩過ぎたらひとかけらの黒っぽい石になっていた。
「みんな石に化けたのか?」
「死んで魔石が残ったんだ! 魔物の99%は魔素だが、核となるのが1%の魔石。それがあれだ」
「ああ、みんな死んだのか……え? 俺の結界のせいで?!」
「最初からそう言ってるモん!」
「ご主人殿を、責めるのは間違っているでござる」
「いや、責めてるのは察しの悪さについてだが」
「その、あの。ほんとすまんかった。こうなると分かっていれば」
「ご主人殿に、責任はないで、ござるよぐすっ」
「ところで、あの魔石は高く売れたりしないか? 痛いっ!」
「いくらお主でもそれは言ってはならないモんがぶっ!!」
「痛たたたたた、は、離せこら。お前は俺の眷属だうろが。ご主人様の左腕に噛みついてどうする!」
「お主が痛い以上にボクも痛いモん。それが眷属の宿命モん。だけど。だけどだけど、ワンコロの心の痛みを思えばこのぐらいなんということないモんがぶぶぶぶっ」
「痛い痛い痛い。ますます力を入れやがった痛いっての! 自分も痛いってほんとかよ。おいオツ、こいつをなんとかしてくれ」
「ひとつ1万ドルぐらいで売れると思うぞ」
「なんと! そんな高い……かどうかは知らんが痛いじゃあ拾ってどこかで痛い売ろう痛い痛いか、ってどこで痛い買ってくれる痛いっての、このやろう!!」
堪忍袋の緒が切れた。俺は右腕で思いきりネコウサをどついた。ようやく手から離れた。
「ご主人にお願いがあるでござる」
「ふーふー。あー痛かった。なんだワンコロ?」
「その石が高額で売れるのは充分承知しているでござるが、あれは拙者に譲って欲しい」
「お前も金が必要なのか?」
「そんなわけないだろが。ワンコロにとって、あれを食べるのは祖先の記憶や能力を引き継ぐ儀式だ」
「記憶や能力を引き継ぐ? あんな硬そうなものを食べるのか?」
「そうだ、ボリボリとな。それが彼らの供養の仕方だよ」
「そうか。供養と言われてはごり押しもできないな」
「分かってもらえたでござるか!?」
「分かった。お前に半分や……分かった分かった。そんなお願いします的な目をこっちに向けるな。表情筋なんかないくせに雄弁だな、お前の目は」
「分かってもらえたでござるかその2」
「ひとつぐらい俺にくれても……分かった分かった。俺にキバを剥くなネコウサ。もう懲りたっての」
「ぐるぐるぐるぐるぐる」
俺は結界を解除して、すでに魔石となったワンコロの仲間たちに近づく。ワンコロは動かない。
「どうした、ワンコロ。全部お前が食べて良いんだぞ?」
「ご主人様から手渡しが必要でござる」
「どこの幼稚園児だよ」
「そうじゃない。ご主人様の許可なしに勝手なことができないのが眷属というものだ。ひとつでいいから手渡しをしてやるが良い。それが許可したという証しになる」
「そういうものなのか。さっき許可なしに勝手に噛みついたやつがいたけどな。まあ良い。ほれ、ワンコロ。これはお前のものだ」
そう言って放り投げてやると、ワンコロは口で受け止めボリボリと食べた。手で触った感じではずいぶんと硬そうだったが、丈夫な歯をしてるんだな。
その後、全部で5つの魔石を平らげると6つ目を咥えて俺のところに持って来た。
「全部、食べて良いんだぞ?」
「それは別種の魔石のようだな」
「別種?」
「なんか知らないおじさんの石でござる」
「ああ、そんなこと言ってたな。巻き添えを食った魔物か。いらないならもらうが、これが意外と貴重なものだったりしてな。オツ、これはいくらになる?」
「2ドルだな」
「安いなおい!」
「仕方がない、それはスライムの魔石だ。たいして魔力もないからクズ魔石と呼ばれておる」
「なんでスライムが知らないおじさんなんだよ! 俺のワクワクを返せ」
「スライムは長生きでござるから」
「知らねぇよ」
「スライムはともかく、お主は一度に5匹も稀少なタイガーウルフを退治したことになる。ものすごい経験値がもらえただろう?」
「経験値? さぁ?」
「なんか不思議な音がしなかったか?」
「さぁ……ん? あのサイコロの音か?」
「サイコロってほとんど音なんかしないモん」
「いや、サイコロ賭博の話だ。チンチロリンって」
「おお、おそらくそれだ。6回鳴ったはずだがな」
「数えてないが、昨日はそれで夜中に起こされたんだ」
「そのとき、この子らは亡くなったのであろうな」
「そうだったのか。でもおかしいぞ。音が鳴ったのはワンコロの具合が悪くなるより前だった、ワンコロの結界はもっとずっと小さかったのに」
「この結界に6匹も魔物がいたから魔素の消耗が早かったのだろう。それに暴れたせいもあるかも知れない」
「そういうことか。どのみち助けることはできなかったな」
「ところでワンコロ」
「なんでござる?」
「お前が望むなら、俺の眷属を止めて自由にしてやるが。できるだろ? オツ」
「簡単だ。双方の合意があればすぐに解消できる」
「ということだが、どうする?」
「せ、拙者。ひとりにはなりたくないでござる」
「ボクも、ボクも一緒にいて欲しいモん!」
「ワンコロはまだ小さい。ひとりでこの世界を生き抜くのは難しかろう。解消するにしてももう少し大きくなってからにしてはどうだ」
「知らないうちに眷属になっていたから、ワンコロとしても不本意かと思って聞いてみたんだ。そうか、それなら良い。じゃ、しばらくは俺の眷属として」
「よろしくお願いするでござる」
「5個の魔石分、5万ドル貸しだからな」
「「「ふあっ!!!」」」
「あと、2ドルは引いておいてやる」
「計算、細かいなおい!」
ということで俺の異世界生活が始まった。
「ボクには聞こえないモん」
「そうなのか」
「我にも聞こえないぞ」
「オツも聞こえてないのか?!」
「ふがー」
「ワンコロは寝てろ」
俺だけなのか、この音が聞こえるのは。気のせいとは思えんほどしっかりした音なのだが。なんだかキモチワルイな。
と思いながらも寝足りなかった俺はすぐにベッドに潜り込み爆睡の続きであるスピスピー。
カリカリカリカリ。
という音で目が覚めた。
「サイコロの次は猫の餌かよ!」
とツッコんで目が覚めた。
「便利な体質モん」
「やかましい。それよりまた不思議な音がしたぞ?」
「それはワンコロの出してる音だモん」
ワンコロが出してる音? なにやってんだよ、朝っぱらから。
「ごごご主人殿。お願いでござる、ここから出して欲しいでござるカリカリ」
ワンコロが扉のあたりを爪でひっかいていた。しかしキズひとつついてはいないようだ。丈夫な扉だこと。
「いったいどうしたんだ? うんちでもするのか?」
「魔物はうんこなんかしないモん」
「拙者……拙者、どうしても行かないといけないでござる」
「「どこへ?」」
「あのご神木のところでござる!」
「ご神木? なんてあったか?」
「おそらく最初に登った木のことだモん」
ああ、あれか。あれがどうした?
「お主がしたことを思い出すモん」
ネコウサが怒っているようだが、意味が分からん。俺があそこでしたこと……ああっそうか!
「やっと分かったモん!」
「ご神木の裏でうんこなんかしてすまんかった」
「「そっちじゃない!!」」
ふたり……いや2匹に怒られた。なんだよ、まったく。まあいい、ともかく外に出してやれば良いのだろう。まったく、もうブツブツ。
まずスマホみたいなカギを抜くとドアが開いた。カギを持ったままネコウサとワンコロを両肩に乗せて家の結界に一度ぶつかりふぎゃ。
「学習しない男だ」
「わ、悪かったな! えっとカギをこの辺に」
よし、外に出たぞと思った瞬間、ワンコロは猛ダッシュで走り出した。振り向くとやはり日本家屋である。なんでこんなカモフラージュが必要なのだろう。
ネコウサがあとに続いたので、仕方なく俺も走る。あの木まで約2キロメートルだ。遠いなおい。
この草原にたった1本生えた大木。あれがご神木だとは知らなかったが、遠くからでもここだと分かる存在感は確かにご神木と呼ばれるに相応しい。
「お主、どうしてそんなに早く走れるモん?」
「それを俺に言われても困るが。ネコウサが遅いんじゃないのか」
「そんなはずはないモん。二足歩行に負けたことなんかないモん」
「しかし、それ以上にあいつは早いな」
「タイガーウルフはこの世界で最速の魔物だ。だから誰も叶わないのだよ」
「オツも起きていたのか。それじゃなんでワンコロはあんなに焦っているのか教えてくれ」
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「俺の結界?」
「ああ、あれは魔素を通さないと言ったであろう?」
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「「そっちじゃないだろモん!!」」
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「他になにがあるんだ?」
「読者でさえもう気づいてるぞ」
読者に怒られるのは勘弁して欲しい。そう言っているうちに昨日の場所に着いた。俺の結界はまだ健在である、さすが俺。2キロも走って意外と疲れてないし息も上がってないのもさすが俺である。
「くぅん」
「慰める言葉が見つからないモん……」
「いや、さすが俺……って褒めてもらえる空気じゃなさそうだ」
「慰めは、いらない、でござる。焼き肉定食は世の習い」
「弱肉強食な。ネタが古いなおい!」
「昨日までいつもいつも一緒に遊んでいた友、将来を誓い合った恋人、それに両親、なんか知らないおじさんまで……。みんな、みんないってしまったでござる。拙者、天涯孤独になってしまったで、ござる。くぅん」
なんか知らないおじさんとか言ってるが誰だよ。
昨日、木から落ちるときに咄嗟に出した結界で、俺は命を救われた。だが、俺を襲おうとした魔物たちは中に閉じ込められた。そいつらが一晩過ぎたらひとかけらの黒っぽい石になっていた。
「みんな石に化けたのか?」
「死んで魔石が残ったんだ! 魔物の99%は魔素だが、核となるのが1%の魔石。それがあれだ」
「ああ、みんな死んだのか……え? 俺の結界のせいで?!」
「最初からそう言ってるモん!」
「ご主人殿を、責めるのは間違っているでござる」
「いや、責めてるのは察しの悪さについてだが」
「その、あの。ほんとすまんかった。こうなると分かっていれば」
「ご主人殿に、責任はないで、ござるよぐすっ」
「ところで、あの魔石は高く売れたりしないか? 痛いっ!」
「いくらお主でもそれは言ってはならないモんがぶっ!!」
「痛たたたたた、は、離せこら。お前は俺の眷属だうろが。ご主人様の左腕に噛みついてどうする!」
「お主が痛い以上にボクも痛いモん。それが眷属の宿命モん。だけど。だけどだけど、ワンコロの心の痛みを思えばこのぐらいなんということないモんがぶぶぶぶっ」
「痛い痛い痛い。ますます力を入れやがった痛いっての! 自分も痛いってほんとかよ。おいオツ、こいつをなんとかしてくれ」
「ひとつ1万ドルぐらいで売れると思うぞ」
「なんと! そんな高い……かどうかは知らんが痛いじゃあ拾ってどこかで痛い売ろう痛い痛いか、ってどこで痛い買ってくれる痛いっての、このやろう!!」
堪忍袋の緒が切れた。俺は右腕で思いきりネコウサをどついた。ようやく手から離れた。
「ご主人にお願いがあるでござる」
「ふーふー。あー痛かった。なんだワンコロ?」
「その石が高額で売れるのは充分承知しているでござるが、あれは拙者に譲って欲しい」
「お前も金が必要なのか?」
「そんなわけないだろが。ワンコロにとって、あれを食べるのは祖先の記憶や能力を引き継ぐ儀式だ」
「記憶や能力を引き継ぐ? あんな硬そうなものを食べるのか?」
「そうだ、ボリボリとな。それが彼らの供養の仕方だよ」
「そうか。供養と言われてはごり押しもできないな」
「分かってもらえたでござるか!?」
「分かった。お前に半分や……分かった分かった。そんなお願いします的な目をこっちに向けるな。表情筋なんかないくせに雄弁だな、お前の目は」
「分かってもらえたでござるかその2」
「ひとつぐらい俺にくれても……分かった分かった。俺にキバを剥くなネコウサ。もう懲りたっての」
「ぐるぐるぐるぐるぐる」
俺は結界を解除して、すでに魔石となったワンコロの仲間たちに近づく。ワンコロは動かない。
「どうした、ワンコロ。全部お前が食べて良いんだぞ?」
「ご主人様から手渡しが必要でござる」
「どこの幼稚園児だよ」
「そうじゃない。ご主人様の許可なしに勝手なことができないのが眷属というものだ。ひとつでいいから手渡しをしてやるが良い。それが許可したという証しになる」
「そういうものなのか。さっき許可なしに勝手に噛みついたやつがいたけどな。まあ良い。ほれ、ワンコロ。これはお前のものだ」
そう言って放り投げてやると、ワンコロは口で受け止めボリボリと食べた。手で触った感じではずいぶんと硬そうだったが、丈夫な歯をしてるんだな。
その後、全部で5つの魔石を平らげると6つ目を咥えて俺のところに持って来た。
「全部、食べて良いんだぞ?」
「それは別種の魔石のようだな」
「別種?」
「なんか知らないおじさんの石でござる」
「ああ、そんなこと言ってたな。巻き添えを食った魔物か。いらないならもらうが、これが意外と貴重なものだったりしてな。オツ、これはいくらになる?」
「2ドルだな」
「安いなおい!」
「仕方がない、それはスライムの魔石だ。たいして魔力もないからクズ魔石と呼ばれておる」
「なんでスライムが知らないおじさんなんだよ! 俺のワクワクを返せ」
「スライムは長生きでござるから」
「知らねぇよ」
「スライムはともかく、お主は一度に5匹も稀少なタイガーウルフを退治したことになる。ものすごい経験値がもらえただろう?」
「経験値? さぁ?」
「なんか不思議な音がしなかったか?」
「さぁ……ん? あのサイコロの音か?」
「サイコロってほとんど音なんかしないモん」
「いや、サイコロ賭博の話だ。チンチロリンって」
「おお、おそらくそれだ。6回鳴ったはずだがな」
「数えてないが、昨日はそれで夜中に起こされたんだ」
「そのとき、この子らは亡くなったのであろうな」
「そうだったのか。でもおかしいぞ。音が鳴ったのはワンコロの具合が悪くなるより前だった、ワンコロの結界はもっとずっと小さかったのに」
「この結界に6匹も魔物がいたから魔素の消耗が早かったのだろう。それに暴れたせいもあるかも知れない」
「そういうことか。どのみち助けることはできなかったな」
「ところでワンコロ」
「なんでござる?」
「お前が望むなら、俺の眷属を止めて自由にしてやるが。できるだろ? オツ」
「簡単だ。双方の合意があればすぐに解消できる」
「ということだが、どうする?」
「せ、拙者。ひとりにはなりたくないでござる」
「ボクも、ボクも一緒にいて欲しいモん!」
「ワンコロはまだ小さい。ひとりでこの世界を生き抜くのは難しかろう。解消するにしてももう少し大きくなってからにしてはどうだ」
「知らないうちに眷属になっていたから、ワンコロとしても不本意かと思って聞いてみたんだ。そうか、それなら良い。じゃ、しばらくは俺の眷属として」
「よろしくお願いするでござる」
「5個の魔石分、5万ドル貸しだからな」
「「「ふあっ!!!」」」
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