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第2章 的ななんかそいう感じの章
第35話 注残が220万個
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「ちょっと不思議に思ったんだけど」
「マユ姉、どうかしたモん?」
「コウイチはずっと働くのが嫌だって言ってたくせに、急にやる気になったように見えたんだけど」
「ああ、それは」
「またボクらだけを働かせるつもりモん」
「コウイチ殿は結界魔法だけ放てば、その後することがなにもないでござる」
「「「ああ、それでか……」」」
わけのわからん仕事させられるより、勝手知ったる仕事のほうがずっと楽だしな。
皆が納得したところで、俺はムックしゃんに連れられて現地に向かった。ドームを出ること歩いて3分。この間の山じゃねぇか。
こんな近くだったのか、この山。振り返ると後ろには森しか見えない。俺はどうやってここまで来たのだろうか。ワープでもしたのだろうか。
「ここよ、ここの岩をガンガン切り出して」
「この間の山だよなここ。それよりどうやってここまで来たんだろう?」
「私と一緒に歩いてきたでしょうが。ボケてんの?」
「やかましい。歩いてきたって、後ろには森しか」
「いい加減に覚えなさいよ。あれはファントムイメージだってば。魔物の襲来に備えて偽装しているのよ」
「そ、そうか。偽装という理由は初めて聞いたが」
エルフ寮の俺の部屋からこの山まで、数キロは離れていたはずだ。それがギルドからは歩いて10分、街のゲートらしきところからなら3分だ。時空が歪んでるな。
「この山全部、私が買い取ったの」
「山ごと買い取ったのか?!」
「そう。もともとこの山は削る計画があったのよ」
「山を削るって、普通なら土木用のジャリとか取るのが目的だと思うのだが」
「ううん。宅地化が目的よ」
「ほぉお。宅地が必要ってことは、人口が増えているってことだな」
「そう、特にエルフが増えているのよ。そのために山を平らに削って住宅を建てて、結界を貼り直してまた木を植えるの」
「結界を貼り直す?」
「そう、つまりここもドームの中になるってことね」
「そうやってドームはどんどん大きくなっていくのか。しかし木をまた植えるぐらいなら、最初から切らなきゃいいだろ」
「近頃のエルフは贅沢を覚えちゃって、丸太小屋なんかじゃダメなのよ。インフラがきちんと整った住居じゃないと住んでくれない」
「エルフ限定の住居なのか?」
「違うけど、こんな贅沢な家を建てられるのはエルフぐらいだからねぇ。ってあんたもでしょうが」
あ、そうか。俺、エルフだったんだ。転生したらエルフだった件かよ。あれ、エルフは金持ちって初めて聞いたぞ。
「ドワーフとか人間とかは増えてないのか?」
「ドワーフはそこそこ。人類は衰退しました」
「こらこら、止めろ!」
「なんで怒るのよ。人口比率では人はもう数%しかいないわよ。エルフが6割。ドワーフが2割あるかないか。妖精さんも1割ぐらいいるわね」
「ちょいちょい危険な単語が出てくるのだが」
「付喪神も1%はいるです?」
「それを止めろっての!」
「今のは私じゃないわよ」
「え?」
「あ、どもです。私が妖精さんヨ」
「うわぁおびっくりしたっ。なんだ、えっと、妖精さんっていったい」
「我がここらでいつも遊んでる妖精ヨ」
「どこの誰だよ」
「通りすがりの妖精さんと呼んでくれヨ。じゃ、そゆことで」
なんか手のひらサイズのふわふわしたのが急に現れて急に去って行った。
「なんだったんだ、今のは?」
「それよりいいのかなぁモん」
「まあ、この作者はなんでもありでござるから」
「いいのか、それで、ほんとに」
オツの懸念はもっともである。
妖精さんとかドワーフとかもいるが、この世界はほぼエルフが仕切っているようだ。森の住人というイメージがあるのだが、どうしてそんなに増えたのだろう。
「すごい昔に、人の子を産んだエルフがいたのよ」
「人と子が作れるのか?」
「種族の壁があって、普通はできないわ。詳しくは歴史の彼方だけど、その子たちだけが例外だったようで」
「その例外が子供をどっちゃり作ったのか」
「そういうことね。おかげでこの土地が大洪水に見舞われたときも、エルフだけは大勢生き残ったのよ」
「たくましい種族だな」
「飢えることに慣れていたからね」
「そんな理由!?」
「その子孫がここにはたくさんいるし、なんだかみんな商売上手で、ワテかないまへんねん」
「ムックしゃんはちょくちょく大阪弁が出るんだな」
「ということで、ガンガン削ってあのブロックを切り出してね」
「ガンガンってどのくらいすれば良いんだ?」
「注残が220万個ほどあるから」
「はぁぁぁ!?」
「1日に2万個ぐらい作って」
「はぁぁ!……ん? 2万? でいいのか? たった?」
「あんたの能力なら100万個でもできそうだけ、そんなに一度に市場に出すと値崩れするでしょ。かといって少なすぎては儲けが少ないし。さんざん悩んだ末に出した数量が1日に2万個なの」
確か1山であのブロックは1,000個できたはずだ。2万個なら20山か。うん、俺の作業は10分とかからんな。それなら楽で良い……あれ?
「ムックしゃんは俺とここで出会うことなんか予想してなかったよな?」
「当たり前よ。あのご神木の北側からドームに入っていったあんたが、こんなところにいるなんて、思うもんですか」
「だよな。ってことは、再会してから今までのほんのわずかの間に「さんざん悩んだ末に出した」のが2万個なのか?」
「さぁ、さっそくやっちゃってちょうだい。もたもたしていると休憩時間がなくなるわよ」
誤魔化しやがった……まあ、いいや。俺には関係ないことだ。さっさと2万個作って……あとはこいつらに任せて休憩でもしていよう。
「ほらきたモん」
「そう来ると思ったでござる」
「マユ姉、どうかしたモん?」
「コウイチはずっと働くのが嫌だって言ってたくせに、急にやる気になったように見えたんだけど」
「ああ、それは」
「またボクらだけを働かせるつもりモん」
「コウイチ殿は結界魔法だけ放てば、その後することがなにもないでござる」
「「「ああ、それでか……」」」
わけのわからん仕事させられるより、勝手知ったる仕事のほうがずっと楽だしな。
皆が納得したところで、俺はムックしゃんに連れられて現地に向かった。ドームを出ること歩いて3分。この間の山じゃねぇか。
こんな近くだったのか、この山。振り返ると後ろには森しか見えない。俺はどうやってここまで来たのだろうか。ワープでもしたのだろうか。
「ここよ、ここの岩をガンガン切り出して」
「この間の山だよなここ。それよりどうやってここまで来たんだろう?」
「私と一緒に歩いてきたでしょうが。ボケてんの?」
「やかましい。歩いてきたって、後ろには森しか」
「いい加減に覚えなさいよ。あれはファントムイメージだってば。魔物の襲来に備えて偽装しているのよ」
「そ、そうか。偽装という理由は初めて聞いたが」
エルフ寮の俺の部屋からこの山まで、数キロは離れていたはずだ。それがギルドからは歩いて10分、街のゲートらしきところからなら3分だ。時空が歪んでるな。
「この山全部、私が買い取ったの」
「山ごと買い取ったのか?!」
「そう。もともとこの山は削る計画があったのよ」
「山を削るって、普通なら土木用のジャリとか取るのが目的だと思うのだが」
「ううん。宅地化が目的よ」
「ほぉお。宅地が必要ってことは、人口が増えているってことだな」
「そう、特にエルフが増えているのよ。そのために山を平らに削って住宅を建てて、結界を貼り直してまた木を植えるの」
「結界を貼り直す?」
「そう、つまりここもドームの中になるってことね」
「そうやってドームはどんどん大きくなっていくのか。しかし木をまた植えるぐらいなら、最初から切らなきゃいいだろ」
「近頃のエルフは贅沢を覚えちゃって、丸太小屋なんかじゃダメなのよ。インフラがきちんと整った住居じゃないと住んでくれない」
「エルフ限定の住居なのか?」
「違うけど、こんな贅沢な家を建てられるのはエルフぐらいだからねぇ。ってあんたもでしょうが」
あ、そうか。俺、エルフだったんだ。転生したらエルフだった件かよ。あれ、エルフは金持ちって初めて聞いたぞ。
「ドワーフとか人間とかは増えてないのか?」
「ドワーフはそこそこ。人類は衰退しました」
「こらこら、止めろ!」
「なんで怒るのよ。人口比率では人はもう数%しかいないわよ。エルフが6割。ドワーフが2割あるかないか。妖精さんも1割ぐらいいるわね」
「ちょいちょい危険な単語が出てくるのだが」
「付喪神も1%はいるです?」
「それを止めろっての!」
「今のは私じゃないわよ」
「え?」
「あ、どもです。私が妖精さんヨ」
「うわぁおびっくりしたっ。なんだ、えっと、妖精さんっていったい」
「我がここらでいつも遊んでる妖精ヨ」
「どこの誰だよ」
「通りすがりの妖精さんと呼んでくれヨ。じゃ、そゆことで」
なんか手のひらサイズのふわふわしたのが急に現れて急に去って行った。
「なんだったんだ、今のは?」
「それよりいいのかなぁモん」
「まあ、この作者はなんでもありでござるから」
「いいのか、それで、ほんとに」
オツの懸念はもっともである。
妖精さんとかドワーフとかもいるが、この世界はほぼエルフが仕切っているようだ。森の住人というイメージがあるのだが、どうしてそんなに増えたのだろう。
「すごい昔に、人の子を産んだエルフがいたのよ」
「人と子が作れるのか?」
「種族の壁があって、普通はできないわ。詳しくは歴史の彼方だけど、その子たちだけが例外だったようで」
「その例外が子供をどっちゃり作ったのか」
「そういうことね。おかげでこの土地が大洪水に見舞われたときも、エルフだけは大勢生き残ったのよ」
「たくましい種族だな」
「飢えることに慣れていたからね」
「そんな理由!?」
「その子孫がここにはたくさんいるし、なんだかみんな商売上手で、ワテかないまへんねん」
「ムックしゃんはちょくちょく大阪弁が出るんだな」
「ということで、ガンガン削ってあのブロックを切り出してね」
「ガンガンってどのくらいすれば良いんだ?」
「注残が220万個ほどあるから」
「はぁぁぁ!?」
「1日に2万個ぐらい作って」
「はぁぁ!……ん? 2万? でいいのか? たった?」
「あんたの能力なら100万個でもできそうだけ、そんなに一度に市場に出すと値崩れするでしょ。かといって少なすぎては儲けが少ないし。さんざん悩んだ末に出した数量が1日に2万個なの」
確か1山であのブロックは1,000個できたはずだ。2万個なら20山か。うん、俺の作業は10分とかからんな。それなら楽で良い……あれ?
「ムックしゃんは俺とここで出会うことなんか予想してなかったよな?」
「当たり前よ。あのご神木の北側からドームに入っていったあんたが、こんなところにいるなんて、思うもんですか」
「だよな。ってことは、再会してから今までのほんのわずかの間に「さんざん悩んだ末に出した」のが2万個なのか?」
「さぁ、さっそくやっちゃってちょうだい。もたもたしていると休憩時間がなくなるわよ」
誤魔化しやがった……まあ、いいや。俺には関係ないことだ。さっさと2万個作って……あとはこいつらに任せて休憩でもしていよう。
「ほらきたモん」
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