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第250話 カメジロウ
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「ねぇ、ユウさん」
「ん? なんだ、スクナ?」
「ベアリングっていうものだけど、あの機械にほんとに必要?」
「必要かどうかっていわれると」
「うん」
「良く分からん」
「だぁぁぁ。それなのに作らせたの?」
「いや、俺の知っているものには当たり前のようにに付いていたらからな。だからなんとなく作らせてしまったのだが。それがどうかしたのか?」
「うーん。あれを作っているところをウエモンが見てて、手で持つ外側部分も回転する中の部分も、このきなんの木で作ったらもっと良く回るんじゃないかって」
「両方をこのきなんの木に? それでどうなると?」
「私には良く分からないんだけど、ウエモンがなんかそうなる気がするって」
「気がする、で言われてもなぁ。あれはジャイロ効果に似て非なるものだ……し……けど……どうなるんだ?」
このきなんの木を使うことは、ハンドグラインダーを作ろうと思ったときに真っ先に脳裏をかすめたのだ。だがそれはベアリングの代用として使えないか、という思考であった。
問題になるのは「摩擦抵抗」である。
中にこのきなんの木を使った場合、回転はさせられるだろうが、それでは摺動面が擦れてこなこながわんさか出ちゃうだけだろうと考えたのだ。
だが、外も中も同じこのきなんの木にしたらどうか。それは考えたことがなかった。
このきなんの木で作ったコマは、外から新たな力を加えない限り、自力で回転を続けようとする特性がある。空気抵抗も、コマ軸と地面との摩擦抵抗なんかなんのそのである。
もし仮に、接触する部分もこのきなんの木であったら、どうなるだろう? いや、コマには軸がある。触れるのは軸だから、これは参考にならない。
回転方向を読み取ってその運動を続けようとする魔木同士が接触した場合、どういう挙動を示すだろう。
「ウエモンね、イテコマシをしてい思ったらしいの。コマとコマがぶつかるとき、回転数が上がっているように見えるって」
「そりゃ、同じ回転方向だから……では説明がつかんな。そういえば、イテコマシやってる連中に左利きっていたっけ?」
「うん。ウエモンがそうだし、あと、モナカさんもそうだよ」
利き手が違うということは、コマの回転方向は逆だということになる。回転が逆のコマが衝突した場合、大きく反発することはあっても、回転数が上がることはあり得ない。
それを、少数派(左利き)のウエモンが気づいたということは、コマの回転方向と無関係に回転数が上がっているということになる。
ウエモンの気のせい、ということも考えられなくもない。実際に、俺は気づかなかった。おそくらわずかな違いなのだろう。
だが衝突したときに、自分だけじゃなく相手にも回転エネルギーを与える――方向に関係なく――特性があるとしたら?
「あり得る話だな。そんなこと思いつきもしなかった。そうか。それだけで良かったのか。ベアリングなんか必要なかったんや」
「いや、それで良いかどうかは、やってみないと」
「そう、そうだよな。くっそ、ウエモンに負けた気がする。今回は間に合わないが、その試作もやってもらおう。俺が図面を……待てよ、なあスクナ」
「なに?」
「ウエモンにその設計をやらせてみよう。ウエモンの思っている通りのものをゼンシンに作らせろと伝えてくれ」
「うん、分かった。ウエモン喜ぶよ」
外と中の両方をこのきなんの木で作るという発想は俺にはなかった。それがうまく行くのなら、俺はわざわざ多忙なゼンシンに苦労を掛けた上に、意味のないものを作らせてしまったことになる。
しかし、そのほうが圧倒的に品質は上がるだろう。小型化になるし軽量化も図れる。しかも構造が単純で部品点数が少なくコストが安い。故障も少ないだろう。無理してベアリングを入れる必要はないのだ。これはやるべきことだ。
(自分の案を捨てても、良いものはどんどん取り入れる。なかなかできないことよ。ユウさんのそういうとこ、エライと思うよ)
なんか褒められたような? しかし、いまはそんな暇はないのであった。俺たちはすでにサツマにいる。
「で、これがハンドグラインダーというものだ」
「はん、どぐされだぁ?」
「お前は耳がおかしいのか、頭がおかしいのか、どっちだよ。ハンドグラインダーだよ!」
「なんだと、この野郎!!」
「だから、止めろと言ってるだろう!!」
なんか最初に戻った。コマツと俺のケンカをシマズ卿が止めるという図式である。もうすっかり予定調和となっている。
「はん……まあいいや。で、それをどうするんだ?」
「お前じゃ話にならん。職人を連れて来い」
「なんだとぉ!!」
「はいはい、その辺で。私です。クボです。話なら私が聞きましょう。たしかカイゼンとかいうものを持ってきていただいた、という話でしたね」
「カイゼンは持ってくるものじゃない。それはするものだ。で、ちょっとこれを使ってみてくれ。ハンドグラインダーっていうガラスを削る機械だ」
「はん、どぐされだぁ?」
「聞き間違うのはどいつもこいつも同じかよ!」
「で、これがどうかした……あれ? 先端にはえらく小さいものが。これ、まさか砥石ですか? 良くもまぁこんな小さな砥石が作れますね。すごいですよ、これは!!」
いや、感心するとこ、そこじゃないから。
「ほんとだ。良く見たらすごいものが先端に付いていたな。なんでそれを先に言わんのだ」
ハンドグラインダーそっちのけで、みんなの視線が砥石に釘付けである。
あれ? もしかして、これもすごいことだったのだろうか。俺の注文に、ウエモンは驚きもせず当たり前のように作ってくれたが?
もしかして、砥石をこの程度に小さくするの、そんなに難しいことだったのか?
「あの、それはともかくとして」
「いやいやいや。これはぜひうちにも欲しい! これ、取り外せないか?」
「それを外すなんてとんでもない!」
「なんでだよ。はめたんだから外すぐらいできるだろ。だけど、どうしてこんなすりこぎみたいなものにくっついてないといけないんだ?」
「わははは。すりこぎとはうまいこと言った! 座布団1枚!」
「え? 私に座布団をどうしろと?」
「あ、いや、なんでもない。先端に小さい砥石の付いたすりこぎが俺のカイゼンだ。これはセットで使うんだよ。これをこうしてこっちの機械――小型ろくろだが――にこんな感じで装着する」
と言いながら俺は持ち込んだ卓上ミシンサイズの超小型ろくろに、すりこぎ……ハンドグラインダーをセットし、足のペダルを踏み踏みする。
するとグラインダーの中身が回転を始めた。中身は先端の砥石と一体になっており、砥石も同じように回転を始める。
10秒も踏み踏みすると充分に回転は上がる。俺はろくろから取り出して、それをクボに渡す。
「これがハンドグラインダーだ。なにはともあれ、それでガラスを削ってみてくれ」
「わぁ、なんだこれ。砥石が回っている? 手に持っているのに? どういう理屈だ???」
「まあ、それはいいから使ってみろってば」
「ほい。ガリガリガリガリ。おおっ、すごい! ガラスに私の名前が彫れた!」
誰が自分の名前を入れろと。入学式前日の小学1年生か。
「おいおい、みんなこれすごいぞ。感動ものだ。お前らもちょっと使ってみろよ」
「どれどれ? ガリガリガリ。おおっ、ほんとだ。ガラスに文字が書ける砥石なんてすごいな」
「ほほぉ。じゃあ、俺も名前を書いてみようかきかきかき」」
「じゃあ、俺は彼女の名前をかきかき」
「じゃあ私は旦那の名前をかきかき」
「好きな女優の名前をかきかき」
なんでお前らは砥石を使ってわざわざ文字を書くんだよ。模様を付けろ、模様を!
卒業文集の寄せ書きかよ! これで入学式から卒業式まで一通りやっちまったじゃねぇか。この支配からの卒業、とか言ってる場合じゃねぇよ。
「「「これ、面白ーい!!」」」
「面白いのは分かったから、それでそのガラスを加工してもらいたいのだが」
「え? これ、そのためのもの?!」
「だからそれがカイゼンだよ。ぶっとい砥石をぐわんぐわん回しても細かい線は入れられないだろ? だが、それなら自由自在な線が描ける。ただの工芸品が、これによって芸術作品に変わるんだ」
「「「おおっ!!!」」」
「それが理解できたら、誰か代表してこれをしばらく使ってみてくれないか? まだ1本しかできてないんだ」
「分かった。それじゃ、どうしようかな。誰か使ってみたいやつはいるか?」
「それ! ぜひ僕に使わせてくれないか!!」
「なんだカメジロウか。お前はこちらに来てからまだ日が浅いが……かえって好都合かな。いいだろう、やってみろ」
「これならアズマで習った絵柄が、こちらで再現できるかも知れない」
「そ、そうか。お前の言うことは良く分からなくてな。できるのならやって見せてくれ」
「分かった。ユウ、とかいったな? この砥石はこれだけか? 砥石は消耗品だ。削れなくなったら交換する必要があるだろ」
「それと同じものはあと23個ある。それに、使えるかどうかは分からんが、このようなものも用意してある。好きなのを使ってくれ。ここにあるものに関しては代金は不要だ」
「おぉ。予備がちゃんとあるのか。やるじゃないか。よし、これならこちらではできなかった工夫ができるぞ」
態度は悪いが、やる気は満々のようだ。だが、こちらではってどういうことだ?
「ああ、カメはアズマから雇った職人なんだ。しかし、アズマで使っていたのと同じ道具がないとか、俺はこんなところで終わる人間じゃないとか、言い訳ばかりでちっとも仕事をしない。俺たちの手に余ってたんだよ」
「どこかで聞いたような話だ」
「こいつならどうせ役には立ってないから、好きなように使ってくれていいぞ。どうやらそのなんとかいう機械が気に入ったようだしな」
そしてカメジロウはひとつのおちょこを手に取ると、ハンドグラインダーを使ってものすごい勢いで加工を始めた。お前の名前を書くのは止めろよ。
「ん? なんだ、スクナ?」
「ベアリングっていうものだけど、あの機械にほんとに必要?」
「必要かどうかっていわれると」
「うん」
「良く分からん」
「だぁぁぁ。それなのに作らせたの?」
「いや、俺の知っているものには当たり前のようにに付いていたらからな。だからなんとなく作らせてしまったのだが。それがどうかしたのか?」
「うーん。あれを作っているところをウエモンが見てて、手で持つ外側部分も回転する中の部分も、このきなんの木で作ったらもっと良く回るんじゃないかって」
「両方をこのきなんの木に? それでどうなると?」
「私には良く分からないんだけど、ウエモンがなんかそうなる気がするって」
「気がする、で言われてもなぁ。あれはジャイロ効果に似て非なるものだ……し……けど……どうなるんだ?」
このきなんの木を使うことは、ハンドグラインダーを作ろうと思ったときに真っ先に脳裏をかすめたのだ。だがそれはベアリングの代用として使えないか、という思考であった。
問題になるのは「摩擦抵抗」である。
中にこのきなんの木を使った場合、回転はさせられるだろうが、それでは摺動面が擦れてこなこながわんさか出ちゃうだけだろうと考えたのだ。
だが、外も中も同じこのきなんの木にしたらどうか。それは考えたことがなかった。
このきなんの木で作ったコマは、外から新たな力を加えない限り、自力で回転を続けようとする特性がある。空気抵抗も、コマ軸と地面との摩擦抵抗なんかなんのそのである。
もし仮に、接触する部分もこのきなんの木であったら、どうなるだろう? いや、コマには軸がある。触れるのは軸だから、これは参考にならない。
回転方向を読み取ってその運動を続けようとする魔木同士が接触した場合、どういう挙動を示すだろう。
「ウエモンね、イテコマシをしてい思ったらしいの。コマとコマがぶつかるとき、回転数が上がっているように見えるって」
「そりゃ、同じ回転方向だから……では説明がつかんな。そういえば、イテコマシやってる連中に左利きっていたっけ?」
「うん。ウエモンがそうだし、あと、モナカさんもそうだよ」
利き手が違うということは、コマの回転方向は逆だということになる。回転が逆のコマが衝突した場合、大きく反発することはあっても、回転数が上がることはあり得ない。
それを、少数派(左利き)のウエモンが気づいたということは、コマの回転方向と無関係に回転数が上がっているということになる。
ウエモンの気のせい、ということも考えられなくもない。実際に、俺は気づかなかった。おそくらわずかな違いなのだろう。
だが衝突したときに、自分だけじゃなく相手にも回転エネルギーを与える――方向に関係なく――特性があるとしたら?
「あり得る話だな。そんなこと思いつきもしなかった。そうか。それだけで良かったのか。ベアリングなんか必要なかったんや」
「いや、それで良いかどうかは、やってみないと」
「そう、そうだよな。くっそ、ウエモンに負けた気がする。今回は間に合わないが、その試作もやってもらおう。俺が図面を……待てよ、なあスクナ」
「なに?」
「ウエモンにその設計をやらせてみよう。ウエモンの思っている通りのものをゼンシンに作らせろと伝えてくれ」
「うん、分かった。ウエモン喜ぶよ」
外と中の両方をこのきなんの木で作るという発想は俺にはなかった。それがうまく行くのなら、俺はわざわざ多忙なゼンシンに苦労を掛けた上に、意味のないものを作らせてしまったことになる。
しかし、そのほうが圧倒的に品質は上がるだろう。小型化になるし軽量化も図れる。しかも構造が単純で部品点数が少なくコストが安い。故障も少ないだろう。無理してベアリングを入れる必要はないのだ。これはやるべきことだ。
(自分の案を捨てても、良いものはどんどん取り入れる。なかなかできないことよ。ユウさんのそういうとこ、エライと思うよ)
なんか褒められたような? しかし、いまはそんな暇はないのであった。俺たちはすでにサツマにいる。
「で、これがハンドグラインダーというものだ」
「はん、どぐされだぁ?」
「お前は耳がおかしいのか、頭がおかしいのか、どっちだよ。ハンドグラインダーだよ!」
「なんだと、この野郎!!」
「だから、止めろと言ってるだろう!!」
なんか最初に戻った。コマツと俺のケンカをシマズ卿が止めるという図式である。もうすっかり予定調和となっている。
「はん……まあいいや。で、それをどうするんだ?」
「お前じゃ話にならん。職人を連れて来い」
「なんだとぉ!!」
「はいはい、その辺で。私です。クボです。話なら私が聞きましょう。たしかカイゼンとかいうものを持ってきていただいた、という話でしたね」
「カイゼンは持ってくるものじゃない。それはするものだ。で、ちょっとこれを使ってみてくれ。ハンドグラインダーっていうガラスを削る機械だ」
「はん、どぐされだぁ?」
「聞き間違うのはどいつもこいつも同じかよ!」
「で、これがどうかした……あれ? 先端にはえらく小さいものが。これ、まさか砥石ですか? 良くもまぁこんな小さな砥石が作れますね。すごいですよ、これは!!」
いや、感心するとこ、そこじゃないから。
「ほんとだ。良く見たらすごいものが先端に付いていたな。なんでそれを先に言わんのだ」
ハンドグラインダーそっちのけで、みんなの視線が砥石に釘付けである。
あれ? もしかして、これもすごいことだったのだろうか。俺の注文に、ウエモンは驚きもせず当たり前のように作ってくれたが?
もしかして、砥石をこの程度に小さくするの、そんなに難しいことだったのか?
「あの、それはともかくとして」
「いやいやいや。これはぜひうちにも欲しい! これ、取り外せないか?」
「それを外すなんてとんでもない!」
「なんでだよ。はめたんだから外すぐらいできるだろ。だけど、どうしてこんなすりこぎみたいなものにくっついてないといけないんだ?」
「わははは。すりこぎとはうまいこと言った! 座布団1枚!」
「え? 私に座布団をどうしろと?」
「あ、いや、なんでもない。先端に小さい砥石の付いたすりこぎが俺のカイゼンだ。これはセットで使うんだよ。これをこうしてこっちの機械――小型ろくろだが――にこんな感じで装着する」
と言いながら俺は持ち込んだ卓上ミシンサイズの超小型ろくろに、すりこぎ……ハンドグラインダーをセットし、足のペダルを踏み踏みする。
するとグラインダーの中身が回転を始めた。中身は先端の砥石と一体になっており、砥石も同じように回転を始める。
10秒も踏み踏みすると充分に回転は上がる。俺はろくろから取り出して、それをクボに渡す。
「これがハンドグラインダーだ。なにはともあれ、それでガラスを削ってみてくれ」
「わぁ、なんだこれ。砥石が回っている? 手に持っているのに? どういう理屈だ???」
「まあ、それはいいから使ってみろってば」
「ほい。ガリガリガリガリ。おおっ、すごい! ガラスに私の名前が彫れた!」
誰が自分の名前を入れろと。入学式前日の小学1年生か。
「おいおい、みんなこれすごいぞ。感動ものだ。お前らもちょっと使ってみろよ」
「どれどれ? ガリガリガリ。おおっ、ほんとだ。ガラスに文字が書ける砥石なんてすごいな」
「ほほぉ。じゃあ、俺も名前を書いてみようかきかきかき」」
「じゃあ、俺は彼女の名前をかきかき」
「じゃあ私は旦那の名前をかきかき」
「好きな女優の名前をかきかき」
なんでお前らは砥石を使ってわざわざ文字を書くんだよ。模様を付けろ、模様を!
卒業文集の寄せ書きかよ! これで入学式から卒業式まで一通りやっちまったじゃねぇか。この支配からの卒業、とか言ってる場合じゃねぇよ。
「「「これ、面白ーい!!」」」
「面白いのは分かったから、それでそのガラスを加工してもらいたいのだが」
「え? これ、そのためのもの?!」
「だからそれがカイゼンだよ。ぶっとい砥石をぐわんぐわん回しても細かい線は入れられないだろ? だが、それなら自由自在な線が描ける。ただの工芸品が、これによって芸術作品に変わるんだ」
「「「おおっ!!!」」」
「それが理解できたら、誰か代表してこれをしばらく使ってみてくれないか? まだ1本しかできてないんだ」
「分かった。それじゃ、どうしようかな。誰か使ってみたいやつはいるか?」
「それ! ぜひ僕に使わせてくれないか!!」
「なんだカメジロウか。お前はこちらに来てからまだ日が浅いが……かえって好都合かな。いいだろう、やってみろ」
「これならアズマで習った絵柄が、こちらで再現できるかも知れない」
「そ、そうか。お前の言うことは良く分からなくてな。できるのならやって見せてくれ」
「分かった。ユウ、とかいったな? この砥石はこれだけか? 砥石は消耗品だ。削れなくなったら交換する必要があるだろ」
「それと同じものはあと23個ある。それに、使えるかどうかは分からんが、このようなものも用意してある。好きなのを使ってくれ。ここにあるものに関しては代金は不要だ」
「おぉ。予備がちゃんとあるのか。やるじゃないか。よし、これならこちらではできなかった工夫ができるぞ」
態度は悪いが、やる気は満々のようだ。だが、こちらではってどういうことだ?
「ああ、カメはアズマから雇った職人なんだ。しかし、アズマで使っていたのと同じ道具がないとか、俺はこんなところで終わる人間じゃないとか、言い訳ばかりでちっとも仕事をしない。俺たちの手に余ってたんだよ」
「どこかで聞いたような話だ」
「こいつならどうせ役には立ってないから、好きなように使ってくれていいぞ。どうやらそのなんとかいう機械が気に入ったようだしな」
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