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第59話 ふたりの魔王
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「おおっ、出られたーー。ばんじゃーいばんじゃーい。久々のシャバの空気はおいしいなぁ」
「シャバとか言うな。でも良かったな。ちぎれることもなく外に出られて」
「ちぎられたらかなわん。でも出してくれたのだから礼を言うヨ」
オウミはぽてっとした愛らしいねんどろいどだったが、ミノウはすらっとした美人さんのフィギュアだった。その分全長はミノウのほうが少し長い。
「全長じゃなくて身長な。あと長いじゃなく高いだヨ」
真白な肌に白い帽子、白いブラジャー、白いパンツ。ファッションセンスは同じであるようだ。
「これは下着じゃなくて水着な。我らは夏はずっとこのスタイルだ。いつでも水浴びができるようにしているのだヨ」
水浴びが目的だったのか。そろそろ夏も終わるのだが、いつ衣替えになるのだろう。それと、背中についている羽根はやはりアレなのだろうか。いつか試してみよう。
ゼンシンが言っていたが、ミノウのほうがオレンジの強い虹色ということだったが、俺にはその違いはよく分からない。
まあ、見た目が明らかに違うから、ミヨシとハルミの区別ほど苦労はしないけどな。ちなみに、ミヨシには右頬に泣きぼくろがあるのだ、それで簡単に区別がつく。
「ところでミノウはのんびりしてていいのか? オウミがやってくるんだろ?」
「おおっ、そうだった。お主には感謝なのだヨ。じゃあな。この約束はまた次の機会に」
「おう、その前にこれからお前は俺の手下だからな」
ち~ん。
……またこの音?
「あれ。お前、今なにをしたヨ?」
「ユウと呼んでもらおうか。ちょっとひとり言を言ってみただけだよ?」
「じゃあ、我のことはミノウと呼ぶが良い。じゃなくて!!」
「なんだ、どうした」
「それはこっちのセリフだ。ひとり言という次元ではないのだヨ。ものすごい不穏なことを言ったではないか。おかしいぞヨ。我のような大魔王が人間の眷属になるなんてことがあるはずがないのだヨ」
ち~ん。
「あるはずがあるようだが」
「ウソだろ? 土よ! 霧よ! 考え直したまえ、我がこんなこんちくしょーもない男の眷属なんかに」
「お前ら、口の悪さは遺伝かよ。さすが義理とはいえ姉妹だな」
ち~ん。
「ならないといけうっそぉぉぉん!!??!?!?!?」
多分こうなるだろうなーと思って言ってみただけなんだが、案の定こうなってしまった。俺の眷属がひとり増えとる。
これで3つの貸しのうちのひとつを使ったのことになるのだろうか。別にいいけど。
びっくりするぐらいオウミのときとまったく同じであった。これはただの俺の運なのか。あとから実はこれは宿命で、お主はこのふたりを連れてなんか悪いものを退治するのだ、とか言われたらちょっと心が躍る。ドラクエのイントロダクションみたいで。
だが、俺をこちらに呼んだのがミノウで、理由が閉じ込められた実から出たかっただけ、というのが本当なら。
ミノウをぶっ飛ばしてやりたい。そんなくだらない理由で呼びやがって……でもミノウの言う通り、あちらにいても成功しそうな雰囲気はなかったけどな。
ともかく、ふたりの魔王を眷属とする一般人に、俺はなる! いや、なってしまった。
「ウソだウソだウソだウソだウソだヨ!」
ウソちゃいまんねん。ほんまでんねん。往生際の悪い魔王だ。しかし、俺も2回目ともなるともう慣れちゃうものだ。こいつの動揺が少しだけ分かる。オウミも最初はこうだった。
「で、お前はどんな魔法が使えるんだ?」
「さっそくそれか! ユウってやつはそういうやつ……だとは知っていたが」
「知ってたのか。それなら話は早い。それで?」
「うるさい! まだ心の整理がつかないのだヨ。しばらく黙ってろ!」
怒っちゃった。しかしこれで、ふたりの魔王が会わずにはいられなくなるわけだ。仲直りするチャンスじゃないか。な?
そこへ飛び込むようにやってきたオウミが、ミノウと顔を合わせるなり。
「てめっ、こんなとこでなにしてやがるノだぼかぼかぱかぽか」
「やややかましい、好きでこんなとこに来ているわけじゃねぇヨどがすがぼかぼか」
「この男に取りついたのは我が先なのだ、とっとと出ていくノだばかすかぼかすか」
「だから好きで取りついたわけではないと言っておるだろヨばがすかどんどんばきべし」
じゃれ合いが始まった。ってかお前ら俺に取りついたつもりかよ。
「今までどこに行ってたノだ。姿が見えないと思って油断したではないかぼかすかぼけなす」
「お前の知ったことか、それより勝手に人の領地に入ってきてどういう了見だばかすかあほかす」
殴る擬音が、いちいち悪口になってんぞ?
「いごごちの良い場所に住み着くのは我らの本能であろうが、いなかったくせに文句言うなぱかぽかぺこぱこ」
「留守のうちに勝手に入り込んでその上見つかったら逆ギレかよぺちぺちぱつぱち」
叩く音がだんだん弱くなってきているような。
「「ぜぇぜぇえぇ、ちょ、ちょっと休憩だ」」
お前らもたいがい体力がないな。
「「はぁはぁ、こんなやつをどうすんだユウ!!」」
いや、声を揃えて言われてましても。
そこへ遅れて帰ってきた人たちが、
え? は? ほ? へ?
ああ、面倒くさい。
「シャバとか言うな。でも良かったな。ちぎれることもなく外に出られて」
「ちぎられたらかなわん。でも出してくれたのだから礼を言うヨ」
オウミはぽてっとした愛らしいねんどろいどだったが、ミノウはすらっとした美人さんのフィギュアだった。その分全長はミノウのほうが少し長い。
「全長じゃなくて身長な。あと長いじゃなく高いだヨ」
真白な肌に白い帽子、白いブラジャー、白いパンツ。ファッションセンスは同じであるようだ。
「これは下着じゃなくて水着な。我らは夏はずっとこのスタイルだ。いつでも水浴びができるようにしているのだヨ」
水浴びが目的だったのか。そろそろ夏も終わるのだが、いつ衣替えになるのだろう。それと、背中についている羽根はやはりアレなのだろうか。いつか試してみよう。
ゼンシンが言っていたが、ミノウのほうがオレンジの強い虹色ということだったが、俺にはその違いはよく分からない。
まあ、見た目が明らかに違うから、ミヨシとハルミの区別ほど苦労はしないけどな。ちなみに、ミヨシには右頬に泣きぼくろがあるのだ、それで簡単に区別がつく。
「ところでミノウはのんびりしてていいのか? オウミがやってくるんだろ?」
「おおっ、そうだった。お主には感謝なのだヨ。じゃあな。この約束はまた次の機会に」
「おう、その前にこれからお前は俺の手下だからな」
ち~ん。
……またこの音?
「あれ。お前、今なにをしたヨ?」
「ユウと呼んでもらおうか。ちょっとひとり言を言ってみただけだよ?」
「じゃあ、我のことはミノウと呼ぶが良い。じゃなくて!!」
「なんだ、どうした」
「それはこっちのセリフだ。ひとり言という次元ではないのだヨ。ものすごい不穏なことを言ったではないか。おかしいぞヨ。我のような大魔王が人間の眷属になるなんてことがあるはずがないのだヨ」
ち~ん。
「あるはずがあるようだが」
「ウソだろ? 土よ! 霧よ! 考え直したまえ、我がこんなこんちくしょーもない男の眷属なんかに」
「お前ら、口の悪さは遺伝かよ。さすが義理とはいえ姉妹だな」
ち~ん。
「ならないといけうっそぉぉぉん!!??!?!?!?」
多分こうなるだろうなーと思って言ってみただけなんだが、案の定こうなってしまった。俺の眷属がひとり増えとる。
これで3つの貸しのうちのひとつを使ったのことになるのだろうか。別にいいけど。
びっくりするぐらいオウミのときとまったく同じであった。これはただの俺の運なのか。あとから実はこれは宿命で、お主はこのふたりを連れてなんか悪いものを退治するのだ、とか言われたらちょっと心が躍る。ドラクエのイントロダクションみたいで。
だが、俺をこちらに呼んだのがミノウで、理由が閉じ込められた実から出たかっただけ、というのが本当なら。
ミノウをぶっ飛ばしてやりたい。そんなくだらない理由で呼びやがって……でもミノウの言う通り、あちらにいても成功しそうな雰囲気はなかったけどな。
ともかく、ふたりの魔王を眷属とする一般人に、俺はなる! いや、なってしまった。
「ウソだウソだウソだウソだウソだヨ!」
ウソちゃいまんねん。ほんまでんねん。往生際の悪い魔王だ。しかし、俺も2回目ともなるともう慣れちゃうものだ。こいつの動揺が少しだけ分かる。オウミも最初はこうだった。
「で、お前はどんな魔法が使えるんだ?」
「さっそくそれか! ユウってやつはそういうやつ……だとは知っていたが」
「知ってたのか。それなら話は早い。それで?」
「うるさい! まだ心の整理がつかないのだヨ。しばらく黙ってろ!」
怒っちゃった。しかしこれで、ふたりの魔王が会わずにはいられなくなるわけだ。仲直りするチャンスじゃないか。な?
そこへ飛び込むようにやってきたオウミが、ミノウと顔を合わせるなり。
「てめっ、こんなとこでなにしてやがるノだぼかぼかぱかぽか」
「やややかましい、好きでこんなとこに来ているわけじゃねぇヨどがすがぼかぼか」
「この男に取りついたのは我が先なのだ、とっとと出ていくノだばかすかぼかすか」
「だから好きで取りついたわけではないと言っておるだろヨばがすかどんどんばきべし」
じゃれ合いが始まった。ってかお前ら俺に取りついたつもりかよ。
「今までどこに行ってたノだ。姿が見えないと思って油断したではないかぼかすかぼけなす」
「お前の知ったことか、それより勝手に人の領地に入ってきてどういう了見だばかすかあほかす」
殴る擬音が、いちいち悪口になってんぞ?
「いごごちの良い場所に住み着くのは我らの本能であろうが、いなかったくせに文句言うなぱかぽかぺこぱこ」
「留守のうちに勝手に入り込んでその上見つかったら逆ギレかよぺちぺちぱつぱち」
叩く音がだんだん弱くなってきているような。
「「ぜぇぜぇえぇ、ちょ、ちょっと休憩だ」」
お前らもたいがい体力がないな。
「「はぁはぁ、こんなやつをどうすんだユウ!!」」
いや、声を揃えて言われてましても。
そこへ遅れて帰ってきた人たちが、
え? は? ほ? へ?
ああ、面倒くさい。
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