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私、ご主人様の直属メイドになりました(全10話)
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……最近、ご主人様がおかしい。
「おい」
「なんでございましょうか?」
最近、ご主人様によく話しかけられる。
ご主人様のデスクにある紙束も少なくなった気がするし……暇なの?
「今日は……何があった?」
え?朝からずっとここにいるでしょ?
「朝起きてから掃除をして……ここにおります」
「……そうか」
いや、それしかないでしょ。
……最近、ご主人様がおかしい。
朝から雨が降る日のこと。
「……今日はいい天気だな」
え、雨降ってるけど?
何?私を試してるの?なるべくネガティブな回答は避けよう。
「雨が降ったあとの晴れた空には虹が架かりますからね」
雨宿りするところもなく、雨に打たれたあと架かる虹が、唯一の雨の良いところだったからね。
「……そうだな」
ご主人様は顔を抑えてはぁと深いため息をついた。
え?私の回答ダメでしたか?
次の日も、その次の日も、ご主人様の意味不明な問いは続いた。
*
そして───今日のアフタヌーンティーでのこと。
「お前は……笑うこともあるんだな?」
「───……はい?」
ご主人様は咳払いをして、「なんでもない」と続けた。
……おかしいよね?やっぱり。「笑うこともあるんだな?」って……誰かに聞いたのかな。いやいや、ご主人様が何でそんなことのために足をお運びになるんですか。
おかしいってこと、ちゃんと指摘しておいた方がいいのかな?……いや、余計なお世話だろう。
「……」
「……」
紅茶を片手にしたご主人様が私をじっと見つめる。
えぇと……。
……私にどうしろと?何か言わなきゃダメ?
「……」
「……」
「……失礼しました」
「……」
さすがに無言を貫いたまま、アフタヌーンを終えるとは思わなかったのだが、最低限の言葉以外、本当に何も話すことなく終わってしまった。
ワゴンを押しながら厨房へ戻る。
雨はいつのまにか止んでいて、美しい虹が架かっていた。
「……綺麗」
空が綺麗だなんて初めて思ったかも。
きっと生活に空が美しいと思えるようなゆとりが生まれたからだ。
「おい」
「なんでございましょうか?」
最近、ご主人様によく話しかけられる。
ご主人様のデスクにある紙束も少なくなった気がするし……暇なの?
「今日は……何があった?」
え?朝からずっとここにいるでしょ?
「朝起きてから掃除をして……ここにおります」
「……そうか」
いや、それしかないでしょ。
……最近、ご主人様がおかしい。
朝から雨が降る日のこと。
「……今日はいい天気だな」
え、雨降ってるけど?
何?私を試してるの?なるべくネガティブな回答は避けよう。
「雨が降ったあとの晴れた空には虹が架かりますからね」
雨宿りするところもなく、雨に打たれたあと架かる虹が、唯一の雨の良いところだったからね。
「……そうだな」
ご主人様は顔を抑えてはぁと深いため息をついた。
え?私の回答ダメでしたか?
次の日も、その次の日も、ご主人様の意味不明な問いは続いた。
*
そして───今日のアフタヌーンティーでのこと。
「お前は……笑うこともあるんだな?」
「───……はい?」
ご主人様は咳払いをして、「なんでもない」と続けた。
……おかしいよね?やっぱり。「笑うこともあるんだな?」って……誰かに聞いたのかな。いやいや、ご主人様が何でそんなことのために足をお運びになるんですか。
おかしいってこと、ちゃんと指摘しておいた方がいいのかな?……いや、余計なお世話だろう。
「……」
「……」
紅茶を片手にしたご主人様が私をじっと見つめる。
えぇと……。
……私にどうしろと?何か言わなきゃダメ?
「……」
「……」
「……失礼しました」
「……」
さすがに無言を貫いたまま、アフタヌーンを終えるとは思わなかったのだが、最低限の言葉以外、本当に何も話すことなく終わってしまった。
ワゴンを押しながら厨房へ戻る。
雨はいつのまにか止んでいて、美しい虹が架かっていた。
「……綺麗」
空が綺麗だなんて初めて思ったかも。
きっと生活に空が美しいと思えるようなゆとりが生まれたからだ。
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