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61 大収穫

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 最初にツブラと遭遇したあたりまで戻って来ると、声が聞こえてきた。

「ねえ、コータローいないよ」

「本当だな。でも、争った跡もないってどういうことだ?」

「…あんまり考えたくないけど…一呑みにされちゃった、とか……?」

「そんなーー縁起でもないこと言わないでください!」

「ワシがこんな依頼を出さなければ……」

 ヤバいヤバい。だいぶ心配させちゃってるな。

「おーい、シルヴィアーっ」

「コータロー!?」

「おう、ちゃんと生きてるぞ」

 そう言ったところでシルヴィアが見えた。

 シルヴィアもこっちを見つけたみたいで、物凄い勢いで駆けてくる。

 おいおい、そんな勢いで走ったらアブねえって。

 慌ててこっちからも駆け寄ったが、案の定シルヴィアは蹴つまづいて派手に宙を舞った。

 余裕でキャッチというタイミングではなかったので、痛そうだなと思いながらもシルヴィアの下に身体を投げ出す。

 かろうじて間に合った。

 シルヴィアの方はそれほど重いわけはないので大したダメージにはならなかったが、その分背中は痛かった。

「ご、ごめんなさい」

「あー、大丈夫だ」

 頭をポンポンとたたくと、安心したらしいシルヴィアの目に涙が滲んだ。

「よく無事で……」

「それについては、運が良かったとしか言えないな」

「運?」

「ああーーガンテスさん、これ見てくれる?」

 ツブラからもらった脱け殻をガンテスさんに渡す。

 手に取ったガンテスさんはぎょろりと目を剥いた。

「何じゃこりゃあ!?」

「やっぱりわかるんだ」

「おぬし、これをどこで手に入れた!?」

 目が血走ってるよ、ガンテスさん。

「なになに、どしたの?」

 皆集まってきた。

「今から話すことはここだけの話にしてください。約束してもらえますか?」

 皆の顔を見回すと、こっちの真剣さが伝わったようで一様に神妙な顔で頷いた。

「まず、さっきの蛇ですけど、あれ、神獣だそうです」

「「「「「神獣!?」」」」」

 見事なハーモニー。

 そりゃまあ驚くよな。俺だってビックリしたし。

「…そうか…神獣というなら、あの威圧も頷けるか」

 ガンテスさんは腕組みして唸っている。それから、何かに気づいたように目を丸くした。

「…ということは……これは、まさか……」

「神獣の脱け殻です」

「…お、おお……これが……実物を目にすることができるとは……」

「そこまですごいものなの?」

「ワシらのような職人にとっては扱うことが夢、という素材だ」

「じゃあ、これ使ってここにいる皆の防具作ってください」

「ワシが作っていいのか?」

「ガンテスさんにお願いしたいです」

「わかった。最高の防具に仕上げてみせる」

「よろしくお願いします」

「ね、ねえ……」

 おそるおそるといった様子でカズサさんが声をかけてきた。

「何か話聞いてると、とんでもなく高価なものみたいだけど、わたしたちまでもらっちゃっていいの?」

「あたりまえじゃないですか。何を水臭いこと言ってるんっすか」

「ありがとう」

「どういたしまして」

 神獣の脱け殻のインパクトが強すぎて忘れてしまいそうだったが、今回はオリハルコンもゲットしていたんだ。大収穫を引っ提げて、俺たちは意気揚々と帰途に就いた。
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