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51 魔物討伐隊

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「とは言ったものの、具体的にどうするかな……」

 ケントは腕組みして唸り声をあげた。

 王都の冒険者ギルド。そのギルドマスター室である。ケントをはじめとする主要メンバーが集まって、あれやこれやと検討を重ねていた。

「わかりやすいところでいけば、辺境での大物討伐だろうな」

 ゴライオの言葉にみんな頷く。

「やっぱそれしかないか」

 ケントとしてもそれくらいしか思いつかなかったので、方針的にはそうなった。

「大物って言うと、どんなのがいるんだ?」

「俺が遭遇した中だと、サイクロプスがダントツにヤバかったな」

「サイクロプスって、一つ目の巨人だったっけ?」

「ああ。あれはマジでヤバかった、一目見た瞬間に絶対勝てねえってわかったから、ひたすら逃げに徹したんだ。そうでなけりゃあ生きて帰れはしなかったろうな」

「そんなにか……」

 ギルド最強の男であるゴライオが命からがら逃げ帰るしかできなかったという時点でその恐ろしさは推して知るべしである。

「でも、それだけにサイクロプスを討伐できたらポイント高いよな」

「大丈夫?」

 ケントが焦っているように見えて、フローリアはわずかに不安を覚えた。

「できれば挑戦したいと思うけど、ゴライオさんはどう思います?」

「人数揃えて、装備整えれば何とかならんこともないと思うが、それができたとしても一筋縄じゃいかんぞ」

 ゴライオは厳しい表情で言った。

「ですよね」

 ケントは深いため息をついた。

「差し迫った討伐の必要性があるわけじゃないからな。それだけの規模の討伐隊が組めるかどうか……」

 やるとなれば命懸けになるのは間違いない。それに参加してくれる物好きがどれだけいるだろうか。

「報酬を弾めば集まるかもしれないけど、それじゃあ認めてもらえないだろうしな」

 金を積めばいいということであれば、別にケントでなくてもできるという話になる。そんなやり方では皇帝に認めてもらうことは難しいだろう。

 腕組みして難しい顔をしているケントに、ゴライオは苦笑を向けた。

「ったく、的外れな心配してんじゃねえよ」

「へ?」

 ケントの眉が訝しげに寄った。

「ギルドに登録してる冒険者全員、今回の遠征に参加希望してるぞ」

「へ?」

 ケントの目が真ん丸に見開かれた。

「ああ、登録してる冒険者ってのは、王都だけじゃなくてフロントの方もだからな」

「……」

 予想外の話ばかりで、声も出なくなってしまう。

「ちなみに、全員無報酬でいいとのことだ」

「!?」

 さすがにそれはあり得ない。ケントは目を白黒させた。

「…な、何で……?」

「理屈じゃねえんだよ。おまえがやってきたことに対する答えがこれってことだ」

 ゴライオはケントの肩を叩いた。

「…ありがとう……」

 目頭が熱くなる、

「礼を言うのは早いと思うぞ。ここからが大変だからな」

 ゴライオは意味ありげな笑みを浮かべた。

「いくら参加希望があるとはいえ、全員を連れてく訳にはいかねえからな。その選別は揉めると思うぞ」

「うわあ……」

 その情景を想像して、ケントは悲鳴をあげた。



 で、その通りになった。
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