君と紡ぐ物語

桜糀いろは

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第3話 - 2

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 京也が軽快に文字を入力していく。
 彼の使用するキーボードは、タブレット型PCのカバーにもなる超薄型のもので、キーを打つ音は小さく、隣で本を読んでいても全く苦にならなかった。
 そのキーを打つ音が不意に止む。特に珍しいことでもなかったので、文音は本を読み続けた。
(……んん? なんか……いつもより静かな気がする……)
 考え事をするにしても、調べ物をするにしても、多少は音や気配がするはずだ。それが、さっきから全くないのだ。彼は一体、何をしているのだろうか。文音はカフェラテの入ったカップに手を伸ばしながら、京也の様子を窺った。
「どっ、どうしたんですか?」
 文音が声を上げる。京也は口角を上げて笑った。彼は頬杖を突きながら、こっちを見ていたのだった。
(まさか、ずっと……)
 恥ずかしさが込み上げてくる。けれど、すぐにそれを胸の奥へと押し戻し、文音は静かに京也の反応を待った。彼はゆっくり頬杖を解いていき、口を開いた。
「文音ちゃんは、休みの日に何をしているのだろうか? と思いながら観察をしていた」
「それなら、普通に聞けばいいじゃないですか」
 じっと見ていたところで分かることでもないのに、なぜ彼はそんなことをするのだろうか。文音は、ほんの少しだけ頬を赤くして、京也に抗議の眼差しを向けた。
「読んでるところを邪魔するのは悪いと思って、タイミング見てたんだよ」
「そんなの気にしなくていいですから。わたしは、京也さんのアシスタントなんですよ? 京也さんのお仕事が最優先なんです。だから、観察なんてしてないで、いつでも気軽に声を掛けてきてください」
 文音の言葉に、京也は含み笑いを返してきた。これは聞きそうにないな。そう感じ取った文音は、いったん諦めて話しを進めることにした。
「休みの日ですよね。そうですね……基本的にいつもと変わらないような……あ! ありました! いろんなジャンルの本を、気の赴くまま片っ端から読み散らかしていって、その本たちの中でまどろむんです。それがもう……最っ高に幸せなんですよ~」
 文音はうっとりと天井を見つめた。
「へぇ、良いなそれ。で、その本達の中に、小説はないんだろ?」
「え?」
 京也に目を戻し、文音は数回、目を瞬かせた。
「そう、ですね……ないですね。京也さんに言われて、今、初めて気がつきました。なんで分かったんですか?」
 自分が意識すらしていなかったことを、彼はどうやって見抜いたのだろうか。文音は興味津々という表情で、京也の顔を観察した。
「そうだな……小説を読んでいる文音ちゃんを見たことがなかった、からだな」
 少しだけ視線を外して京也が答える。彼にしては珍しい反応だ。いつもなら、得意の質問返しをしてくるか、意気揚々に答えを言ってくるか、そのどちらかのはずなのに。
(たまたま、自信がなかっただけかな?)
 自分にはよくあることだったので、文音は気にせず同じ質問を京也にしてみることにした。
「京也さんこそ、お店がない日は何して過ごしてるんですか?」
 待っていましたと言わんばかりに、京也がニヤッと笑った。
「何してると思う?」
「もう、何でそうやって質問に質問を返してくるんですかー」
「文音ちゃんの反応が面白くて、ついな。まぁ、半分冗談として、残り半分はちゃんとした意図はある。文音ちゃんがどんな風に物事を見ていて、どう感じたりしているのかを知るという意図がな。他人の考え方や意見を聞くと、新しい発見があったりして良い刺激になるんだよ」
「それなら……良いですけど」
 恥ずかしさを隠しきれず、文音は京也から目を逸らして、答えを口にした。
「本屋さん」
「ん?」
「本屋さんに行く」
 京也に聞き返され、文音は言葉を足して言い直した。それなのに、今度は何の反応もなく、文音は首を捻るようにして彼に顔を向けた。
 すると、京也は真剣な面持ちで、こっちを凝視していたのだった。
「俺のこと、見かけたことがあるのか?」
 彼の言葉から察するに、答えを当てられたと判断していいのだろうか。それとも、かなりの見当違いだったのだろうか。文音はとりあえず質問に答えてみることにした。
「ないですよ?」
 安堵したような、苦笑したような、そのどちらとも取れるような表情を京也は浮かべた。文音は悪戯っぽく「見られたら困るようなことでも、あるんですか?」と聞こうとしたが、止めておくことにした。彼がその先を言わないということは、触れられたくないことがあるのかもしれない。
(わたしには、あるしね……)
 京也のことをもっと知りたいという気持ちがないわけではない。けれど、彼は自分の雇用主なのだ。そう、あくまでも仕事仲間として、ある程度の距離は取っておくべきなのだ。そう思って、文音は口をつぐんだ。
「で? 何でそう思ったんだ?」
 京也がいつもの調子で聞いてくる。会話が続くと思っていなかった文音は、慌てて言葉を口にした。
「え、えっと……」
 さっき口にした答えは、ふと思いついたもので、はっきりとした理由なんてない。
 そう言えばいいのに、楽しそうに笑う京也を見てしまうと、なぜかそうすることが出来ず、文音は真剣に理由を探り始めてしまうのだった。
(にしても、なんでわたしは、京也さんの質問に、いちいち全力で答えようとしちゃうんだろ――)
「き、京也さんも、いっぱい本を読むから」
 京也から目を背け、文音は答えを出した。
 短い沈黙の後、京也が呟くようにして言葉を口にした。
「なるほどな」
 文音は反射的に、京也の方を振り向いた。
 少しだけ寂しさを感じさせる微笑み。文音の目がそれを捉えるのとほぼ同時に、京也は「色々と参考になった、サンキューな」と、いつになく軽い口調で礼を告げ、タイピングを再開した。
 彼の様子が引っかかる。しかし文音は、唇をきゅっと結んで、本に目を落としたのだった。

 * * *

(とうとう、来ちゃった……)
 文音は時計に目を遣った。今やっと十二時を過ぎたところで、終業時間まであと三時間もある。さっき時計をチェックしてからは、まだ十分と経っていなかった。
(予兆はあったのに、完全に気抜いてた……)
 一緒に昼食を取っている京也と葵の会話に意識を向ける。どうやら二人は、アメリカの株式市場について話しているようだった。いつもなら、二人がどんな会話をしていても興味深く聞いていられるのだが、ここ数日は注意力が散漫な状態で、気づくとぼーっとしている自分がいた。
(朝はまだ、平気だったのに……っ)
 下腹部に何とも言いがたい痛みが起こる。文音は思わず目を閉じた。
(あと三時間、いけるかな……)
 全身が重苦しく、大好きなランチでさえも食べるのが億劫だった。関節の至る所に違和感があり、このままでは、あと数時間もしないうちに立つのもやっとの状態になる。文音の中で焦りが生じ始めた。
「大丈夫か?」
 京也が心配そうに声を掛けてくる。文音は笑顔を見せて答えた。
「はい。大丈夫です」
 京也のことだ、事情を知ったら知ったで、何かと気を遣ってくるはずだ。それでは彼が仕事に集中出来なくなってしまう。何とかして普段通りに今日を終わらせなければ。ひとまず気を逸らそうと、文音は二人に話しを振った。
「前から思ってたんですけど、京也さんも葵さんもお昼足りてるんですか? 京也さんなんか、露出している腕の様子からして、全身に筋肉が付いてそうな気がするんですけど」
「ああ、大丈夫だ。色々と試してみた結果、これくらいが一番調子良い」
「僕もです」
「そうなんですね……」
 会話を続けようとしたが、痛みから意識を引き剥がすことが出来ず、適当な相槌を打って文音は口を閉じた。
「さっきから顔色が悪いな。何かあるなら、ちゃんと言え」
「……あ、はい。ちょっと薬を飲んできてもいいですか?」
 薬さえ飲めば一番の問題である痛みを押さえ込める。出来るだけ薬には頼りたくなかったが仕方ない。文音は膝の上に乗せてあったエプロンを退けると、テーブルに両手を突いてから立ち上がった。
「水は俺が持っていくから、先に行ってろ」
「……はい。ありがとうございます」
 文音は笑顔を作って動揺を隠した。
(いつもより、遠く感じる……)
 歩みを進める度に、全身の力が床へと流れ落ちていくような感覚に襲われる。気を張っていないと、座り込んでしまいそうだった。文音は必死に平静を装い、事務所へと向かった。
(あと、ちょっと……)
 事務所に入り、人目がなくなったところで、文音は壁に手を着いた。もう片方の手を下腹部へとやり、壁伝いに歩いていく。自分のロッカーを開けると、文音は床に膝を突いた。鞄の中に手を入れ、目をつぶりながら薬を探る。
(……っちゃった。持ち歩き用の薬、補充するの忘れてた……)
 ロッカーに頭を突き、文音はひんやりとした鉄の感触に身を預けた。
「おい、大丈夫か?」
 京也の声を聞き、目を開ける。その直後、肩を掴まれるような感触を受けた。ゆっくりと顔を動かしてみると、目の前に京也の顔があった。
「今日はもうあがって、休め」
 文音は素直に頷いた。頭の中が痛みに支配され、もう考える余裕すらない。
「いいか、すぐに戻ってくるからな。このままちょっと待ってろ」
 京也はそう言い残して、事務所を出ていった。そして、宣言した通り、すぐに戻ってくると、文音を抱き起こし、自身の方へと引き寄せた。
「それじゃ、行くか」
「えっ、ちょ、ちょっと。京也さん!?」
 腰に手を回され、文音は慌てふためいた。
「辛いんだろ? ほら、いいから行くぞ」
「いえ、あの、ひとりで帰れますから。大丈夫です。お気持ちだけ、いただいておきますっ」
 言いながら文音は、その場に踏み留まろうとした。しかし、ふらふらの身体では、ただバランスを崩すだけだった。
「途中で倒れられたりしたら、俺が困る。大人しくしないなら抱き上げてくぞ」
「なっ、意味が、わからないです」
 頭がくらくらとする。思わず文音は京也の身体に掴まった。
「わ、かりました。せ、せめて、手を繋ぐ、にしてください」
 京也の顔を見上げる。と、踏み留まった際に目を強くつぶり過ぎたせいか、彼の表情は少しだけぼやけていた。
「……っ。じゃあ、家の鍵を貸せ。それと鞄もだ」
 キーケースを受け取ると、京也は中から鍵を選び取り、右手に鍵を持った。肩に鞄をかけ、左手で文音の右手を掴むと、京也はゆっくりと歩き始めた。
 視界から景色が消え、力を失った自分の手が段々と滑り落ちていく。すると、京也が瞬時に握り方を変えてきた。しっかりと繋ぎなおされた手は、少しも離れることなく、自分を前へと引っ張っていった。
「段差があるからな。足元、気をつけろよ」
 京也の呼び掛けに目を開けてみると、自宅マンションのエントランスに来ていた。京也がオートロックの扉を解錠し、中へ進んで行く。エレベーターに乗り込んだところで、文音は操作方法を伝えようと操作パネルに目を向けた。解除音が鳴り、京也が三階のボタンを押す。それを見て、文音はふたたび目を閉じた。
「もうすぐだからな」
 京也が頭を撫でながら声を掛けてくる。文音は数秒遅れて頷きを返した。
 エレベーターを降り、京也が歩みを止めたところで、先に文音が言葉を発した。
「あ、ありがとう、ございました。ここで、もう、大丈夫。ですから」
 繋がれたままの手を下に引く。けれど、指と指を絡めるようにして握られた手は、解ける気配がなかった。今度は少し体重を掛けるようにして、文音は手を引っ張った。
「無事に家へ上がるところまで確認しないと帰れない」
 繋いでいた手をぎゅっと握り絞め、京也はそう告げると、文音の返事も待たずにダブルロックの施錠を解錠し始めた。
(早く、京也さんから、離れないと――)
 エレベーターでの出来事を思い出し、文音は焦りを強めた。頭をゆっくり撫でられる感触と、京也の優しい声音。それに呼応するように瞼を開けると、目の前にダークネイビーのシャツがあった。そして額には、ほのかな温もり――。
 自分が無意識に彼の肩へと頭を寄せていたことを知り、文音は絶句したのだった。
「ほら、開いたぞ。入らないのか?」
 京也が扉を押さえながら、手を引いてくる。玄関に入ると、ようやく繋がれていた手が解放された。文音は靴を脱ぎながら、横目で京也が鞄を置くのを確認すると、静かに息を吸った。そして、身を返して京也と向かい合うと、文音は最後の気力を振り絞って笑顔を浮かべる。
「助かりました、京也さん。ここまで来れば、もう本当に大丈夫です。あとは薬を飲んで、寝てやり過ごすだけなので」
 京也に出来ることはもう何もない。それを理解してもらうために、文音は普段の自分の口調を意識しながら、礼と一緒にこの後の流れまで告げた。
(あとはひとつひとつ、ゆっくりやっていけば大丈夫。まずは部屋まで行って、引き出しから薬を取り出す。それから――……)
 目を閉じながら、毎月行っている一連の流れを、文音は頭の中で確認した。
 そして、いざ行動に移そうと目を開ける。
 と、思いっ切り眉間に皺を寄せた京也と目が合った。
「その様子だと、全然大丈夫じゃないな」
「…………」
「放っておくわけにはいかないからな。勝手に上がらせてもらうぞ」
「……っ。あ……」
 やっと声が出たと思った瞬間、身体が宙に浮いた。慌てて何か言おうとするも、頭が上手く回らない。身体に力を入れてみるも、身じろぐことすら出来なかった。文音はあっという間に、横抱きに身体を抱え上げられた状態で、ベッドまで連れていかれたのだった。
「次は何だ? 薬か。まだ飲んでないんだろ。どこにある」
 ベッドの上に文音を優しく降ろすと、京也は矢継ぎ早に言葉を口にしてきた。有無を言わせない彼の空気に押され、文音は素直に答えていく。
「そこの引き出しの、右上に……」
「分かった、取ってくる。水も持ってくるからな。キッチン借りるぞ」
京也が淡々とすべてをこなし戻ってくる。コップを受け取り、文音は小さな声で礼を言うと、薬を飲み横になった。
「着替えなくていいのか? 着替えた方が少しは楽になるだろ」
「……え? あ……、京也さんが帰った後に、着替えるので、大丈夫です」
「言っておくが、文音ちゃんの様子が落ち着くのを見届けるまで、俺はいるからな。だから、今、着替えておけ」
「い、いえ。そこまでしなくても、大丈夫ですよ。あと30分もすれば薬が効いてきて、寝るだけですから……」
「じゃあ、あと30分はここに居ることになるな。俺が帰る前に寝たら、着替えられないだろ?」
 適当そうに見えて、実は真面目。緩そうな雰囲気を醸し出しておきながら、常に身の回りは整えてある。放任主義なくせに、ここぞと思うところでは何が何でも言って譲らない。
 そんな彼を早く帰すためには、折れるしか方法はない。
「わかりました。いいって言うまで、廊下で待っててくださいね」
「ああ、何かあった時のために、少しだけドアを開けておくからな。終わったら呼べ」
 京也の姿が完全に見えなくなると、文音はジーンズと靴下を脱ぎ、上半身に着ていたものを一気にまとめて脱ぎ捨てた。そして、ベッドの上に置いておいたボタンフロントのパジャマワンピースを掴むと、上の方のボタンを外し、頭から被るようにして着る。布団に包り、文音は入口の方に身体を傾けて、京也を呼び入れた。
 まだ少しだけ表情に険しさを残しながら、京也がベッドの端に腰を下ろす。何も言わず、彼はじっとこっちを見つめ始めた。文音は目をつぶって視線を退けた。その途端、下腹部の痛みが強くなる。
(……っ、早く……薬効いて――)
 布団の端をぎゅっと握る。と、突然、片方の頬に温もりが広がった。文音はそっと瞼を開けて、視線だけを動かして見た。
 少しだけ苦しそうに笑う京也。その彼の右腕が自分の方へと伸びていた。
 視界が少しずつ狭まっていく。何も見えなくなったところで、頬にあった温もりが頭の方へと移った。
 ゆったりとした動きで髪を撫でられる。強張っていた身体と心が段々解れていく。
 薬が効き始めるよりも前に、文音は眠りについていた。
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