君と紡ぐ物語

桜糀いろは

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第4話 - 1

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「じゃあ、まったね~」
 化粧室から出てきた歌緒理がニコリと微笑んで手を振ってくる。
「はい、また明日」
 文音も笑顔を浮かべて答えると、席から立ち上がって彼女の後ろ姿を見送った。店の扉が閉まっていく。ドアチャイムの音が完全に止んだところで、文音が口を開けた。
「歌緒理さんて、美人さんなだけじゃなく、可愛いくもあって、見ているだけで癒やされますね」
「文音ちゃんはまだ、アイツの本当の恐ろしさを知らない……」
 隣に座っていた京也に目を向けると、彼は相当苦いものでも口にしたかのような顔をして、タブレット型PCの画面を睨んでいた。
(そう言って京也さんは、いっつも歌緒理さんと二人で楽しく話しているのでした)
 彼のこの反応は、それこそ気心が知れた仲なのだと宣言しているようなものだ。接客の動きひとつ取っても、二人は息ぴったりで、正直、たまに羨ましいとさえ思ってしまう。
(でも……、二人の仲良しっぷりっていったら、それくらいしかないんだよね……)
 アルバイト初日に、京也が歌緒理の肩を抱いた以外、二人が相手に触れているところを見かけたことはなかった。
(人前では、見せないようにしてるとか?)
 胸がモヤモヤとする。いっそのこと、自分の気持ちを粉々に打ち砕くぐらい見せつけてくれればいいのに。そしたら、諦めがついて楽になれるかもしれない。
(……って、わたしってば、また……。とにかく、歌緒理さんは、わたしにもすごく良くしてくれてるんだし、それでいいでしょ)
 そこなのだ。彼女はいつだって自分に優しく接してくれる。たまに、目をじーっと見つめられて戸惑うことはあるが、彼女のことが怖いと感じたことは、まだ一度もなかった。
「うーん。やっぱり、京也さんが言うような悪い人には見えないんですけど」
「悪い奴ではない。むしろ良い奴だと思っている。思ってはいるが……」
 京也が首を捻って言葉を濁した。
「そういえば、葵さんも以前、歌緒理さんのことで、そんなような顔をしてたことがありました」
「葵の奴は、歌緒理と一緒に住んでるからな。俺よりも被害を被ってそうだ」
「ええっ! 歌緒理さんと葵さんって、夫婦だったんですか!?」
「いや、夫婦ではない。何だ? 文音ちゃんは、葵のこと狙ってたのか」
「狙ってませんから。もう、なんで京也さんは、葵さんのことになると、そうやって絡んでくるんですか」
 文音が頬を膨らませると、京也は薄い笑みを浮かべて、しげしげと顔を見てきたのだった。
「お手洗い、掃除してきます!」
 文音は言うなり、さっと身体の向きを変えて化粧室へと向かった。
(いつもより時間掛けてやろっと。あの感じだと、また絡んでくるかもしれないし)
 美味しいランチを毎日無料でもらっていることが、どうしても気になってしまった文音は、歌緒理が帰り際に行っていた化粧室の掃除を、京也と歌緒理の二人に頼み込むような形でするようになった。
(最近、掃除するのが楽しくなってきたんだよね。それで恩返しまで出来ちゃうなんて、ふふっ、嬉しいな)
 しかし、この店は客が少ない上に、皆がキレイに使ってくれるので、いつもすぐに終わってしまうのだった。
(結局、男性用と女性用あわせて十分も掛からなかった……)
 場所が場所なだけに閉じこもっているわけにもいかず、文音は店内に戻ることにした。
(相変わらず、お客さんはいない……と)
 せめて客がいれば絡まれることもないのに。そう思いながら、今度は京也の様子を窺う。
(うーん。一応、仕事してるみたいだし、大丈夫かな?)
 さっきと打って変って、彼は真面目な顔をしてPCの画面を見つめていた。文音は警戒心を緩め、席へと戻る。定時まであと十分。手元の本に視線を移すと、文音は表紙に手を乗せた。と、その時、京也が横から声を割り込ませてきた。
「今更だけど、文音ちゃんの部屋って、全然モノがないんだな。テレビも電子レンジもない。何でなんだ?」
「え?」
 振り向くと、京也が頬杖をついて、ふっと笑った。どうやら、彼の興味は完全に移ったようだ。文音は警戒を解いた。
(京也さんが、わたしの面倒を見に、家に来たのって、二週間くらい前だっけ?)
 ほぼ毎日のように店で会い、それなりに会話していることを考えると、確かに話題にするには少し遅いのかもしれない。けれど、気になることでもなかったので、文音は普通に答えを口にした。
「そうですね。物を捨てる本を読んで、実行してみたらハマっちゃって」
「やるタイミングとかあったりするのか?」
「はい。気持ちを一度リセットして、新たに何か取り組もうとする時とか……」
「例えば、どういう時だったんだ?」
「例えば、ですか? 一番最近だと、会社を辞めた時ですかね。会社関係のものは全部捨てました」
「なるほど。で、その前は?」
「その前……ですか?」
 恋人と別れた時。その答えが脳裏に浮かんだ瞬間、文音はゆっくりと目を逸らしていった。
今の部屋に物がほとんどない一番の理由は、その時に全てを捨ててきたからだ。彼のことを思い出さないように、辛かった時の感情を呼び起こさないようにと、貴重品以外、全部処分した。
 そして、買い直す物も必要最低限にしたのだ。もちろん、独りで生きていくために倹約したのもある。けれどそれよりも、物があるとそれに紐付いて、彼との楽しかった時の記憶までもが甦ってしまう。それが余計に苦しくて、だから、ないと困る最低限の物しかないのだ。
「文音ちゃんって……恋人いるのか?」
 文音は思わず、京也を見た。
「こ、恋人……ですか?」
 いたら合鍵なんて渡さないだろう。そんな言葉が喉まで上がってきた。けれど、真っ直ぐな眼差しによって、その言葉は押し戻される。
「い、いえ。今は、いないです……」
 無意識に自分は本当のことを口にしていた。心臓が激しく音を立てている。
 京也は、視線をしっかりと捕らえたまま頬杖を止めると、身体をこっちに向けてきた。そして彼は、静かに口を開く。
「それなら、俺と付き合わないか」
「え……」
 一瞬、頭の中が真っ白になった。彼は一体、何を言っているのだろうか。そう思った直後、文音の口が動いた。
「まっ、また、そうやって京也さんは、わたしを揶揄おうとして。もう引っ掛かりませんから、そういうの」
「いや、俺は真面目に言ってる」
「信じません。だって、流れがおかしいです」
「流れ? 文音ちゃんに恋人はいない。だから交際を申し込んだ。どこかおかしなところあるか?」
「普通は、気持ちを伝えてからなんじゃないんですか?」
「普通? 普通って何だ? 俺、普通って言葉、嫌いなんだよな」
 京也の表情に少しだけ嫌悪の感情が現われる。初めて見せるその感情に、文音は真剣さ感じ取ると、小さく息を吐いてから彼と向かい合うようにして身体を動かした。
「どうして、わたしと付き合いたいと思ったんですか?」
「好きだから」
 京也がさらりとした口調で答えてくる。あまりにもさらっとした言い方に、文音は半信半疑で京也の顔を眺めた。
(嘘では、なさそう……だけど)
 それでも素直に受け止められない自分がいた。その原因はもちろん、彼ではなく自分の方にある。文音は、京也の左手首にあるシルバーのブレスレットに目を遣ってから、口を開いた。
「京也さんも、恋人はいないんですよね?」
「どういう意味だ?」
 京也が声を低くしてきた。彼の根が真面目なのは分かっている。けれど、どうしてもYESと言わなくてすむ理由を、自分は必死に探してしまうのだ。
「歌緒理さんとは、何もないんですか?」
「歌緒理?」
「すごく、仲が良いじゃないですか」
「ああ、アイツは俺の親友だからな」
 下唇に痛みを感じ始める。その痛みは徐々に強くなっていった。
 それでも文音は、黙っていることしか出来なかった。
「文音」
 不意に両肩を掴まれる。気づくと、唇の痛みは消え、真剣な面持ちの京也と目を合わせていた。
「これだけは言っておく。歌緒理とは恋愛関係になったことも、今後なることも絶対にない」
 まただ。彼はすべてに向き合ってくる。文音はもう、逃げるための言葉を口にすることが出来なかった。
「あ、いや、悪い。強く言い過ぎた。どうしても誤解だけはして欲しくなかったんだ」
 肩から手を離し、京也は片方の手で口元を覆うと、少しだけ視線を逸らした。自分が黙っていたのは彼の言葉を疑っていたからではない。ただ単に、逃げていただけなのだ。それなのに、彼は――。
(もしかしたら……。京也さんとなら、向き合えるのかな……)
 彼の真摯な態度を目にし、文音の心が揺れ動き始める。
「俺と付き合うのは、そんなに嫌か?」
 口元に添えていた手を下ろすと、京也は少しだけ眉根を寄せて聞いてきた。
「いえ……、嫌とかでは、ないんです……。ただ……」
「ただ?」
 自分だって京也のことが好きだ。素直にそう言えたなら、どんなにいいか。今だって言おうとした途端、恐怖が襲ってくるのだ。また大好きな人を傷つけてしまうかもしれない。身体のことを知ったら彼は告白したことを後悔するかもしれない、と。
 それならもう、今のままで良い。そんな心配をする位なら、このままで良い。
(……そう、わたしの京也さんへの想いは、まだその程度でおさまってる……)
 いつか本当のことを言わなくてはならない日が来るのなら、むしろ、今、言ってしまった方が、良いのではないだろうか。さっき彼が口にした想いだって、まだ比較的軽いように感じた。どうせ傷つくのであれば、傷は浅い方が良い。気持ちが高まってからでは、それこそ真実を告げるのは、もっと難しくなる。
「実は……」
 文音は言い掛けて口をつぐんだ。いざ話そうとしたところで、今度は恥ずかしさが襲ってきたのだ。俯いて逡巡する。と、両頬に温かな感触を覚えた。
「大丈夫だ、文音。大丈夫だから、言って、文音」
 優しげな京也の声に引かれ、文音の目が京也の瞳へと向かう。
 頬から伝わる彼の温もりも合わさって、一気に緊張が解れていった。
 ずっと胸に詰まらせていた言葉たちが、ゆっくりと外に流れ出ていく。
「わたし、性交痛がひどくて……それで、エッチが恐くて、もう出来ないんです」
 恥ずかしさを完全に消し去ることまでは出来ず、文音は少しだけ視線を落とした。
 沈黙が流れる。京也から、なかなか反応が返ってこない。
 恐る恐る視線を上げていくと、彼の口元に笑みが浮かんでいた。
 全く予想していなかった反応に、文音は混乱する。
「あの、……えっと、その……それが、あるので……もし、そういうことまでしたいのなら、わたしは止めておいた方がいいですよ。きっと、後悔することになりますから……」
「それだけか」
「え?」
「他に理由は、ないんだな」
「ないです……けど」
 もしかして彼は、理解していないのではないだろうか。そう思って、文音が説明しようとした途端、京也が先に言葉を口にした。
「もとからセックスが嫌いだった訳じゃないんだろう?」
「……は、はい」
 文音は、身体を縮こませるようにして答えた。
「じゃあ、問題ないな。OKってことで進めよう」
「え!? どこで問題ないってなったんですか」
 驚く文音に対して、京也は得意気な笑みを浮かべた。
「俺の知識からだ。あとは実際にやってみて、その結果から次の仮説を立てる。それから方法を考えては、また試す。それを繰り返していくだけだ。つまり、今のところの問題は、何もない」
 文音の目を見て、京也はきっぱりと言い切った。
(たしかに京也さんは、わたしの知らないことをいっぱい知ってたりするけど……)
 自分だって、それなりに関連の本を探しては調べてみた。それでも解決出来ていない問題なのだ。そんな問題に、彼を巻き込んでしまって本当に良いのだろうか。
「協力者が現れたんなら、乗っかった方が良くないか?」
 互いの鼻先が触れるくらいに顔を近づけて、京也が問いかけてくる。彼はクイズの答えを待っている時と同じような目をして、こっちを見つめていたのだった。
「……わかりました。京也さんからの申し出、ありがたくお受けします」
 少しはにかみながら文音がそう答えると、京也は何も言わずゆっくりと顔を離していった。
 彼の口角がニッと上がっているのが目に入る。その途端、嫌な予感が走った。
「よし、善は急げだ。この後、最初のチェックをしよう」
 タブレット型PCのカバーを閉じ、京也が嬉々とした様子で告げてくる。
「ちっ、ちぇっく?」
「ああ、調べないと」
 さも当然だろという表情をして京也は答えた。
「ど、どうやって……ですか?」
「どうやって? それは実際に触って確かめる以外にないだろ」
「あの、京也さん? わたし達、今日、付き合い始めたんですよね? 正確に言うと、今さっき」
「恋人としてはな。ちなみに言っておくと、アシスタントとして一緒に過ごしたのは、まだ一ヶ月位だが、少なくとも半年前にアシスタントとして来ないかと口説いた時点で、文音への気持ちはあった」
「え……」
「でもまぁ、無理強いはしたくないからな。文音の気持ちが固まってからでも――」
「やります」
 文音は、自分の膝の上に乗せてあった手を、ぎゅっと強く握り絞めた。
(本当なら、時間を掛けてからにしたいけど……)
 それこそ、自分はまた逃げようとしてしまうかもしれない。それに、彼は半年も自分のことを想ってくれていたのだ。その間にあった出来事を考えれば、もう充分だ。
 文音は京也の目を、真っ直ぐに見つめ返した。
「そしたら、次は場所だな。文音が一番、落ちつけるところが良いんだが……文音の家でいいか?」
「は、はい……」
「俺はこれから片付けをして、それから準備していく……と、そうだな、大体一時間後ぐらいか。文音は先帰ってシャワーでも浴びて、リラックスして待ってろ」
「わ、わかりました」
「ああ、そうだ。服装はこの前見せてくれたアレで、よろしく」
「……は、はい」
 京也との会話によって、自分がこれからすることを強く意識させられ、激しい動悸に襲われる。
「そんなに緊張するなよ。大丈夫だ」
 京也が微笑みを浮かべて頭を撫でてきた。文音の緊張は和らぐどころか、余計に高まっていく。
「じゃあ、あとでな」
 そう言うと、京也は文音の額に唇を寄せた。突然、進んだスキンシップに、文音は息を呑む。
(やっぱり京也さんは、こういうことに慣れているのかな……)
 文音は顔を真っ赤にしながら、ぎこちない動きで京也から離れると、急いで帰る支度を済ませ、自宅へと向かったのだった。
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