婚約破棄された研究令嬢の辺境開拓日誌~前世の知識で特効薬を作ったら、冷徹公爵様が過保護になり、国から泣きつかれました~

黒崎隼人

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第十八話:断罪の時、そして決別

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 王城の玉座の間。かつて私が断罪された、因縁の場所だ。
 今日、この場に立つ私とカイル様は、罪人ではない。国を救った英雄として、王の前に招かれたのだ。隣に立つカイル様は、少しも臆することなく、堂々とした態度で玉座を見据えている。
 玉座の前には、やつれ果てた国王と、そして顔面蒼白のアラン王太子が立っていた。大臣や貴族たちが、固唾をのんで私たちを見つめている。
 国王が、重々しく口を開いた。
「エリアーナ・フォン・クラウゼル嬢、並びにカイル・ヴァレリウス公爵。この度の働き、誠に見事であった。国を代表し、心より感謝申し上げる。そして……我が息子の愚かな行いにより、貴殿らに与えた苦痛、誠に申し訳なかった」
 国王が、深く頭を下げた。それに倣い、貴族たちも一斉に頭を下げる。
 その時、アランが私の前に進み出て、突然その場に膝をついた。
「エリアーナ……!すまなかった!私は、私が、愚かだったんだ!」
 彼は床に額をこすりつけ、土下座をした。
「君の言うことを信じず、君を傷つけ、追放してしまった。どうか、どうか許してほしい!そして、もう一度私の元へ……。君こそが、私の隣に立つべき妃だ。復縁してくれ!」
 必死の形相で、彼は私に復縁を迫った。その姿は滑稽で、哀れだった。
 私は、冷ややかに彼を見下ろし、静かに、しかしはっきりと告げた。
「お断りいたします、アラン殿下」
「なっ……!?」
「私の居場所は、過去に私を捨てた方の隣にはございません。私の居場所は、私を信じ、私を受け入れ、私の全てを守ってくれた……この方の隣だけです」
 そう言って、私は隣に立つカイル様の腕に、そっと自分の腕を絡めた。カイル様は、私の手を優しく握り返してくれる。
 アランは、絶望の表情でその光景を見つめていた。彼が失ったものが、どれほど大きかったのかを、今、骨身に染みて理解したのだろう。
 その後、リリアが玉座の間に引きずり出された。
「いやっ、離して!私は聖女よ!こんなこと、あんまりだわ!」
 彼女は最後まで見苦しくわめき散らしていたが、全ての嘘は暴かれ、聖女の称号も剥奪。平民に身分を落とされた上、二度とこの国に戻れぬよう、国外追放の処分が下された。
 これで、全てが終わった。
 私を苦しめた者たちは、その罪の代償を払った。
 私は、過去と完全に決別した。もはや、この王都に未練は何もない。
 私とカイル様は、後ろでまだ何かを叫んでいるアランに一瞥もくれることなく、背を向けて玉座の間を後にした。
 私たちの未来は、あの暖かく、希望に満ちた北の辺境にこそあるのだから。
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