5 / 16
第4話「氷の公爵と呪われた胃袋」
しおりを挟む
城での生活が始まって一週間。私の日常は劇的に変化していた。
かつての「罪人」という扱いはどこへやら、今では「厨房の救世主」あるいは「奇跡の料理番」として、使用人たちから崇められている。
朝はガストンと共にメニューを考案し、昼は温室の修復と薬草の栽培、そして夜はアレクセイのための特別な夕食作り。
私の作る薬膳料理は、城の人々の健康状態を著しく改善させていた。
肌艶が良くなり、誰もが活き活きと働いている。
スノーは片時も私のそばを離れず、私が移動するたびに銀色の尻尾を揺らしてついてくる。まるで大きな忠犬だ。
しかし、問題の核心であるアレクセイの呪いは、まだ完全には解けていなかった。
食事を摂れるようになり、顔色は良くなったものの、彼が時折見せる苦痛の表情は消えていない。
特に夜、城全体が冷気に包まれる頃、彼の魔力が不安定になり、体内の氷結が進行しているようだった。
ある夜、私は夜食のハーブティーを持って、アレクセイの私室へと向かった。
カモミールとラベンダー、それに安眠効果のある干した果実をブレンドしたものだ。
ノックをしようと手を上げた時、部屋の中から何かが砕けるような音がした。
続いて、苦しげな呻き声。
「くっ……鎮まれ……!」
私は躊躇わず扉を開けた。
「閣下!」
部屋の中は、まるで真冬の屋外のように凍てついていた。
床も壁も家具も、全てが分厚い氷に覆われている。
その中心で、アレクセイが胸を押さえて膝をついていた。
彼の体から青白い魔力が噴出し、制御を失って暴走している。
彼の右腕は肘まで氷に覆われ、それが徐々に肩へと侵食していた。
「来るな! 凍るぞ!」
アレクセイが叫ぶ。
その声は悲痛だった。
近づけば死ぬ。本能がそう告げている。
でも、ここで引くわけにはいかない。
私は盆を床に置き、一歩踏み出した。
肌を刺すような冷気。息をするだけで肺が凍りそうだ。
だが、不思議と恐怖はなかった。
私の体の中で、例の「熱」が呼応するように燃え上がったからだ。
『私の魔力は、治癒と浄化。そしてこの熱は、彼の氷を溶かすためのもの』
私は両手を広げ、彼に駆け寄った。
氷の風が私のドレスを切り裂くが、構わない。
私は凍りつきかけた彼の体を、正面から強く抱きしめた。
「なっ……! バカかお前は! 離れろ!」
「離しません! このままでは、貴方の心が凍ってしまいます!」
彼の体は氷塊のように冷たかった。
だが、私が触れた部分から、ジュッという音と共に氷が溶けていく。
私の体温と魔力が、彼の中に流れ込んでいくのがわかる。
暴れ狂う吹雪のような彼の魔力を、私の穏やかな魔力が包み込み、宥めていく。
「大丈夫です、アレクセイ様。私がいます。温かい料理も、温かいお茶も、私がいくらでも作ります。だから、一人で抱え込まないで」
私の言葉に、硬直していた彼の体がわずかに震えた。
侵食していた氷が止まり、やがて水となって床に滴り落ちる。
部屋を覆っていた冷気が、徐々に薄れていく。
「……お前は、本当に」
アレクセイの腕が、ためらいがちに私の背中に回された。
そして、強く、すがりつくように抱きしめ返される。
彼の顔が私の肩に埋められ、震える吐息がかかる。
「温かい……」
彼は譫言のように繰り返した。
私たちはしばらくの間、そのままでいた。
冷え切った部屋の中で、互いの体温だけが頼りだった。
やがて魔力の暴走が収まると、アレクセイは顔を上げ、私を見つめた。
その赤い瞳は、いつもの冷徹さではなく、どこか潤んでいるように見えた。
そして、彼は思いがけないことを口にした。
「……俺の専属になれ」
「え?」
「料理番だけではない。俺の側近として、常に傍にいろ。お前の料理と、その……体温がなければ、俺はもう生きていけないかもしれん」
それは事実上のプロポーズ……にしては実用本位すぎるが、彼なりの最大限のデレなのだろうか。
私は思わず吹き出してしまった。
「ふふ、胃袋を掴んだと思ったら、体温まで求められるとは思いませんでした」
「笑うな。俺は真剣だ」
彼は少し赤面しながら、咳払いをした。
「条件はどうだ? 王都へ帰りたいなら、力ずくでも帰してやるが」
「いいえ。私はここにいます。ここには私の居場所がありますし、何より……放っておけない患者さんがいますから」
「患者扱いか。……まあいい。契約成立だ」
そう言うと、彼は私の手を取り、甲に口づけを落とした。
その唇は、もう冷たくはなかった。
公爵様の不器用な契約の証。
心臓がトクトクと高鳴るのを感じながら、私は改めて彼を支える決意を固めた。
その翌日、城内の空気が一変した。
これまで「罪人」として一線を引かれていた私は、公爵公認の「特別補佐官」兼「専属料理長」という謎の役職を与えられ、誰もが私に敬意を払うようになったのだ。
何より変わったのはアレクセイだ。
彼は執務の合間に頻繁に厨房へ顔を出すようになり、「毒見」と称してはつまみ食いをしていく。
そして、私がスノーと遊んでいると、どこからともなく現れては無言で混ざろうとするようになった。
「閣下、お仕事は?」
「休憩だ。……その獣、撫でるとそんなに気持ちいいのか?」
「はい、最高ですよ。閣下もどうですか?」
アレクセイは恐る恐る手を伸ばし、スノーの頭を撫でた。
スノーは一瞬唸りそうになったが、私が目配せすると、我慢して撫でさせた。
「……悪くないな」
アレクセイは満足げに微笑んだ。
その笑顔は破壊力抜群で、通りかかったメイドたちが数人気絶しかけていた。
氷の公爵の雪解けは、予想以上のスピードで進んでいるようだった。
かつての「罪人」という扱いはどこへやら、今では「厨房の救世主」あるいは「奇跡の料理番」として、使用人たちから崇められている。
朝はガストンと共にメニューを考案し、昼は温室の修復と薬草の栽培、そして夜はアレクセイのための特別な夕食作り。
私の作る薬膳料理は、城の人々の健康状態を著しく改善させていた。
肌艶が良くなり、誰もが活き活きと働いている。
スノーは片時も私のそばを離れず、私が移動するたびに銀色の尻尾を揺らしてついてくる。まるで大きな忠犬だ。
しかし、問題の核心であるアレクセイの呪いは、まだ完全には解けていなかった。
食事を摂れるようになり、顔色は良くなったものの、彼が時折見せる苦痛の表情は消えていない。
特に夜、城全体が冷気に包まれる頃、彼の魔力が不安定になり、体内の氷結が進行しているようだった。
ある夜、私は夜食のハーブティーを持って、アレクセイの私室へと向かった。
カモミールとラベンダー、それに安眠効果のある干した果実をブレンドしたものだ。
ノックをしようと手を上げた時、部屋の中から何かが砕けるような音がした。
続いて、苦しげな呻き声。
「くっ……鎮まれ……!」
私は躊躇わず扉を開けた。
「閣下!」
部屋の中は、まるで真冬の屋外のように凍てついていた。
床も壁も家具も、全てが分厚い氷に覆われている。
その中心で、アレクセイが胸を押さえて膝をついていた。
彼の体から青白い魔力が噴出し、制御を失って暴走している。
彼の右腕は肘まで氷に覆われ、それが徐々に肩へと侵食していた。
「来るな! 凍るぞ!」
アレクセイが叫ぶ。
その声は悲痛だった。
近づけば死ぬ。本能がそう告げている。
でも、ここで引くわけにはいかない。
私は盆を床に置き、一歩踏み出した。
肌を刺すような冷気。息をするだけで肺が凍りそうだ。
だが、不思議と恐怖はなかった。
私の体の中で、例の「熱」が呼応するように燃え上がったからだ。
『私の魔力は、治癒と浄化。そしてこの熱は、彼の氷を溶かすためのもの』
私は両手を広げ、彼に駆け寄った。
氷の風が私のドレスを切り裂くが、構わない。
私は凍りつきかけた彼の体を、正面から強く抱きしめた。
「なっ……! バカかお前は! 離れろ!」
「離しません! このままでは、貴方の心が凍ってしまいます!」
彼の体は氷塊のように冷たかった。
だが、私が触れた部分から、ジュッという音と共に氷が溶けていく。
私の体温と魔力が、彼の中に流れ込んでいくのがわかる。
暴れ狂う吹雪のような彼の魔力を、私の穏やかな魔力が包み込み、宥めていく。
「大丈夫です、アレクセイ様。私がいます。温かい料理も、温かいお茶も、私がいくらでも作ります。だから、一人で抱え込まないで」
私の言葉に、硬直していた彼の体がわずかに震えた。
侵食していた氷が止まり、やがて水となって床に滴り落ちる。
部屋を覆っていた冷気が、徐々に薄れていく。
「……お前は、本当に」
アレクセイの腕が、ためらいがちに私の背中に回された。
そして、強く、すがりつくように抱きしめ返される。
彼の顔が私の肩に埋められ、震える吐息がかかる。
「温かい……」
彼は譫言のように繰り返した。
私たちはしばらくの間、そのままでいた。
冷え切った部屋の中で、互いの体温だけが頼りだった。
やがて魔力の暴走が収まると、アレクセイは顔を上げ、私を見つめた。
その赤い瞳は、いつもの冷徹さではなく、どこか潤んでいるように見えた。
そして、彼は思いがけないことを口にした。
「……俺の専属になれ」
「え?」
「料理番だけではない。俺の側近として、常に傍にいろ。お前の料理と、その……体温がなければ、俺はもう生きていけないかもしれん」
それは事実上のプロポーズ……にしては実用本位すぎるが、彼なりの最大限のデレなのだろうか。
私は思わず吹き出してしまった。
「ふふ、胃袋を掴んだと思ったら、体温まで求められるとは思いませんでした」
「笑うな。俺は真剣だ」
彼は少し赤面しながら、咳払いをした。
「条件はどうだ? 王都へ帰りたいなら、力ずくでも帰してやるが」
「いいえ。私はここにいます。ここには私の居場所がありますし、何より……放っておけない患者さんがいますから」
「患者扱いか。……まあいい。契約成立だ」
そう言うと、彼は私の手を取り、甲に口づけを落とした。
その唇は、もう冷たくはなかった。
公爵様の不器用な契約の証。
心臓がトクトクと高鳴るのを感じながら、私は改めて彼を支える決意を固めた。
その翌日、城内の空気が一変した。
これまで「罪人」として一線を引かれていた私は、公爵公認の「特別補佐官」兼「専属料理長」という謎の役職を与えられ、誰もが私に敬意を払うようになったのだ。
何より変わったのはアレクセイだ。
彼は執務の合間に頻繁に厨房へ顔を出すようになり、「毒見」と称してはつまみ食いをしていく。
そして、私がスノーと遊んでいると、どこからともなく現れては無言で混ざろうとするようになった。
「閣下、お仕事は?」
「休憩だ。……その獣、撫でるとそんなに気持ちいいのか?」
「はい、最高ですよ。閣下もどうですか?」
アレクセイは恐る恐る手を伸ばし、スノーの頭を撫でた。
スノーは一瞬唸りそうになったが、私が目配せすると、我慢して撫でさせた。
「……悪くないな」
アレクセイは満足げに微笑んだ。
その笑顔は破壊力抜群で、通りかかったメイドたちが数人気絶しかけていた。
氷の公爵の雪解けは、予想以上のスピードで進んでいるようだった。
92
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女レイチェルは国外追放されて植物たちと仲良く辺境地でサバイバル生活します〜あれ、いつのまにかみんな集まってきた。あの国は大丈夫かな
よどら文鳥
恋愛
「元聖女レイチェルは国外追放と処す」
国王陛下は私のことを天気を操る聖女だと誤解していた。
私レイチェルは植物と対話したり、植物を元気にさせたりする力を持っている。
誤解を解こうとしたが、陛下は話すら聞こうとしてくれない。
聖女としての報酬も微々たる額だし、王都にいてもつまらない。
この際、国外追放されたほうが楽しそうだ。
私はなにもない辺境地に来て、のんびりと暮らしはじめた。
生きていくのに精一杯かと思っていたが、どういうわけか王都で仲良しだった植物たちが来てくれて、徐々に辺境地が賑やかになって豊かになっていく。
楽しい毎日を送れていて、私は幸せになっていく。
ところで、王都から植物たちがみんなこっちに来ちゃったけど、あの国は大丈夫かな……。
【注意】
※この世界では植物が動きまわります
※植物のキャラが多すぎるので、会話の前『』に名前が書かれる場合があります
※文章がご都合主義の作品です
※今回は1話ごと、普段投稿しているよりも短めにしてあります。
悪役令嬢の烙印を押され追放されましたが、辺境でたこ焼き屋を開業したら、氷血公爵様が常連になりました
緋村ルナ
ファンタジー
公爵令嬢オリヴィアは、身に覚えのない罪で「悪役令嬢」の烙印を押され、王太子である夫から離婚と追放を言い渡される。絶望の淵で彼女が思い出したのは、大阪出身のOLだった前世の記憶と、こよなく愛した「たこ焼き」の味だった!
「こんな茶番、付き合ってられるか!私は私の道を行く!」
追放先の極寒の辺境で、たくましく自給自足生活を始めた彼女は、未知の食材でたこ焼きの再現に奮闘する。そんな彼女の前に現れたのは、「氷血公爵」と恐れられる無愛想な領主レオニール。
外はカリッ、中はトロッ…渾身のたこ焼きは、氷の公爵様の胃袋と心をあっという間に溶かしてしまい!?
これは、理不尽に全てを奪われた令嬢が、一皿の料理から始まる奇跡で自らの幸せを掴み取り、最強の無愛想ヒーローに胃袋ごと愛される、痛快逆転グルメ・ラブストーリー!
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
「女のくせに強すぎて可愛げがない」と言われ婚約破棄された追放聖女は薬師にジョブチェンジします
紅城えりす☆VTuber
恋愛
*毎日投稿・完結保証・ハッピーエンド
どこにでも居る普通の令嬢レージュ。
冷気を放つ魔法を使えば、部屋一帯がや雪山に。
風魔法を使えば、山が吹っ飛び。
水魔法を使えば大洪水。
レージュの正体は無尽蔵の魔力を持つ、チート令嬢であり、力の強さゆえに聖女となったのだ。
聖女として国のために魔力を捧げてきたレージュ。しかし、義妹イゼルマの策略により、国からは追放され、婚約者からは「お前みたいな可愛げがないやつと結婚するつもりはない」と婚約者破棄されてしまう。
一人で泥道を歩くレージュの前に一人の男が現れた。
「その命。要らないなら俺にくれないか?」
彼はダーレン。理不尽な理由で魔界から追放された皇子であった。
もうこれ以上、どんな苦難が訪れようとも私はめげない!
ダーレンの助けもあって、自信を取り戻したレージュは、聖女としての最強魔力を駆使しながら薬師としてのセカンドライフを始める。
レージュの噂は隣国までも伝わり、評判はうなぎ登り。
一方、レージュを追放した帝国は……。
追放先の辺境で前世の農業知識を思い出した悪役令嬢、奇跡の果実で大逆転。いつの間にか世界経済の中心になっていました。
緋村ルナ
ファンタジー
「お前のような女は王妃にふさわしくない!」――才色兼備でありながら“冷酷な野心家”のレッテルを貼られ、無能な王太子から婚約破棄されたアメリア。国外追放の末にたどり着いたのは、痩せた土地が広がる辺境の村だった。しかし、そこで彼女が見つけた一つの奇妙な種が、運命を、そして世界を根底から覆す。
前世である農業研究員の知識を武器に、新種の果物「ヴェリーナ」を誕生させたアメリア。それは甘美な味だけでなく、世界経済を揺るがすほどの価値を秘めていた。
これは、一人の追放された令嬢が、たった一つの果実で自らの運命を切り開き、かつて自分を捨てた者たちに痛快なリベンジを果たし、やがて世界の覇権を握るまでの物語。「食」と「経済」で世界を変える、壮大な逆転ファンタジー、開幕!
追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。
絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」!
畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。
はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。
これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!
追放された悪役令嬢が前世の記憶とカツ丼で辺境の救世主に!?~無骨な辺境伯様と胃袋掴んで幸せになります~
緋村ルナ
ファンタジー
公爵令嬢アリアンナは、婚約者の王太子から身に覚えのない罪で断罪され、辺境へ追放されてしまう。すべては可憐な聖女の策略だった。
絶望の淵で、アリアンナは思い出す。――仕事に疲れた心を癒してくれた、前世日本のソウルフード「カツ丼」の記憶を!
「もう誰も頼らない。私は、私の料理で生きていく!」
辺境の地で、彼女は唯一の武器である料理の知識を使い、異世界の食材でカツ丼の再現に挑む。試行錯誤の末に完成した「勝利の飯(ヴィクトリー・ボウル)」は、無骨な騎士や冒険者たちの心を鷲掴みにし、寂れた辺境の町に奇跡をもたらしていく。
やがて彼女の成功は、彼女を捨てた元婚約者たちの耳にも届くことに。
これは、全てを失った悪役令嬢が、一皿のカツ丼から始まる温かい奇跡で、本当の幸せと愛する人を見つける痛快逆転グルメ・ラブストーリー!
「君の魔力はゴミだ」と婚約破棄された聖女ですが、拾われた先の辺境で氷の公爵様に溺愛されています。今さら国が滅びそうと言われても知りません
eringi
恋愛
「エミリア、貴様との婚約を破棄する! 魔力ゼロの能無し聖女など、我が国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエミリアは、ある日突然、第一王子から婚約破棄を言い渡される。
彼が選んだのは、派手な魔法を使うだけの男爵令嬢だった。
身に覚えのない濡れ衣を着せられ、着の身着のまま極寒の辺境へ追放されてしまったエミリア。
雪の中で行き倒れかけた彼女を救ったのは、「氷の死神」と恐れられる辺境伯・アレクセイ公爵だった。
「……美しい。君が咲かせた花は、こんなにも温かいのか」
恐ろしい噂とは裏腹に、彼は不器用ながらもエミリアを全力で甘やかしてくる。
しかも、エミリアの魔力は「ゴミ」どころか、大地を癒やし作物を実らせる、国にとって必要不可欠な『豊穣の聖女』の力だったのだ。
美味しいご飯に、温かい暖炉、そして優しい公爵様。
辺境でのスローライフを満喫するエミリアの一方で、彼女を追放した王都では作物が枯れ果て、疫病が蔓延し、国家存亡の危機に陥っていた。
「エミリア、頼むから戻ってきてくれ!」
「いいえ。私はこちらの領地で幸せになりますので、さようなら」
これは、虐げられていた聖女が本当の愛を知り、幸せを掴むまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる