6 / 18
第4話:二人のための、温かい我が家
しおりを挟む
俺とルナが新たな生活の場として選んだのは、王都から遠く離れた辺境の町「アークライト」。なだらかな丘と豊かな森に囲まれた、のどかで平和な町だった。
ここに来るまでの道中、襲ってきた魔物を【分解】して得た魔石や、生成したインゴットを換金して作った資金で、俺たちは町の外れにある、長年放置され、廃屋同然となっていたボロ家を二束三文で買い取った。
壁は蔦に覆われ、屋根には少し穴が開いていたが、二人で暮らすには十分な広さだった。
「ここが、今日から私たちの家ですね、ベルク様」
ルナは、嬉しそうに家を見上げている。彼女の笑顔を見ていると、俺の心も温かくなる。
「ああ。少しずつ、住みやすいように直していこう」
その日から、俺たちの穏やかな新生活が始まった。
俺はスキルを使って、家の修繕に取り掛かった。古くなった木材を【分解】して不純物を取り除き、より丈夫な建材へと【再構築】する。屋根の穴を塞ぎ、きしむ床を張り替え、壁の隙間を埋めていく。
家具もすべて俺の手作りだ。森で拾ってきた木々を【分解】し、温かみのあるテーブルや椅子、ふかふかの寝心地のベッドを【再構築】した。ルナはそれを見て、「ベルク様は魔法使いのようですね」と目を輝かせていた。
俺が家のことに集中している間、ルナは庭で薬草を育て始めた。聖女である彼女が触れると、ただの薬草も驚くほどの薬効を持つようになる。彼女が作ったポーションや塗り薬は、町の診療所のどんな薬よりも効果が高かった。
最初は遠巻きに見ていた町の人々も、俺たちが壊れた農具を直したり、ルナがケガ人を癒したりするうちに、少しずつ心を開いてくれるようになった。
「ベルクさん、いつもありがとうよ。あんたが直してくれたクワのおかげで、畑仕事が捗って仕方ないわ」
「ルナ様、この前の火傷、すっかり綺麗になりました。本当に女神様みたいだ」
町の人々から向けられる感謝の言葉と、温かい笑顔。それは、勇者パーティーで虐げられてきた俺にとって、初めて経験する宝物のような時間だった。誰かに必要とされ、感謝されることが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかった。
ルナもまた、奴隷として虐げられていた過去の傷を癒し、心の底からの安らぎを得ているようだった。彼女が淹れてくれるハーブティーを飲みながら、他愛のない話をする。そんな何気ない日常が、俺にとってはかけがえのない幸せだった。
ある日の夕食後、俺たちは暖炉の火を眺めながら話していた。
「ベルク様。私、今、本当に幸せです」
ルナが、うっとりとした表情でつぶやく。
「俺もだよ、ルナ。君がいてくれるからだ」
「いいえ。ベルク様が私を救ってくださったからです。この家も、この生活も、すべてベルク様が与えてくださったもの……。私、もっとベルク様のお役に立ちたいです」
「十分すぎるくらい、役に立ってくれてるよ」
「でも……」
健気な彼女の言葉に、俺は決意を新たにした。そうだ、もっとルナを幸せにしたい。この穏やかな生活を、何者にも脅かされない盤石なものにしたい。
そのためには、もっと金が必要だ。安定した収入源を確保しなければ。
俺は、自分のスキルを本格的に活かすことを決めた。この【分解】と【再構築】の力を使えば、普通の職人にはできないことができるはずだ。
翌日、俺は町の冒険者ギルドへ向かった。戦闘依頼を受けるつもりはない。俺が探しているのは、生産職向けの依頼だ。
掲示板を眺めていると、ひときわ目を引く一枚の依頼書が貼られていた。高額な報酬が設定されているが、あまりの難易度の高さに、もう何か月も誰も手をつけずにいるらしい。
その依頼内容は、こうだった。
『領主の家宝“星砕きの剣”の修復依頼。刀身は真っ二つに折れ、魔力も失われている。これを完璧に修復できた者には、金貨百枚を支払う』
真っ二つに折れた伝説の剣。普通の鍛冶師なら、溶接して繋ぎ合わせるのが関の山だろう。それでは、元の性能には遠く及ばない。
だが、俺なら。
「……これだ」
俺は、その依頼書を剥がして受付へと持っていった。この依頼を達成すれば、俺の職人としての名声と、安定した生活の礎を築けるはずだ。ルナとの未来のために。
ここに来るまでの道中、襲ってきた魔物を【分解】して得た魔石や、生成したインゴットを換金して作った資金で、俺たちは町の外れにある、長年放置され、廃屋同然となっていたボロ家を二束三文で買い取った。
壁は蔦に覆われ、屋根には少し穴が開いていたが、二人で暮らすには十分な広さだった。
「ここが、今日から私たちの家ですね、ベルク様」
ルナは、嬉しそうに家を見上げている。彼女の笑顔を見ていると、俺の心も温かくなる。
「ああ。少しずつ、住みやすいように直していこう」
その日から、俺たちの穏やかな新生活が始まった。
俺はスキルを使って、家の修繕に取り掛かった。古くなった木材を【分解】して不純物を取り除き、より丈夫な建材へと【再構築】する。屋根の穴を塞ぎ、きしむ床を張り替え、壁の隙間を埋めていく。
家具もすべて俺の手作りだ。森で拾ってきた木々を【分解】し、温かみのあるテーブルや椅子、ふかふかの寝心地のベッドを【再構築】した。ルナはそれを見て、「ベルク様は魔法使いのようですね」と目を輝かせていた。
俺が家のことに集中している間、ルナは庭で薬草を育て始めた。聖女である彼女が触れると、ただの薬草も驚くほどの薬効を持つようになる。彼女が作ったポーションや塗り薬は、町の診療所のどんな薬よりも効果が高かった。
最初は遠巻きに見ていた町の人々も、俺たちが壊れた農具を直したり、ルナがケガ人を癒したりするうちに、少しずつ心を開いてくれるようになった。
「ベルクさん、いつもありがとうよ。あんたが直してくれたクワのおかげで、畑仕事が捗って仕方ないわ」
「ルナ様、この前の火傷、すっかり綺麗になりました。本当に女神様みたいだ」
町の人々から向けられる感謝の言葉と、温かい笑顔。それは、勇者パーティーで虐げられてきた俺にとって、初めて経験する宝物のような時間だった。誰かに必要とされ、感謝されることが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかった。
ルナもまた、奴隷として虐げられていた過去の傷を癒し、心の底からの安らぎを得ているようだった。彼女が淹れてくれるハーブティーを飲みながら、他愛のない話をする。そんな何気ない日常が、俺にとってはかけがえのない幸せだった。
ある日の夕食後、俺たちは暖炉の火を眺めながら話していた。
「ベルク様。私、今、本当に幸せです」
ルナが、うっとりとした表情でつぶやく。
「俺もだよ、ルナ。君がいてくれるからだ」
「いいえ。ベルク様が私を救ってくださったからです。この家も、この生活も、すべてベルク様が与えてくださったもの……。私、もっとベルク様のお役に立ちたいです」
「十分すぎるくらい、役に立ってくれてるよ」
「でも……」
健気な彼女の言葉に、俺は決意を新たにした。そうだ、もっとルナを幸せにしたい。この穏やかな生活を、何者にも脅かされない盤石なものにしたい。
そのためには、もっと金が必要だ。安定した収入源を確保しなければ。
俺は、自分のスキルを本格的に活かすことを決めた。この【分解】と【再構築】の力を使えば、普通の職人にはできないことができるはずだ。
翌日、俺は町の冒険者ギルドへ向かった。戦闘依頼を受けるつもりはない。俺が探しているのは、生産職向けの依頼だ。
掲示板を眺めていると、ひときわ目を引く一枚の依頼書が貼られていた。高額な報酬が設定されているが、あまりの難易度の高さに、もう何か月も誰も手をつけずにいるらしい。
その依頼内容は、こうだった。
『領主の家宝“星砕きの剣”の修復依頼。刀身は真っ二つに折れ、魔力も失われている。これを完璧に修復できた者には、金貨百枚を支払う』
真っ二つに折れた伝説の剣。普通の鍛冶師なら、溶接して繋ぎ合わせるのが関の山だろう。それでは、元の性能には遠く及ばない。
だが、俺なら。
「……これだ」
俺は、その依頼書を剥がして受付へと持っていった。この依頼を達成すれば、俺の職人としての名声と、安定した生活の礎を築けるはずだ。ルナとの未来のために。
45
あなたにおすすめの小説
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
婚約破棄された「無能」聖女、拾った子犬が伝説の神獣だったので、辺境で極上もふもふライフを満喫します。~捨てた国が滅びそう?知りません~
ソラ
ファンタジー
「エリアナ、貴様との婚約を破棄し、この国から追放する!」
聖女としての魔力を使い果たし、無能と蔑まれた公爵令嬢エリアナ。
妹に婚約者を奪われ、身一つで北の最果て、凍てつく「死の森」へと捨てられる。
寒さに震え死を覚悟した彼女が出会ったのは、雪に埋もれていた一匹の小さなしっぽ。
「……ひとりぼっちなの? 大丈夫、私が温めてあげるわ」
最後の手向けに、残されたわずかな浄化の力を注いだエリアナ。
だが、その子犬の正体は――数千年の眠りから目覚めた、世界を滅ぼす伝説の神獣『フェンリル』だった!
ヒロインの淹れるお茶に癒やされ、ヒロインのブラッシングにうっとり。
最強の神獣は、彼女を守るためだけに辺境を「極上の聖域」へと作り替えていく。
一方、本物の聖女(結界維持役)を失った王国では、災厄が次々と降り注ぎ、崩壊の危機を迎えていた。
今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくる王子たち。
けれど、エリアナの膝の上には、甘えん坊の神獣様(執着心MAX)が陣取っていて――。
「聖女の仕事? いえ、今は神獣様とのお昼寝の方が忙しいので」
無自覚チートな聖女と、彼女にだけはデレデレな神獣様による、逆転溺愛スローライフが幕を開ける!
異世界ショコラティエの甘い革命~チョコレートが存在しない世界でカカオを育ててバレンタインを流行らせます~
黒崎隼人
ファンタジー
【2月14日はバレンタイデー!】
現代日本でパティシエを目指していた記憶を持つ少年ルカは、貧しい農村の三男坊として異世界に転生した。しかし、そこは「チョコレート」が存在しない世界だった!
砂糖はある、ミルクもある。けれど、あの芳醇で甘美な黒い宝石だけがない。
「ないのなら、作るしかない」
ルカは森の奥で嫌われ者の「オニノミ」がカカオの原種であることを見抜き、独自に栽培を開始する。発酵、乾燥、焙煎――前世の知識と魔法を駆使して、ついに完成した「ショコラ」。その味は、粗悪な菓子しか知らなかった異世界の人々に衝撃を与え、やがて頑固な父、商魂たくましい商人、そして厳格な領主や宗教家までも巻き込んでいく。
これは、甘いお菓子で世界を変える、少年のサクセスストーリー。
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる