姫様従者と王子様

花夜

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プロローグ

黎明

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明かりもつけず、真っ暗な部屋に1人の少女がいた。

 少女の名はユリフィア・アーシュガイン。

 ーーユリフィアはその部屋の隅でうずくまる。

 周りの景色はいつもと変わらない。

 ただ暗闇の中に机と椅子、それから寝台があるだけの殺風景な部屋だ。

 ここらから出たい!

 自由になりたい!!

 ……そう心は叫んでいる。

 あぁ、あの空に飛び出したい…って空!?

 真っ暗だった部屋にいつの間にか真昼の空が顔を覗かせていた。

 天井にポッカリと大きな穴が開いている。

 ユリフィアは不思議な気持ちで光差すもとまで行った。

 久しぶりの陽光に思わず目を閉じる。

 そしてまた、ゆっくりと瞼を開いた。

 そこにあるのは正真正銘の空だ。

 夢でもいい、あの空へ飛び立ちたい!!

 その時、バサリッと空を切る音が響いた。

 振り返り、鏡を見ると白く大きな翼が己の背から生えているではないか。

 羽根!?天使??これは…夢??

 現実では魔法を用いてもありえない事だ。

 その翼は何度か羽ばたいた後、ユリフィアの意思に応えるように思い切り空へと飛び出したーー…。




 ドテンと派手な音を立てて、ユリフィアはベッドから落ちた。

「いった~いっ!」

 床に腰を強かに打ち付けてしまい思わず叫ぶ。

 それにしても先ほどの夢は何だったのだろうか? 何かの暗示?? だとしたら良い夢だった。

 何故かって?

 それは私が今日家出をするから。

 と言っても、ユリフィアの場合はカナリ難しい家出だ。

 普通に正面から出れば直ぐにバレてしまい、連れ戻されてしまう。

 そこで考えた結果が、夜中に窓から抜け出すと言う割と古典な方法。

 我ながら妙案だと思うーーが、少し失敗したのも事実だった。

 出発はどうせ夜中だと安心して仮眠していたのだが…目覚めた時にはもう朝方だったのだ。

「ありゃりゃ、少し眠りすぎちゃったかも」

 部屋には自分以外誰もいないので、1人呟く。

 まぁいいか、とまた呟き急いで行動に移る。

 早くしないと家の者たちが起きる時間だ。

 手早く荷物をまとめる。

 荷物と言っても小さな鞄にお金と必要最低の物を詰め込んだだけの簡素なものである。

 それからネグリジェを脱ぎ捨て、動きやすい普段着に着替えた。

 その後、己の長い金髪をツインテールに結い上げ、仕上げに愛用のレイピアを腰に差す。

 よし、準備万端だ!

 後は窓から下りるだけ……あらかじめくすねていたロープをしっかりと部屋の柱に結びつける。

 ここから地上までの距離は約20メートル。

 常人なら躊躇われる高さだが、生憎とユリフィアは“普通”ではなかった。

 顔に似合わず大胆な性格で、しかも運動神経がズバ抜けて良い。

 猫のように軽やかにロープを伝い、あっという間に地に降り立った。

 魔法を使えば1発なのだが…生憎とこの城には魔術に反応する結界が張り巡らされているのだ。

(小さい魔法でも使おうものならユリウスが飛んできちゃう) 

ここを出るまでは注意しなきゃ!

 今からが本番。





  そう、私の家出はここから始まったのだーー…。






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