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序章
着信
しおりを挟む『お前なんか本気で好きになる訳ないだろ!』
この人となら本気の恋愛ができる。
そう思っていたのに…。
(やっぱり私のことなんて、誰も好きになってくれないよね…)
私はどう足掻いても桜花のおまけで、私のことを見てくれる人はいなかった。
(貴方となら大丈夫だと思ったんだけどな…)
今しがた別れた彼のことを思い浮かべる。
不思議と涙は溢れてこなかった。
こんなにも心は傷ついているのに。
この世の全てに絶望した気分だった。
ピリリリッ。
着信を知らせる電子音が響く。
今は誰とも話たくなかった。
けれど、その音は止むことなく鳴り響き、私はため息をつきながら通話ボタンを押す。
『…はい』
『もしもし、麗央!?大変なの、桜花がっ!!』
電話の相手は親友の真奈だった。
普段冷静な彼女がカナリ焦っていて、ただ事ではないと知る。
『桜花がどうしたの?』
出来れば今一番聞きたくない名前だ。
『例の女子グループに絡まれていたらしくて…しかも今回は刃物とかも平気で使うヤバイ人達と一緒だったって!』
『え!?それ、本当?』
『うん。さすがにヤバイかもと思って…』
『ありがとう。ちなみに桜花達がどこに向かったかわかる?』
『町の方へ向かったらしいけれど、詳しいことは…』
ごめんなさい、と真奈は暗い声で言った。
『わかった。ちょうど近くにいるし、探してみる。教えてくれてありがとね』
『麗央…。気をつけてね』
『大丈夫よ。桜花を見つけたら直ぐにズラかるから』
心配でたまらないという真奈にそう言って、私は憎くても見捨てることの出来ない従姉妹殿を探す為に走り出した。
これが真奈との最後の会話となるとも知らずに…。
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