とある少女の受難

花夜

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序章

転生

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『ごめんなさい!!』

 土下座する勢いでリュミエールが 頭こうべを下げた。

『代わりにと言ってはなんですが、別の世界へと転生させるのでそれで手を打ってもらえませんか?』

 およそ神とは思えぬ物言いにぽかんとしてしまう。

「……悪くない話ね」

 それまで黙っていた桜花がにやりと黒い笑みを浮かべた。

「当然、こちらの要求ものんで頂けるのよね?」

『出来る限りのことでしたら…』

「桜花!?」

 戸惑いながら彼女を呼ぶが、それは無視される。

「まず、別の世界ってどんなところなの?」

『そうですね。中世の王侯貴族時代をモチーフにした世界、という説明がしっくりくる所です』

「そう。じゃあ、とりあえずそこには私と麗央を姉妹として転生させて」

『同じ世界、しかも姉妹としてでよろしいのですか?臨むのなら別々の転生も出来ますよ?』

「いいの。絶対に2人一緒に転生させて!」

 麗央が口を挟む間も無く、勝手に話が進んでいく。

『分かりました。では、覚悟が決まり次第あちらのゲートをくぐって下さい』

 リュミエールが指差した先には光で出来たゲートが用意されていた。

 何一つ納得していないが、どうやら転生は決定事項で、次の世界でも桜花とは離れられないらしい。

 深呼吸をして覚悟を決める。

 もともと麗央は男並みにさっぱりとした性格だった。  

 女神様の手違いと言っても、元々は道路へと飛び出した自分が悪いのだ。

 亡くなって直ぐだというのに、もう次の世界へと飛び立てるのは有難いことなのかもしれない。

「女神様、私からも一ついいでしょうか」

『ええ、もちろんです』

「転生しても私の記憶はそのままにしてもらえませんか?それと…桜花の記憶は消して下さい」

 最後のは言おうか迷ったけれど、思い切って告げた。

「ちょっと、麗央ちゃん!?」

『分かりました。必ずそのようにしましょう』

 これで桜花の病気ーー男を食い荒らす所業のことーーが治れば、今度こそ運命の相手を見つけることができるはず。

 それにもし発病しても私の記憶があれば対処できる。

 死してなお、手の掛かる従姉妹だと思いつつ、そんな彼女を見放すことのできない損な性格だと自覚はあった。

(まぁ、今更治らないかなぁ)

「麗央ちゃん、勝手なこと言わないでよ!」

「桜花だって勝手に決めてたじゃん。お互い様だよ」

「でもっ!」

 尚も言い募ろうとする彼女に背を向け、

「よろしくお願いします」

 と女神様へお辞儀をし、そして光のゲートへと足を向けた。

 
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