とある少女の受難

花夜

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序章

ふざけるな!

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 次に目を覚ますと、そこは見知らぬ地だった。

 目の前には穏やかに笑う美しい女性と何故か桜花がいた。

「えっ?」

「おはよう。遅いお目覚めね、麗央ちゃん」

 あれ?さっきまでのは…夢!?

『夢ではありません。貴女はあの日、あの時亡くなりました』

 美しい女性が見た目に反しない優しい声音で告げた。

「…でも、だったら何故 桜花がここにいるの?」

 誰に言うでもなく呟く。

 トラックに轢かれた直後はたぶん生きていたはず。

(私は即死レベルだったけど…)

「私もね、死んじゃったから。麗央ちゃんのグロい姿を見せられて呆然としているところを、後ろからナイフでグサリと」

 まるで他人事のように桜花は語った。

「痛かったわ。まったく、たかが男を取られたくらいで人を殺す?」

 死んだからと彼女の性格は変わらない。

「いやぁー、さすがに毎回好きになった人をとられるのは堪えるんじゃないかな…」

 桜花は嫌がらせのように例の女生徒達の周りの男を食い荒らしていた。

「あら、くだらないちょっかいを掛けてくるあの人達が悪いのよ。やられたら、それ以上で返すって決めているの。知っているでしょ?」

 彼女と話をしていると、死ぬ直前まで考えていた彼のことや、彼女に対する恨み辛みもどうでもよくなってくる。

 はぁ、とため息をつきつつ、亡くなったはずの私達2人がなぜこんなところにいるのかという疑問を思い出す。

 そして黙ってやりとりを見ていた女性へと向き直った。

「あの…失礼ですが、そもそも貴女は誰ですか?」

 麗央の質問も最もだろう。

 この場で知らぬ者はその人のみなのだから。

『ふふ、まだ名乗っていませんでしたね。わたくしはリュミエール。いわゆる神的存在です』

 その発言に桜花と2人、目が点になった。

『信じようと信じまいとそれが事実です』

 にこやかに、けれどキッパリと自称女神リュミエールは言い切った。

「えっと…戸惑いはありますが、女神様が私達に何用でしょう?」

『…貴女方の寿命についてなのですが…実はまだ残っていたのです』

「「えっ!?」」

 突然の爆弾発言に2人して聞き返す。

『えーっと、ぶっちゃけまして。こちらの手違いで魂を回収しちゃったのです』

 雰囲気をガラリと変え、リュミエールはてへっと可愛らしく舌を出した。

(いやいやいやいや!手違いってなんじゃそりゃ、ふざけるな!!)

 心の叫びが聞こえたのか、女神は弁解するように口を開いた。

『しょうがないじゃないですか!神だって間違えるのです。こう、手元が…ねぇ?』

「ふざけるな!」

 今度は口に出してそう叫んだ。


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