『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』

葉月奈津・男

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レーディング15(R15)・表現深化バージョン~刺激的な表現を含みます

第42話 レアモンス ~カエル、妖怪になる~ 後編

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 さて。
 そうなると・・・。

 「なるべく、『ポイント』を使わないでレアなモンスターを作りたいんだけど。効率よく作る方法ってある?」
 強力なモンスターを作るのは当然として、『ポイント』消費は抑えたい。

 『現存するモノを利用する方法があります。現有のモンスターやアイテム、『お客様』でも可能ですね』
 「え?」
 ちょっと待て。
 『お客様』って人間のことだよな?

 「倒した『お客様』を素材にするのか?」
 『肉体の再利用や既存の能力付与、思考力の形成など。生成工程を簡略化できるため効率的です』
 「それ。作ったあとで反抗されないか?」
 効率的というのは理解可能だけど、それはつまり殺した相手を改造して復活させるってことであるわけだから、起こり得るよな?

 『敵対行動の禁止を刻み込めば危険はありません』
 「ああ。そうか」
 ちらりとカエル女、仁科悠ちゃんの顔を見る。
 こんな状態にされているが恨めし気に睨まれるだけで済んでいるのは、反抗行為が禁止だからだ。
 
 感情や意識は自由なのに、実際の行動には移せない状態。
 これを、前提として刷り込んだうえでモンスターにすればいいわけだ。

 「ためしに、悠ちゃんから変えてみようかな?」
 「えっ?」
 ギクッて顔で、後ろに飛んでいく。

 「わ、わたし、い、生きてるよ。い、一応かもだけど!」
 焦ったように反論してきた。

 「あ。生きてるとダメなのかな?」
 『ダンジョン内のモノとして認定されている必要があります。意識レベルがある程度まで減衰しているなどの条件をクリアしていれば問題ありません。彼女の場合は、意識の根幹に『再生虫』が入り込んでいるため可能です』
 「できるってさ」
 「ひっ、ひぃぃぃぃ!」
 
 「でも、虫かぁ。なにかなりたい虫っている?」
 聞くと、ブンブン首を振られた。
 いないらしい。

 「『虫』じゃないとだめだよね?」
 『『属性』を変えれば他のモノにも変更可能です』
 「ああ。『ダンジョン属性』か」
 そんなのもあったなぁ。
 構成を変えられるんだから、属性も変えられるわけね。

 「どんなのが有効なの?」
 『ジャンル特定のためのものですから、作成者の任意で問題ありません』
 「任意か」
 それなら、思い切り趣味に走っちゃうよ?

 「・・・『妖怪』とかあり?」
 人間を使うのなら、動物型の魔物とかよりそっちの方が楽だと思うんだけど?
 隣県が妖怪王国なので、そっちの知識も豊富なつもりだし。
 妖怪天国の砂丘がある地域には負けるかもしれんけど。
 
『一つのジャンルとして確定できますから可能ですね』
 「ありだって! どうする? 魔職だし選択肢はあるよ?」
 「ヒェッ!」
 ガタガタ震えて、悠ちゃんは膝をついてしまった。
 あれは絶対にイヤらしい。

 他にも選択肢はある。
 いくつか例を挙げた上で、『妖怪化』へ向けて提案することにした。

 「んーと。『妖怪』になるなら、服も着せてあげるよ? 人間らしく」
 『元』はつけるにしても、ね。
 もう一歩譲歩してみた。

 「ふ、服? に、人間の定義って・・・服?」
 「カエルは服着ないでしょ?」
 「よ、ようかいに、なり、ます」
 「イヤなら無理しなくても・・・ほかの選択肢探そうか?」
 なんか言わされています感があるので、冷静に聞いてあげる。

 「妖怪にしてください! お願い!」
 「うんうん。新しい一歩だね」
 本人の意志は固いようだ。

 カエル女の妖怪化。
 選ばれるのは、あの『ぴったりな存在』しかないだろう。

 「服、また着れる・・・んだね」
 手足を見下ろして、カエル女が呟いていた。
 それは、かつて誰かに選んでもらった色の、かつて誰かに褒められた形の、そんな『自分』を思い出すための布だった。


 服を着せる。
 そう決めただけで、少しだけ心が静かになった。

 慈悲?
 独善?
 支配欲?

 何にしても、ちょっとホッとしている自分がいた。
 それは、誰かに服を着せることが、『誰か』を守ったような気がしたからかもしれない。

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