『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』

葉月奈津・男

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レーディング15(R15)・表現深化バージョン~刺激的な表現を含みます

第152話 妖怪制作 七人みさき 前編

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 役目を持って出ていた『霞』。
 一仕事終えて帰ってきた彼女に、カルマは『おかえり』と言った。
 カルマの側にいた妖怪たちも、ちょっと戸惑ったように『おかえり』と口にする。

 「・・・ただいま」
 『かすみ』が答えてくれて、風が柔らかくなった。

 たったそれだけのこと。
 それでも、きっと大きなことだった。
 少なくとも、妖怪たちの『カルマ』を見る目は優しさの度合いを深めている。



 「がんばっているな」
 残戦力――ラストチームの快進撃を、カルマは見ていた。

 「決戦は69階層の最奥としようか」
 「わざわざ待つのには、何か理由があるの?」
 『河童』仁科悠が問いかける。
 沢辺みどりとなってから、少しだけ、心の距離が近づいていた。

 「アイテムを消費させたい。魔力もね」
 中級モンスターとの戦闘で、徐々にアイテムが減っていく。
 アイテム整理をさせられていたことから、彼らの保持アイテムの種類や数はカルマが把握していた。
 魔力の減り方や残量なら、カルマは本人たち以上に熟知している。

 「我が校の最高戦力だ。腐っているとしても、侮るわけにはいかない」
 最大限弱くしてから、終わりを強制する。

 カルマの意志は固く冷徹で、苛烈。容赦がなかった。
 冷静に、できることを全て実行したうえで、確実に仕留める。
 その気迫に妖怪たちは息を呑み、押し黙った。

 カルマがため込んでいた怒り、憎しみ、そして、哀しみ、その深さを思い知らされている。
 それは、妖怪となった彼女たちにとっても他人事ではない。

「途中で休憩も入れるだろうし、数時間は先のことになる。待っている間、手に入れた『素材』で仲間を増やしておこうか」
 何気ない一言。
 だけど・・・。

 「・・・はい」
 悠の返事に、わずかな間があった。
 その言葉が、空気を少しだけ柔らかくした。

 それはカルマが『モンスター』を『仲間』と表した最初だった。
 カルマの中で、抑圧され、凝縮され、硬く、巨大に育っていた『ナニカ』がわずかにではあるが、解け始めた。

 そんな、『兆し』だったかもしれない。
 本人に自覚はなかったが・・・。
 
 ◇

 ダンジョンの階層を増やして70階層とした。
 それに伴い、カルマたちは拠点を70階層に移していた。
 『三途川中学校』の校長室という位置づけである。

 そこに、シデムシたちによって『素材』が続々と運び込まれていた。
 今回カルマが使おうとしているのは、そのうちの『一山』だ。

 後詰C班。『マップ埋め係』である。
 生きたまま連れ出すことができず、その場で死亡した者たちだ。

 「『レア』ではなく、通常モンスだな」
 最高でもAランク。
 ネームドのSランク以上にはならない・しないという意味だ。

 「シデムシさんたちの上位互換とする」
 『学園祭』がテーマで、『妖怪』が属性のダンジョンだ。
 シデムシさんが活躍しているのは、おかしいだろうということ。

 採取が得意だった彼女たちだ。
 『素材』集めも頑張ってくれるものと思う。
 彼女たちの存在の残り香を、システムに取り込ませ、モンスターとして再構築していく。
 
 ◇妖怪化(後詰C班視点)◇


 ──静寂の中、魂は目を開ける。
 肉体はもうない。
 でも、『自分』はまだここにいる。

「・・・これって、夢?」
「そうかも。だって、痛みがない」
「でも、寒い。空気が、冷たい」

 空気——彼女たちを取り巻く異質な空間――が、彼女たちの記憶を撫でる。
 再構築の作用が、彼女たちの心を静かに変えていく。

「私たち、死んだんだよね」
「うん。でも、終わってない」
「だって、見えるもん。自分たちの姿が」

 ──肉体が、再構成されていく。
 制服が、色褪せていく。
 髪が、風に溶けるように揺れる。
 目が、光を失い、代わりに『何か』を宿す。

『システム』の働きにより、魂の保持者たちにも『何が』起きているかは知らされていた。
『復活』でも『再生』でも、ましてや『蘇生』でもない。
『再構築』、『再定義』、そして『再誕』。
 彼女たちはいま、生まれ変わる。

「これが、妖怪になるってこと?」
「でも、私たちの中身は変わってないよね?」
「・・・ほんとに?」

 ──『役割』が与えられる。
 先導、囁き、守護、斬撃、囮、癒し。
 そして、空位。

 ──静寂の中、魂は目を開ける。
 肉体はもうない。
 でも、『自分』はまだここにいる。

「……これって、夢?」
「そうかも。だって、痛みがない」
「でも、寒い。空気が、冷たい」

 空気——彼女たちを包む異質な空間が、記憶の断片を撫でていく。
 再構築の作用が、彼女たちの心を静かに、確実に変えていく。

「私たち、死んだんだよね」
「うん。でも、終わってない」
「だって、見えるもん。自分たちの姿が」

 ──肉体が、再構成されていく。
 制服が、色褪せていく。
 髪が、風に溶けるように揺れる。
 目が、光を失い、代わりに『何か』を宿す。
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