『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』

葉月奈津・男

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レーディング15(R15)・表現深化バージョン~刺激的な表現を含みます

第153話 妖怪制作 七人みさき 後編

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「名前がある。役割がある。じゃあ、私たちは『誰か』になるんだ」
「でも、それって『私』じゃないかもしれない」
「……それでも、消えるよりはいいのかな」

 記憶が、彼女たちの頬を撫でる。
 放課後の教室。
 窓の外の夕焼け。
 誰かと笑い合った声。
 もう戻れないと知りながら、それでも問いかけてくる。

「このまま、ただ終わるの?」

 感情が、胸の奥で小さく鳴る。
 まだ生きていたい。
 生きていた世界が、共に生きた人たちが、どうなるのかを見届けたい。

「ねえ、大人になる前に死ぬかもって、思ってたよね?」
「うん。でも、こんなふうに『続く』なんて、誰も教えてくれなかった」
「『死んだら終わり』って、信じてたのに」
「でも、もう戻れない。だったら──」

 ──魂は、肉体に戻る。
 それは、かつての自分とは違う『器』。
 でも、記憶が残っている。
 感情が、脈打っている。

 制服は、もう『制服』ではない。
 それは、ダンジョンの意志に染まった『衣装』。
 名前は、かつてのものを模した『記号』。
 でも、心のどこかで、まだ『私』を探している。

「……私たちは、まだ終わってない」
「終わらせてくれる誰かが来るまで、ここにいる」
「それが、私たちの『役割』なんだね」

「だったら、せめて綺麗に動こう? 名前があった頃の自分が、羨むくらい綺麗に。前の自分が、恥じるくらい。今度こそ、誰かの隣に立てるように」
 今度こそ、自分に正直に。
 嫌なことには抗う者でいたい。

「誰かの記憶に残るように」
 今度は、忘れ去られる名無しにはならない。

「七人目を探す、その旅が、私たちの『生』になるのなら」
 今度こそ、全うしたい。

 彼女たちが、現実を受け入れたとき、『システム』の声が流れた。
 彼女たちには『役割』と『名前』が与えられる。

 ──『能力』が、囁く。

「あなたは、先導」
 一影は、目を閉じる。
 かつて、『お宝』を探していた目と耳が、『素材』探しに使われる。

「道を探すのは、かわらない。探すモノが少し変わるだけ」
 彼女は、通路の先に耳を澄ませる。
『探知』が、彼女の足を導く。

 ──『立場』が、鳴る。

「あなたは、囁き」
 二影は、口を閉じたまま、声なき声を響かせる。
 かつて、冗談を言って場を和ませ、厳しいことを言って叱咤していた彼女。
 今は、敵の心に『迷い』を植えつける。

  「言葉はもういらない。ただ、揺らせばいい」
 仲間たちの精神的支柱だった彼女が、今度は敵の支柱を折りに行く。

 ──盾が、立つ。

「あなたは、守護」
 三影は、腕を広げる。
 かつて、仲間の盾となっていた彼女。
 今は、六影を守る殻となる。

「痛みは、私が受ける。それが、私の意味」
 守りの意志が、ダンジョン内に眠る『守護』の素材を見つけ出す。

 ──剣が、裂く。

「あなたは、斬撃」
 四影は、剣を握る。
 かつて、誰よりも早く敵に飛び込んでいた彼女。
 今は、影の刃となって敵を断つ。

「切ることが、私の言葉。それでいい」
 敵を斬る意思が、『武器系素材』を見つけ出す。

 ──風が、揺れる。
「あなたは、囮」
 五影は、笑う。
 かつて、敵の注意を引き、回避することで仲間を守った彼女。
 今は、敵の目を引き、仲間を守る。

「見られるのは慣れてる。でも今は、見せるために立つ」
 風が、彼女の髪を揺らす。
 敵の魔力は、彼女を無視できない。

 ──杖が、灯る。

「あなたは、癒し」
 六影は、手を差し出す。
 かつて、誰かの傷と痛みを気にしていた彼女。
 今は、影の中で痛みを和らげる。

「触れることが怖かった。でも、今は違う」
 癒しの力が、彼女の胸に灯る。
『薬品・治癒素材の採取』。

 ──闇が、沈黙する。
「あなたは、空位」
 七影は、まだいない。
 彼女たちは、探し続ける。

 誰かが『ここにいたい』と願った瞬間、七影は生まれる。
 それは、誰かの祈りかもしれない。誰かの涙かもしれない。
 それは、誰かの死かもしれないし、誰かの喪失かもしれない。

 ──迷廻七影、誕生。
 魂は、影に乗って歩き出す。
 影は、彼女たちの足元に連れ添う。

 そして、彼女たちはもう『人間』ではない。
 でも、『誰かの隣』にいたいという願いだけは、まだ残っていた。

    ◇

 「完成だ」
 七人と言いながら6人しかいない。

 七人目を求めてダンジョンを彷徨い続けている・・・設定だ。
 学園祭風に言うと・・・美化係?
 校内を回って掃除をするイメージ。
 
 「掃除する一番の対象は『お客様』だけどね」
 カルマは、微笑んだ。

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