313 / 327
レーディング15(R15)・表現深化バージョン~刺激的な表現を含みます
第197話 始まりと終わりと始まりと 前編
しおりを挟む◇迷宮の変化◇
呪いが、祈りに変わった。
それは、迷宮にも変化をもたらしていた。
「やっぱり」
64階層『糸の部屋』。
百合根友梨が、ひっそりと頷いた。
迷宮の変化を確認しているところだった。
『虫』から『妖怪』へ。
『雑木林』から『学校へ』。
そのスムーズな移行を見守るためだった。
その途中で見つけた――思い出した――のがこの部屋。
この『箱』だった。
一般的な宝箱。
その中に上半身を入れ、腰から下をはみ出させている女子高生がいる。
もちろん、心臓はすでに止まっている。
「変化に巻き込まれているものね」
宝箱の木板が、木造校舎へと変貌していく『ダンジョン』の床と同化しようとしている。
ミミックが『学校の備品』になろうとしている。
擬態ではなく同化。
挟まれている『記憶の器』も、そうなろうとしていた。
つまり・・・。
「また、妖怪が増えるわけね」
仲間が増える。
喜ぶべきか、悲しむべきか。
悩ましいところだが・・・。
「ようこそ、こちら側へ」
歓迎の言葉を投げかけた。
自分は意外にも、妖怪となった自分『雪女:氷室しらゆき』を受け入れている。
他の者たちもそうであるようだ。
なら、きっと彼女もそうだろう。
宝箱から出た足が、ひくひくと動き始めていた。
◇追跡行の終了(50階層の)◇
女教師の反乱は、秒で鎮圧された。
呪術師が一人で近接職に立ち向かったところで、勝負にはならなかったのだ。
一人を消し去り、もう一人を叩きのめすのでやっと。
残りの二人に葬られた。
だけど・・・。
その二人は、沈黙に沈んだ。
捕らえられていた4人がいた。
女教師が膝をついた瞬間、空気が震えた
杖が床に転がり、彼女の瞳から光が消える。
そのとき——通路の奥に並んでいた『箱』が、静かに、音もなく開き始めた。
木の蓋が、まるで風に誘われるようにゆっくりと持ち上がる。
内側から、淡い光が漏れ出す。
それは呪いの残滓ではなく、祈りの名残だった。
光の中から、ひとり、またひとりと姿が現れる。
まるで夢から目覚めるように、彼らはゆっくりと立ち上がった。
女教師の死が、呪いを解いたのではない。
彼女の『願い』が、箱を開いたのだ。
『呪い』の発動減となっていた女教師が死んだことで、捕らえていた『箱』が開いたのだ。
そして、そこに教師陣最後の二人がいた。
箱から出た四人に、ためらう余裕はなかったのだ。
「・・・えっ!? あんたたち・・・!」
走り始めていた生徒が、思わず足を止める。
箱から出てきた4人の姿を見て、目を見開いた。
「うそ・・・生きてたの・・・?」
声が震える。
ひとりが駆け寄り、肩を抱きしめる。
「よかった・・・ほんとに・・・!」
涙がこぼれる。
他の生徒たちも、次々に駆け寄る。
でも、4人は少し戸惑った顔をしていた。
箱の中で過ごした時間が、彼らを少し変えていた。
「・・・ごめん、待たせたね」
その言葉に、誰かが笑った。
そして、誰かが泣いた。
それは、呪いの終わりではなかった。
でも、祈りが届いた瞬間だった。
「他にも追手がいるかもしれない。行こう!」
残された生徒たちが地上へ向けて、再び走り始めた。
退避と追跡行の脱落者=生徒6(4名復帰) 教師14
彼女たちは知らないが、50階層にいた教職員がここで全滅したことになる。
残るは25階層の14人だ。
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる