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第1の章 終焉の始まり
Ⅴ
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「はぁ?! これと付き合うことになった??」
日を改めて次の日、お店に着くと昨日のヤクザさんがいた。
あたしを指差して、驚きの声をあげている。
「おまえ、いつからロリコンになったんだ?」
ヤクザさんの言葉に時雨は、肩より少し長い髪を結わきながら溜息をついている。
「ロリコンって、時雨はいくつなんですか?」
「おまえ、時雨の年も知らないで付き合うとか言ってんの?」
ヤクザさんの呆れた声が降ってくる。
同時に時雨の冷たい視線を感じて、焦りがこみ上げた。
「あ、いや、知らないわけじゃないんですけど。えっと、確か―――27歳ですよ、ね?」
あたしの言葉に、時雨が目を細めた。
なにもかも見透かされそうな視線にドキッとした。
「今年、27の年ですけど、まだ誕生日が来ていませんからね。26歳ですよ」
そうか、彼の誕生日のことまで計算していなかった。
やってしまった、と思った気持ちが、顔に出てしまった。
ヤクザさんが疑わしげな目であたしを睨みつける。
「おまえ、時雨の年も知らないで、なんで時雨と付き合いたいとか言ってんの? そもそも、時雨とどこで知り合ったんだよ? 昨日の感じなら時雨のほうは、こいつのこと知らなかったんだろ?」
「こいつじゃないです。あたし、鈴原麦です」
「麦ね」
質問に答えずに言い返したあたしを、ヤクザさんは鼻で笑った。
「俺は堂島タケル。堂島組の若頭やってるよ」
―――若頭!
ヤクザだとはわかっていたけど、下っ端のチンピラかと思った。
チャラチャラした雰囲気から、彼を軽く見ていた。
「ど、堂島さんは時雨の友達ですか?」
突然、丁寧に話し出したあたしに、ヤクザはフンッと鼻をならした。
「タケルでいいよ。っうか、敬語やめろよ。時雨に対しても。おまえら2人して、敬語で話されると面倒クセェよ」
あたしがちらりと時雨を見ると、彼は口角を少し持ち上げた。
「私の話し方は、癖みたいなものなので気にしないでください。君は普段、敬語で話したりしないでしょう。好きに話しなさい」
時雨の言葉にあたしは、小さく頷いた。
「タケルは時雨の友達なの?」
「友達って可愛らしいな」
タケルは、馬鹿にしたように笑う。
「友達っちゃ、友達なんじゃねぇの?」
「いつからの―――?」
「おまえの質問ばっかりすんな。俺のほうが先に質問したことがあっただろう」
あたしは、そもそも、タケルに付き合ったきっかけを話すべきなのかわからなかった。
あたしが脅迫をしたから、三ヶ月の間、時雨はあたしと付き合うことにした。
そこには、少しでも恋愛感情があるわけじゃない。
どこまで、タケルに伝えたほうがいいのか、あたしは時雨の意思がわからなかった。
時雨の意図を見つけようと、時雨を見ると彼と目があった。
その瞳には、あたしとタケルのやりとりをただ映しているだけのように見えた。
「ちょっと前に、繁華街で時雨を見かけて、一目惚れしたの」
「いつの話だ?」
「先月末の―――26日だったかな? umberってバーに入るところを見かけた」
あたしの言葉に、時雨とタケルは顔を見合わせた。
「そういや、先月、あいつのところ行ったっけか」
「行きましたね。あの時、私をみかけたんですか。そうだったんですね」
時雨もタケルも、一応、納得してくれたようだった。
あたしはホッと息をついた。
「それにしても、よりにもよって時雨に一目惚れとはな。こいつ、俺よりよっぽどヤバイやつだと思うけどな」
タケルの言葉に、時雨は顔をしかめた。
「ヤクザの若頭よりヤバイことなんてしてませんよ?」
「犯罪って意味じゃねぇよ。人間として、俺よりヤバイってこと」
そういうことですか、と時雨は得心した顔をしている。
日を改めて次の日、お店に着くと昨日のヤクザさんがいた。
あたしを指差して、驚きの声をあげている。
「おまえ、いつからロリコンになったんだ?」
ヤクザさんの言葉に時雨は、肩より少し長い髪を結わきながら溜息をついている。
「ロリコンって、時雨はいくつなんですか?」
「おまえ、時雨の年も知らないで付き合うとか言ってんの?」
ヤクザさんの呆れた声が降ってくる。
同時に時雨の冷たい視線を感じて、焦りがこみ上げた。
「あ、いや、知らないわけじゃないんですけど。えっと、確か―――27歳ですよ、ね?」
あたしの言葉に、時雨が目を細めた。
なにもかも見透かされそうな視線にドキッとした。
「今年、27の年ですけど、まだ誕生日が来ていませんからね。26歳ですよ」
そうか、彼の誕生日のことまで計算していなかった。
やってしまった、と思った気持ちが、顔に出てしまった。
ヤクザさんが疑わしげな目であたしを睨みつける。
「おまえ、時雨の年も知らないで、なんで時雨と付き合いたいとか言ってんの? そもそも、時雨とどこで知り合ったんだよ? 昨日の感じなら時雨のほうは、こいつのこと知らなかったんだろ?」
「こいつじゃないです。あたし、鈴原麦です」
「麦ね」
質問に答えずに言い返したあたしを、ヤクザさんは鼻で笑った。
「俺は堂島タケル。堂島組の若頭やってるよ」
―――若頭!
ヤクザだとはわかっていたけど、下っ端のチンピラかと思った。
チャラチャラした雰囲気から、彼を軽く見ていた。
「ど、堂島さんは時雨の友達ですか?」
突然、丁寧に話し出したあたしに、ヤクザはフンッと鼻をならした。
「タケルでいいよ。っうか、敬語やめろよ。時雨に対しても。おまえら2人して、敬語で話されると面倒クセェよ」
あたしがちらりと時雨を見ると、彼は口角を少し持ち上げた。
「私の話し方は、癖みたいなものなので気にしないでください。君は普段、敬語で話したりしないでしょう。好きに話しなさい」
時雨の言葉にあたしは、小さく頷いた。
「タケルは時雨の友達なの?」
「友達って可愛らしいな」
タケルは、馬鹿にしたように笑う。
「友達っちゃ、友達なんじゃねぇの?」
「いつからの―――?」
「おまえの質問ばっかりすんな。俺のほうが先に質問したことがあっただろう」
あたしは、そもそも、タケルに付き合ったきっかけを話すべきなのかわからなかった。
あたしが脅迫をしたから、三ヶ月の間、時雨はあたしと付き合うことにした。
そこには、少しでも恋愛感情があるわけじゃない。
どこまで、タケルに伝えたほうがいいのか、あたしは時雨の意思がわからなかった。
時雨の意図を見つけようと、時雨を見ると彼と目があった。
その瞳には、あたしとタケルのやりとりをただ映しているだけのように見えた。
「ちょっと前に、繁華街で時雨を見かけて、一目惚れしたの」
「いつの話だ?」
「先月末の―――26日だったかな? umberってバーに入るところを見かけた」
あたしの言葉に、時雨とタケルは顔を見合わせた。
「そういや、先月、あいつのところ行ったっけか」
「行きましたね。あの時、私をみかけたんですか。そうだったんですね」
時雨もタケルも、一応、納得してくれたようだった。
あたしはホッと息をついた。
「それにしても、よりにもよって時雨に一目惚れとはな。こいつ、俺よりよっぽどヤバイやつだと思うけどな」
タケルの言葉に、時雨は顔をしかめた。
「ヤクザの若頭よりヤバイことなんてしてませんよ?」
「犯罪って意味じゃねぇよ。人間として、俺よりヤバイってこと」
そういうことですか、と時雨は得心した顔をしている。
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