『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

謎の不法占拠

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「単なる不法占拠なら俺のところの兵隊を動かしてしまいさ。けど、今その物件を占拠しているのは複数の冒険者なんだ」


ディックの言葉を聞き、ゴウキは一瞬でピンと来た。
4区を歩いていた場に相応しくない冒険者風の人間達・・・もしかしたら彼らのことではないかと思ったのだ。


「ディックのところの兵隊で排除できないとすると、結構腕が立つのか」


「立つよ。B級には確実にランクインしている冒険者だと思う」


「B級が?」


B級冒険者となるとバルジ王国でも十分に成功していると言えるレベルの冒険者だ。
社会的信用も高いから銀行から金を借りるのもたやすく、家だって保証人なしで借りられるレベルだ。サボってさえいなければ収入だって悪くないはずである。


「B級なのに4区で不法占拠?」


不思議な話だ。
そんなことしなくても、もっとずっとマシなところに堂々と住めるはずの立場だ。


「B級ってのは実力からそうではないかとアタリをつけただけさ。実際の奴らの身元はまだわかっちゃいない。だが、強いのは確かだ。うちの兵隊じゃ全く手が出ない有様でね」


ディックは苦虫を噛み潰したような顔になる。
立ちはだかる者を力で押さえつけてなんぼのギャングとしてのプライドを傷つけられているのだろう。


「元は俺が縁あって安く買ったものなんだが、いつの間にか我が物顔で住みだしたんだ。それ以外に特にここで悪さをしている様子はないが、何にせよ舐められたまんまってのは嫌だったんだよな。だったら兄弟、あんたに快く手渡してやったほうがいい。どうだ?行ってくれるか?」


「・・・まずは話をしてみて、だな」


ディックは即座にでも力でねじ伏せて溜飲を下げたそうにしているが、それでもゴウキは十分に身を立てられるはずの冒険者が、不法占拠などという手段で居座っているというのが気になった。
円満に話をして出て行ってくれるならそれに越したことはない。まぁ、それで解決する可能性は限りなくゼロだろうが。


「話が出来るかねぇ・・・俺らが行ったときは話すら出来なかったぜ。近づいただけで威嚇された。俺の持ってる物件なのによ?おかしくないか?」


ディックは思い出しながらもイラついてきたのだろう。話ながら煙草をスパスパと吸い始めた・・・と思いきや、ちょっと吸ってすぐに灰皿で揉み消している。


「ま、とりあえずこれから行ってみるわ」


やるなら早いほうがいい。ゴウキはこの後すぐに物件まで行くつもりだった。


「すまねぇな兄弟。本当はついていきたいんだが、今日は女達と約束をしてるんだよ」


ディックは申し訳なさそうに小指を立ててそう言った。



「兄弟も女は大事にしろよ。入れ込み過ぎると身を亡ぼすが、それでも蔑ろにするのはいけねぇ。わかるよな?そういうのいるんだろ」


ゴウキはディックの言葉を否定しようとしたがやめた。
一応、頭に思い浮かぶ人がいないわけではないからだ。


「それとも女のことちょっと知っとくか?俺のところの店の女なら用意するぜ」


ディックの申し出に、ゴウキはほんの少し・・・ほんの少しだけ後ろ髪を引かれる思いをしながらも、丁重に断りを入れるのであった。
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